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『一統』という集落のシステム

私の地元に『一統』と呼ばれる集落のシステムがあります。

いっ‐とう【一統】
読み方:いっとう

【一】[名](スル)
1 一つにまとめて治めること。統一。「天下を—する」
2 一つにまとまった全体。一同。総体。「同窓の—」「町内会御—様」

【二】[副]おしなべて。いちように。
「入塾之書生は何もかも—ひとつにいたし」〈鴎外・北条霞亭〉

Weblio国語辞典

これは【一】の2『一つにまとまった全体』という意味だと思います。見聞きした情報で、くわしいことはあまり分かりませんが。

『一統』は必ずしも親戚ではない

佐藤さんなら佐藤一統、田中さんなら田中一統、山田さんなら山田一統というように使い、近所に住む同じ姓のグループのようなものです。父曰く、『一族と同義語』だそうです。でも血縁関係はあまりありません。
私の地元は田舎なので近所に同じ姓をした家庭がいくつもありますが、同じ姓だからと言って決して親族や親戚ではありません。家系図を辿ればもしかすると同じ家元に行き着くかもしれませんが、江戸以前の話になると思います。現に実家の家系は江戸末期まで辿れますが、近所の家系とは繋がりません。もちろん、中には親戚もいますが。
ただただ、『一統』は近所に住む同じ姓をした家庭でつくられた集合体です。

冠婚葬祭を営む

一統で集まる時は冠婚葬祭の時で、特に通夜・葬式・法事に集まっていた記憶があります。冠婚葬祭を一家庭に負担がかからないようにしていた田舎の名残ではないかなと思っています。
お葬式前日に集まって「花はうちが」「この前、出してくれたから今度は私の家が」「それはこちらでやる」「じゃあ、これはそちら負担で」と一統長(?)が喪主と指揮していた感じでした。集まっていたのは各家庭の年長者が主でしたが、「もう歳だから代替わりで若い者を」と、息子(近所に住む幼馴染の父)を連れてきた家庭もありました。
葬儀では、住職による法要の他に、一統長がお経をあげるシーンもありました。そういう仕様でした。

母の話

いまはもうやっていないと思いますが、母が嫁入りした時には、訪問着を着て一統の家庭をひとつひとつ挨拶して回ったようです。結婚式も、一統の家庭をすべて呼ぶのが習わしだったそうでした。母曰く、参列者は多いわ、お色直しは4回もあるわで大変だったと言っていました。

知人の父の話

知人の父がいた一統には順番があり、1番が長で、田畑の枚数や家柄で番号が若い順に割り振られていたようでした。知人父は4番だったそうです。田植え前になると田の用水の掃除に駆り出され、参加しないと罰金だったと言っていました。値段を聞きましたが、当時の値段では高額でした。

その他、一統の情報

他に『一統』についてご存知の方がいましたら、教えていただけますと幸いです。
一体なんなんだろう、このシステム。


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