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人生を豊かにする地方移住 ⑤家を見つける

都市であっても地方であっても、「家」は、日々の暮らしの幸福度に影響があり、人生も決めていくことは間違いありません。良い移住は、良い家との出会いと言っても過言ではないですね。

移住をきっかけに、ぜひ、「幸せになれる家」を見つけていただきたいと思います。

地方の不動産事情

地方での不動産事情は、都市と大きく違います。
 
もともと人口が少ない地域は、家も少ないです。大家族が多い地域では大きな家が多く、核家族や単身向けの家はとても少ないですし、持ち家に暮らすことが基本の集落には、賃貸物件がないこともあります。

地方は、少子化や経済の低迷から空き家問題が叫ばれていますが、若い世代や都市からの移住者が暮らしたい=借りたい買いたい家がないので空き家になっていることも多いのです。
 
一方で、コロナ禍になってから都市生活者の方々の間で、地方移住いいね二拠点生活いいねという風潮が高まり、自然豊かなリゾート地は、賃貸も売買も物件が品薄になるほど人気で価格も上がっています。
 
基本的には、地方の土地や建物は、基本的には都市よりも地価が安く賃料も安い。驚くほど物件価格が安いのです。
 
その理由は、都市ほど地域の経済が回っておらず、一般的に世帯所得も事業売上げも低いからですし、都市よりも取り引き需要が少ないからです。

移住には、このことをしっかり認識することがまずは重要です。

家は「どこでどのように暮らすか」を決めることであり、仕事つまり所得やライフスタイルがイメージできませんと、家が決まっていきません。

このコラムの連載では、移住にはまずは仕事や収入を決めてからと書きましたが、家探しをしていくと、リアルにこのことが実感できると思います。

どんな家に住みたいのか

家を見つける=家探し・家づくりをする前に決めていただきたいのは、次のようなことです。
 
①土地を買って新築を建てるか。(都市と違って地方は、宅地整備されていない原野だったり山林や森林だったりもしますので、要チェックです。)
 
②中古物件を買うか。(一見すぐに住めそうに見えて、水回り設備や配管が劣化していたり、断熱材が入っていなかったり、床板や壁や天井が安普請だったり、実は屋根が傷んでいて雨漏りするなどが見つかり、購入してからリフォームが高額になることも多いので、要チェックです。)
 
③賃貸物件に住み続けるか。(中古物件は、建物の傷みや設備の劣化した際のメンテナンス・修繕が問題です。大家さんが費用負担できず修繕されないケースもありますので、のちのち不動産屋さんが修繕の仲介に入ってくれるかなどが、要チェックです。)
 
④菜園や花壇が作れて駐車スペースもあるような広い敷地を重視するか。
 
⑤子供部屋や仕事部屋もあり納戸も取れる間取りの広い一戸建てを重視するか。
 
⑥敷地の手入れをせず建物の管理メンテナンスも任せられる集合住宅にするか。
 
住みたい地域に住むことは、住みたい家に住むこととイコールではありません。
 
まずはどこで暮らしたいかという「地域」を選びつつ、そこに住むには、どんな「土地」「家」が良いのか、その地域にどんな家を見つけることができるのか、どんな家を建てたいのか・建てられるのかをイメージしながら、家探し・家づくりの計画を立てていただきたいと思います。

家の見つけ方

不動産物件を探すには、暮らしたい地域にある地元の不動産屋さん回りをして物件を見つける方法が一般的ではありますが、都市と違って、暮らしたい地域には不動産屋さんがない場合もあります。
 
空き家が多い市町村役場のホームページには、「空き家バンク」と言う、自治体と地元の不動産屋さんの団体が提携して物件情報を掲載している情報サイトがリンクされていますので、ぜひチェックしてみてください。
 
地域にあるそこそこ大きな不動産屋さんでは、全国の不動産屋さんが一律に物件情報を登録する「レインズ」という不動産情報サイトから、物件情報をもらうことができます。不動産屋さんに行って立地や価格や間取りなどを言うと、そのサイトを見ながら物件情報を出してくれますので、お願いしてみてください。
 
レインズからは、全国どこの不動産屋さんでも同じ不動産情報を引き出せますので、暮らしたい地域ではない不動産屋さんでも物件を探すことができます。
 
しかし、レインズに掲載されない不動産情報もあります。
 
そもそも誰も住んでいないだけで賃貸や売買に出さない空き家は不動産屋さんに出ませんので、レインズにも登録されません。
 
オーナーさん(地権者さん・大家さん)が、良い人にしか貸したくない・売りたくないという希望をお持ちで、不動産屋さんに相手を見て物件をご紹介いただく依頼をしている場合も、表向きには情報が出ません。
 
こうした物件は、取り引きを急いでいないケースが多く、田舎の集落にある古い一戸建て、つまり古民家と呼ばれている物件にはこのケースが多く見受けられます。
 
こうした物件は「土地や建物を大事に手入れしながら暮らす」「地域の人たちと仲良く集落の慣習に従って暮らす」など、オーナーさんが希望する人ですと、不動産屋さんから物件をご紹介いただけることがあります。
 
都市から移住する人たちがこの希望に応えられると、大変お得な物件が出て来る可能性が高いので、暮らしたい地域が見つかりましたら、ぜひこうしたことも不動産屋さんにアピールしてみてください。

