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北海道周遊パス紀行(12) 大幅遅延の特急【おおぞら】で札幌へ戻る。

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札幌から348キロ先の釧路に着いたが、キハ283系惜別乗車目的の私は、再び札幌へ引き返す。まるで飛行機好きがマイル稼ぎするべく遠距離を単に往復するのに近い感じがする。
乗ってきた【おおぞら1号】の編成が、そのまま札幌行【おおぞら6号】として折り返す運用だが、先のエンジントラブルの為、私を含む【おおぞら1号】の乗客を降ろすと、早々と釧路駅の西側にある釧路運輸車両所に引き上げて行った。ホームには自由席乗車位置に【おおぞら6号】の自由席を待つ乗客が、パッと見で40人ぐらいいる。改札を抜けると、恐らくは指定席の乗客だろうか、コンコースは旅行者や帰省客がひしめいていた。

発車時刻をとうに過ぎているが、発車の目処が立っていない。
【おおぞら1号】の遅延到着、及び【おおぞら6号】発車遅れを知らせる張り紙。

折り返し【おおぞら6号】は自由席を利用するので、6号車自由席の列に並んだが、車両取り替えを考えたら相当な時間がかかるのは火を見るより明らか。私は荷物を置いて、改札を出た。
発車まで時間あるとはいえ、いつ列車が入ってきて乗客を乗せて発車するか全く分からないから、駅を出る訳に行かないし、元旦だから駅近くの和商市場は閉まっているだろう。私は駅ナカの売店で飲料水と駅弁だけを買い、ホームに戻った。

釧路運輸車両所で車両組替えた編成が戻ってきた。

12:20過ぎに、編成が車両基地、つまりは釧路運輸車両所で組替えを終えて駅に向かってるとの放送が流れ、少しして組替えを終えた【おおぞら6号】編成が姿を見せた。12:26、釧路駅1番ホームに【おおぞら6号】が据え付けれられた。入線時に車両番号を見たら、エンジン故障を起こした6号車だけが違う車両に取り替えられていた。

慌ただしく作業したのか、運転室に繋がる乗務員室扉は開けっ放しだった。

12:26、扉が開き乗車開始。6号車自由席は一気に埋まったが、それでも半分ぐらいしか埋まらなかった。車両真ん中辺りの席に座り、机を引き出し駅弁を開いたと同時に列車は12:32、釧路を1時間8分遅れで発車した。
考えてみたら、【おおぞら1号】が釧路到着したのは11:25。そして車庫に取り込み該当車両を切り離し、予備の車両を連結し、そして駅に送り返して、そして客扱い後に発車。その一連の作業を1時間強で済ませるのは、かなり手早い作業に思える。エンジントラブルは困りモノだが、この手際の良さは、賞賛に値するのではと思う。

釧路駅弁【サーモンいくらめし】(980円)

丁度昼時なので、釧路駅弁で昼ご飯。購入したのは【サーモンいくらめし】。開封したら、色鮮やかなサーモンといくら。云わば鮭の親子丼みたいなもの。美味しく頂いたと記したいが、量が少ないのが気になった。また、さっき売店を覗いた時に、前に食べて美味かった【たらば寿司】や【釧路漁礁】とかの駅弁が軒並み終売したらしく影も形もなかったのも気になった。
【おおぞら6号】は遅れを取り戻すかの様に飛ばしたが、1250頃に白糠に到着したら、車内放送で定刻運転の下り特急【おおぞら3号】を待避する為に10分停車すると言う。前途多難だ。私はホームに降り外の空気を吸った。まるで鈍行列車の長時間停車の雰囲気だ。

白糠で降って湧いた長時間停車
白糠で発車を待つ【おおぞら6号】札幌行
定刻運転の下り特急【おおぞら3号】釧路行(撮影 白糠駅)

13:00に、定刻運転の釧路行【おおぞら3号】がやって来て、ようやく我が札幌行【おおぞら6号】が発車。この先、定刻運転の下りを優先するだろうから、この【おおぞら6号】は一層遅れを増す気がした。
気晴らしに車内を彷徨いたら、隣の5号車自由席が比較的空いているのに気づいた。考えてみたら6号車は運転室があるからその分客席スペースが縮小されており、運転室が無い中間車は座席定員が多いのは当たり前だ。しかも差し替えられた6号車は、旧来の座席だったが、5号車は自由席なのにグレードアップ指定席座席だった。私は荷物を抱えて5号車の空席に移る。

馬主来湿原を眺める
【おおぞら6号】車内から眺める太平洋
キハ283系から眺めるのは、これが最後になった

古瀬信号場を通過し、再び馬主来湿原を駆ける。釧路湿原程には知名度はないが、なかなか見応えある景色。これがキハ40系鈍行列車なら、窓を開けて風を浴びながら景色を楽しむのだが。そして国道38号線をアンダーパスし、太平洋沿いへ。快晴の下、陽の照り返しが眩しい。車窓を見れば、最後のキハ283系を撮影しようとする、通称【撮り鉄】の姿をよく見掛ける。我が【おおぞら6号】にも手を振る撮り鉄の姿を見たから、私も車内から手を振り返す。

