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小説投稿サイトというレッドオーシャンの泳ぎ方

現状分析

私は事業会社に勤めており、いくつかのWEB関連事業のプロダクト開発や運用を経験してきました。

そういった経験が背景にあるものですから、個人開発によってサービスを立ち上げることの難しさもよく分かっています。そして、個人開発であえて小説投稿サイトを選択するのはさらに茨の道であることも理解しています。

実は、小説投稿サイトは15年前ぐらいまでは個人運営が当たり前でした。その頃に産声を上げて、今日こんにちまで成長しているサイトの代表が「小説家になろう」です。そして、その影に隠れがちですが「ハーメルン」も個人発のサイトです。

だから、個人開発で小説投稿サイトはワンチャンありそうに錯覚しがちですが、今は多くの資本が参入しており、いわゆるレッドオーシャンです。

老舗どころではアルファポリスがそうですし、今1番勢いのあるカクヨムはKADOKAWAです。その他、ホビージャパンの運営するノベルアップ+、DeNAからメディアドゥに全株譲渡されたエブリスタ。

これに加えて、昨今ではアジアで成功している外資も乗り込んできています。ノベリズム、ノベルピアです。ノベリズムは残念なことになりましたが、ノベルピアは日本市場攻略のためにかなりの資金を投じているように見えます。

スタートアップも勢いがあります。若者中心に多くの支持を集めDL数600万件とも言われるテラーノベル、執筆ツールとして30万人の作者が登録しているindent社が運営するNolaノベルおよびprologue。

また、小説投稿サイトというポジションをとっていないだけで、そのプラットフォームの中で小説投稿サイトとしての性質を持っているpixiv、note、monogataryなんかもあります。

一方で撤退したところも星の数ほどあります。有名どころではLINEのLINEノベル、講談社のセルバンテス。

こういった状況下で個人がその分野にチャレンジするのは、自分で書いていてアレですが狂気の沙汰に違いありません。

では、なぜそんな分野に挑戦するのか?正気なのか?勝機はあるのか?と、おそらく周りのひとは思ってるのではないでしょうか。そこで、今回は自分なりにこの分野で見出している勝ち筋について述べたいと思います。

好きなことを好きなだけやる

まず、私はWEB小説界隈が好きで、ここ5年ぐらい読者として活動してきました。

単なる読者としてではなく、ちゃんと書き手の方々ともTwitter上でコミュニケーションをとり、毎日のように界隈のタイムラインを眺めて彼らの欲求や困りごとについては、深く理解したつもりでいます。如何に大資本とは言え、その中で事業を運営しているのは人間ですし、事業の意思決定に関わる人間はごく少数です。

顧客理解や界隈の特性理解については、彼らと比べてもおそらく負けていないだろうと自負しており、自分の望む作品を読みたいという情熱は日に日に強くなるばかりです。

もちろん前提知識や気持ちだけまさっても、それに基づいて必要な手を打つ実行力が伴わなければ意味がありません。

しかし、私は本業がエンジニアであり、自分で決めて自分ですぐ作ることができるので、この点については特に問題がないと言えます。懸念点としては専業ではなく、副業になるので、使える時間には制約があることぐらいです。

またそういった情熱と実行力に加えて、個人開発は、採算性の壁がものすごく低く、事業として継続しやすい点も利点として挙げられます。もちろん、開発者の工数は時給0円換算と見なしてこそ可能な話ですが。

コストをケチると集客やインフラの増強の点で不利になってくるので、多少の売上は必須になるでしょうが、赤字さえ避けることができればユーザーファーストな施策を思い切って打てます。

弱者のポジショニング

次に事業としての立ち位置について考えてみます。先に挙げたサイトの多くは、総合的な小説投稿サイトで間口が広い点が魅力です。しかし、先に挙げた採算性を考慮に入れた場合、WEB小説として特に人気のあるファンタジー(異世界恋愛含む)が強くならざるをえません。その結果他のジャンルは、人気ジャンルに比べて、PVの面で結構な差が出てしまいます。

もちろん例外もあります。例えば「小説家になろう」から火がつき映画にまでなった「君の膵臓を食べたい」や、同じくなろう発で数十万部を売り上げた「余命3000文字」、Twitterで記録的なバズを起こしたカクヨムの「近畿地方のある場所について」などです。

一方で、「同志少女よ、敵を撃て」のような商業で数十万部の人気を誇る作品が、カクヨムでは受けないと作者さんが判断して、公募に出した経緯があります

つまり大手サイトでの人気は特定のジャンルが握っており、一般文芸やミステリは不利であると認識されています。それどころかサイトによっては、不人気ジャンルでさえ飽和したファンタジージャンルからの逃避組が占めている有様です(いわゆるジャンル詐欺と揶揄されている現象のことです)。

従いまして、大手サイトで人気のないジャンルに関しては、新興サイトにとってつけいる隙になるだろうと考えています。

ロケブンでは、あえて「地域性」を前面に押し出すことで、ファンタジー以外のジャンルにもスポットライトが当たるようにしています。ですから、他のサイトで人気を獲得できず苦悩している書き手の皆さんに、新たな機会を提供できる場になると考えています。

そのためには、読者も多く連れて来なければ話にならないわけですが、長くなってしまいましたので、その辺りの話は次の機会とさせていただきます。

最後に

もしロケブンというサイトに興味を持っていただけましたら、ぜひ当運営のアカウントのフォローをお願いします!


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