地方では、人づてに土地や建物を紹介していただけるケースはとても多いです。中長期滞在をしながら、あるいはいったん賃貸で暮らしながら、着地点である地域や家が決まっていく方はとても多いので、家探しは焦らずに。ご縁を繋げてみてください。

家にかけるお金

次に考えたいのは資金計画と、住まいに掛ける経費の金額です。
 
家計における住宅に関する経費は、ボーナスや副業や奥様もパート代なども含めた世帯所得の1/4を超えないことが原則と言われています。月々10万円のローンなり家賃なりを支払うとすると、世帯所得は月収40万円、つまり年収約480万円程度が必要ですね。

住宅ローンを借り入れるには、実際の価格の10~20%ほどの頭金が必要で、勤務先や年収の審査もあります。借りる方がフリーランスや個人自営業であったり、築年数が古すぎる住宅の場合は、住宅ローンとしては借りられないケースもありますので、事前に金融機関に相談して資金計画を立てましょう。
 
生活費は、都市部より地方の方がかからないと言われていますが、地方は都市よりも圧倒的に所得が低いですので、このことも考慮に入れて。
 
生活費としては、農産地は野菜が安い、海辺は魚が安い、都市よりも見栄を張らなくて良いので衣料費や交際費やレジャー費が安くて済むという違いはあるものの、大人一人1台の車が必要でガソリン代もかかる、水光熱費は家が広いと都市よりかかる、寒冷地や山間地は冬の暖房費がかかる、子供が都市の大学に入ると仕送りをしなければならず教育費は余計にかかる、といった実態もあります。
 
その地域での生活費のプランを立て、「家計の1/4が住宅関連費」という金額を参考にしながら、月々のローンや家賃の費用を決め、家探し・家づくりをしていただきたいと思います。

一戸建ての持ち家は、固定資産税の他に、屋根や外壁や設備の修繕や交換費用がかかります。家は、住み続けるには修繕が必要で、その分の費用を積み立てておかねばなりません。
 
分譲マンションは、所有者による管理組合があり、長期的な修繕計画を立てて予算管理をしています。購入代金の他に、月々の経費として、管理費や大規模修繕積立金がかかってきます。

賃貸物件は、管理メンテンスや修繕はオーナーさん次第。老朽化して住みにくくなった場合、設備などは自腹で修繕しなければならないケースも見受けられます。古くて安い家賃の賃貸は、オーナーさんに資金力がないこともありますので、不動産屋さんに確認しましょう。

住まいの要素をチェックする

家探し・家づくりは、暮らしたい地域のチェックから!ぜひ下記の条件を参考にしてみてください。
 
①   地域特性(基本的に、昔からの集落なのか、大規模商業施設のある商業集積地か、工場や物流の集積地か、県庁所在地なのか、過疎の限界集落か、新興住宅地か、リゾート別荘地かといった特性)
 
②   周辺環境(例えば自然が豊かな環境は自然災害リスクが高いので、ハザードマップをチェックしましょう。大規模商業施設のある商業集積地や県庁所在地周辺は地価が高く、住宅向きではない環境もあります。特に敷地周りの環境に災害に弱い要素はないか要チェック。盛り土の整地や崖や川のそばや谷地は避ける。山からの水が流れ込みやすい動線上ではないことを確認。)
 
③   子供が通う学校、病院(小児対応・夜間など緊急対応してくれる病院、歯科もチェック)、郵便局(地方は銀行が少ないので郵便局が唯一の金融機関ということも)、コンビニ(つまりATMであり郵便ポストであり宅配便の集荷所であり緊急避難所)、スーパー(日常の買い物ができるお店)、ガソリンスタンド(地方は大人一人に車1台が必要でガソリンスタンドも必須)の場所
 
④   生活インフラ(上下水道や浄化槽、電気、固定電話回線、携帯キャリアの電波状況、fi-wi回線、ガス)
 
⑤   交通インフラ(通勤や通学・高齢になった時の通院を考えた時の鉄道駅や幹線道路からのアクセスの良さ、免許返納した時に利用できる路線バスやタクシー、子供の保育園や学校の場所と交通手段の利用のしやすさ)
 
⑥   主要道路から自宅敷地までの導線(ほとんどが車生活ですが、敷地までの車導線に難があるケースもあります。また子供が通学バスを下りてから自宅まで徒歩の場合は、その徒歩ルートも確認してください。)
 
⑦   家の向きや建物の形状(日当たりや通風や騒音)
 
⑧   間取りと収納と設備
 
⑨   一人1台の駐車スペース
 
こうしたことすべてが、家=住まいの要素です。暮らしたい地域にあるお店や学校も回ってみてください。
 
現地に行って実際の土地や建物を見ることは必須ですが、季節の気候が激しく変わる地域は、1年を通して現地へ行くこと。真夏や真冬の気温、降雪量や日照も確かめると良いと思います。
 
そして持ち家は、売る場合のことも考えて、売りやすい家であること、場合によっては借入金の担保価値も考え、価値ある資産として購入することも必要だと思います。

家探し・家づくりのノウハウは、またnoteコラムに書いていきます。





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