厚内で太平洋から別れ、山奥を縫うように走る。そして浦幌から十勝平野の農地や牧場が点在する広大な土地の中を走る。
池田で北海道ちほく高原鉄道の跡を眺め、1時間10分遅れの14:06に帯広到着。すると今度は定刻運転の下り特急【おおぞら5号】の待避で、またまた10分停車が告げられる。私はホームに降りて、【おおぞら6号】のキハ283系を撮影する。

帯広でも10分停車、
帯広で発車を待つ1時間以上遅れの【おおぞら6号】

隣のホームに定刻運転の【おおぞら5号】が到着したのを見て私は列車に戻った。14:17、定刻より1時間20分遅れで帯広発車。帯広から乗客が増えると思いきや、自由席には殆ど乗車が無い。どうやら自由席の乗客は、この【おおぞら6号】を待ちきれずに、帯広13:35発の帯広始発の特急【とかち8号】に流れたかもしれない。このままだと札幌までガラガラは確定だ。列車の遅延はアレだが、怪我の功名と言うか、何というか。
浦幌から続いた十勝平野も新得からは狩勝峠越えに入る。車窓は山奥に入り、天候も吹雪に変わる。

十勝平野は晴れていたが、石勝線に入ると悪天候に。
途中の信号場で特急と交換する

暇つぶしでSNSを開いたら、札幌近辺の交通は麻痺状態だと知る。JRは一部の空港快速の運休だけだが、航空便は千歳が悪天候による滑走路閉鎖で離発着便は全滅、フライトレーダー見れば千歳周辺は全く航空便は無く、辛うじて旭川便が飛んでいた。
そして高速道路は、事故を知らせるバツ印が数箇所に点在しており、こちらもほぼ全滅だった。そんな道央へ、一時間以上遅れた特急列車で向かっている。

JRは、【おおぞら6号】以外は空港快速が一部運休
千歳離発着便は、ほぼ全滅
フライトレーダーは旭川便しか飛んでないのを示していた
高速道路は通行止めが多発。
新夕張手前で、奥に廃止され夕張線の橋梁が見える

廃止された夕張線の橋梁が見え、新夕張を高速通過する。私は石勝線は殆ど青春18きっぷで乗るから新夕張は普通と特急の乗り換え駅として必ず途中下車する。故に新夕張を高速で通過するのは違和感を感じる。しかし、もし故障なく定刻運転していたら、間もなく札幌に着く頃だが、実際はまだ新夕張だ。流石に朝からキハ283系に乗り続けるのは退屈だ。ガラガラだから良いが、もし混雑していたら、ストレス溜まっていただろう。

1時間30分近い遅れで南千歳到着。
向かいの空港快速には、空路欠航で帰省難民が。

16:30頃に南千歳到着。新千歳空港へ行く快速列車乗り換え駅だが、今日は千歳の航空便が全滅だからか、【おおぞら6号】の向かいに停車していたら空港とは逆方向の札幌行空港快速は通路まで混雑していた。多分札幌にホテルを確保し、札幌へ戻る人々だろう。因みに鉄道で今日中に東京へ着くには、1時間以上前の南千歳15:12発函館行特急【北斗16号】、そして新函館北斗18:40発北海道新幹線【はやぶさ46号】乗り継ぎで東京には23:04に着く。どっちにしろ、今日中に空路で北海道を脱出するのは、もはや不可能だ。もし仮に北海道新幹線が札幌まで延伸されていたら、今頃の時間に千歳から札幌に移動しても、恐らくは東京行最終新幹線に間に合っただろうに・・・。
ダイヤが乱れ、千歳線を時々徐行し、新札幌に着いたら、外はもう真っ暗闇。札幌を発った時はまだ日の出前だったが、釧路往復しただけで、もう夜だ。札幌から釧路往復は距離にして約700キロ、本州に例えたら、東京駅起点に岡山県の和気駅の手前や、青森の手前に匹敵する。やはり北海道は広い。
17:10過ぎ、1時間半遅れで札幌到着。釧路から4時間40分もかかった。このキハ283系が登場する以前のキハ183系【おおぞら】時代の所要時間に匹敵する。最後の乗車だけに、余分に乗れた気分だが、流石に疲れた。

札幌に到着した【おおぞら6号】
即座に折り返し【おおぞら9号】への整備を受ける

札幌に到着した編成だが、このまま折り返し17:29発【おおぞら9号】として釧路へ戻る。定刻なら15:38に到着し、車両基地で折り返し車内整備して【おおぞら9号】になるのだが、遅れで着いたから、ホーム停車中に慌ただしく車内整備を行う。車内清掃、座席転換、ゴミ箱のゴミ回収などを慌ただしく作業しているのを横目に、今朝荷物を預けたコインロッカーへ出向く。

さて、今夜の宿だが、ネットで調べたら旭川で【旭川宿泊応援事業・あさっぴー割】というモノが開催されていた。昨今の流行病で宿泊者が劇的に減ったのは何処も同じだが、旭川は宿泊費の一部を公費で補助して、なんとか宿泊者を増やし、あわよくば地元旭川での消費を促そうという施策で、市外からの宿泊者には3,000円を補助すると言う。ネットの大手宿泊予約サイトを見れば、予め3,000円引きで提示された値段のホテルが多数あり、普通のホテルにも関わらず、極端な話昨夜泊まったネットカフェ並の値段のホテルが目に付き、私はそこを予約した。札幌から旭川は130キロ程離れているが、JRの特急列車が頻発運転しているし、私には【例の】魔法の切符があるから、移動時間に目を瞑ればタダで行ける。
コインロッカーに預けた荷物を取り出し、17:30発の特急【オホーツク3号】網走行に乗り込む。5両編成で自由席は満席に近かったが、最後尾に空席を見付け座る。

【オホーツク3号】自由席に座れる
  

17:30、特急【オホーツク3号】網走行、札幌発車。自由席は先に記した通り、ほぼ満席。石北本線特急は何れもガラガラだから、なんだ結構乗っているじゃないかと、この時は思ったのだが。

隙間から粉雪が入り込む。
連結面の踏み板には積雪が。

デッキに出れば、扉周りや連結通路あたりは雪が積もっていた。乗車列車は国鉄設計のキハ183系。雪対策されているとはいえ、JR設計の車両と比較しても詰めが甘く、隙間から粉雪が入り込み、デッキに雪を積もらせる。これを見て、「ああ、私は北海道に来ているんだな」と実感した。

乗車車両は、1550番台のトップ。
座席は昔のキハ283系【スーパーおおぞら】と同型の座席
フットレストも完備されている。

今乗っている自由席、番号を見ればキハ183-1551、1550番台は、JR北海道が発足した翌年の1988年に、特急【北斗】の最高速度を120㌔に引き上げるべく国鉄時代に製造された1500番台を改良された車両で、15両製造された中でも1551はそのグループのトップである。しかし考えてみたら、昨日の【大雪2号】では1500番台のトップに乗車し、今日は1550番台のトップに乗車。なんか付いてる気がする。
座席はキハ283系の座席に更新されており、タンチョウヅルの絵柄の布地だから、【おおぞら】の運用に入っていたかもしれない。また、昨今の特急列車の普通車座席では省略されているフットレスト、つまりは足乗せがあるのも良い。最近は軽量化やら部品点数を減らす、トータルコスト削減等で無くなっているだけに、フットレストがあるだけで豪華な気にさせてくれる。

旭川に到着した【オホーツク3号】網走行
【オホーツク】網走行、行先字幕

19:05、旭川到着。下車すると降りるわ降りるわ、ほぼ満席の自由席から続々下車していく。ホームから自由席を覗いたら、20人前後しか残っていない。私は【オホーツク】に座れたから乗っただけだが、もし【オホーツク】に座れなかったら、次の特急【カムイ】や【ライラック】に乗る腹積もりだった。
しかし【オホーツク】に乗ったから、図らずもJR北海道の気動車特急は全て乗った事になる。

外版の塗装が剥落し痛々しいキハ183系
特急【オホーツク3号】旭川発車

しかし、改めて【オホーツク3号】いやキハ183系を見たら、あちこちで外版の塗装が剥落し痛々しい姿。もうすぐ廃車になるのは確実だが、仮にも別途料金がかかる列車だから、もう少しメンテナンスをして欲しい気がする。鉄道ファンの私ですら見るに堪えないし、たまたま座れたから【オホーツク】に乗ったが、普通の乗客なら【カムイ】や【ライラック】を選ぶだろう。ホームでガラガラの【オホーツク3号】の発車を見送り、私はホテルまで歩いた。
旭川駅からかなり歩き、ホテルにチェックイン。先に記した通り、【旭川宿泊応援事業・あさっぴー割】の恩恵を受け、本来の宿泊代金4,400円の内3,000円が旭川市から補助され、1,400円で泊まれる。補助金に関してはホテル側が申請処理するらしく、我々ユーザー側が事後申請などする必要が無いのも良い。しかし、補助金があるとは言え、一泊1,400円なんぞ、私の旅行人生でも前例が無い破格値だ。

宿泊費は1,400円(一部画像処理)

ホテルの部屋に入り、夕食だが、駅近くのセイコーマートは元日休業。仕方なくセブンイレブンに入ったがめぼしい弁当は無し。じゃあ北海道らしく北海道限定出汁のどん兵衛と、これまた北海道限定の東洋水産のマルちゃんやきそば弁当(大判)にしようと思い、夕食はカップ麺になった。

元日の夕食は北海道限定カップ麺 

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