ポケットモンスターを面白いと思う理由

今回は日本が誇る世界的人気のゲーム、ポケットモンスターについての記事になります。
しかし、普通に書いても1人のおっさんの感想になってしまうので
ここではプロ目線で考察する記事にしていきたいと思います。
プロ目線の考察といってもあくまで個人的な考察です。そこはご理解の上どうぞよろしくお願いいたします。

はじめに

おそらく、業界人になって最も意識が変わったのがゲームコンセプトへの目線です。普通に遊ぶ分には必要ない目線ですが、企画書職の私にとってはここをしっかり読み取れるかが最も重要です。普段からゲームを遊んでいる時にもこの軸を常に確認しながら遊ぶようにしています。
ですので、感想が辛辣な時は大体コンセプトから外れているものを見つけた時だとご理解してください(笑)

ゲームマニアになるほどこのシステムが〜と語りがちになるのですが、
はっきりとしたコンセプトを明示し、コンセプトから伸びていくシステムを考案する。これがゲームデザインだと筆者は考えています。
前置きが長くなりましたが、始めます。

コンセプト

「不思議な生き物「ポケモン」がいる未知の世界を冒険する体験」
コアコンセプト:少年時代の虫取りの原体験

筆者が思うポケモンのコンセプトはこれです。長年ファンを続けていておぼろげに感じていたことではありますが、社長が訊くなどで言及されている記事を引用してみます。

▼引用 社長が訊く ポケットモンスターブラック・ホワイト
https://www.nintendo.co.jp/ds/interview/irbj/vol1/index4.html
杉森 
ですから、そういう危機感はチーム全体にあったんですけど、
やっぱり「『ポケモン』とは何か?」という命題には
「ここは破ってはいけない」というのがあって、
それは何かというと、今回変わらなかったところだと思っているんです。
岩田
ああ~なるほど。
こんなに変えようとしたのに、変わらなかったものこそが、
『ポケモン』が『ポケモン』であるために大事な部分なんですね。
杉森
そうです。やっぱり博士の口上ではじまることって
意外と大事だったりして、それがあるだけで
『ポケモン』であるという感じもしますし。
岩田
「このなかからポケモンを選べ」と言ってはじまることが
『ポケモン』らしさのひとつだと。
杉森
はい。あとは、やっぱり地に足がついているというか、
いままで、日本を舞台に、“少年のひと夏の物語”みたいな
スケールの小さいお話をつくってきたわけですけど、
『ポケモン』のベースは実はそこにあって・・・。
岩田
ひと夏の虫取り少年の物語ですね。

ここでもひと夏の虫取り少年の物語がやはりキーワードになっていると筆者は見ています。虫取り少年の物語を体験するための手段(システム)としてRPGが採用されているのです。
最新シリーズになったとしても主人公が子供で、ポケモンを捕まえてポケモン図鑑をコンプリートするのが最大の目標という部分が絶対に変わらないのはこのためだと見ています。

ポケモンは「収集」「育成」「交換」「対戦」がコンセプトだ!という人がよくいますが、違います。これはあくまでポケモンを構成する要素だと見ています。次の項目で述べていきます。

斬新すぎた「収集」「育成」「対戦」「交換」

当時、ポケモンの存在は実に斬新だったといえるでしょう。
ポケモン登場まで、モンスターといえば普通は「敵」。
敵を倒すというのはRPGゲームは基本でしたが
敵を捕まえて集め、育てて、その元敵を戦わせて、交換する
いずれかの要素はすでに存在していたと思いますが、この4つを全部盛り込んだのはポケモンが初めてだと思います。そして151匹もいる。当時のGBに詰め込んだので、容量はカツカツだったそうです。
開発期間も当時として異例中の異例の長さですね。それほど難航した&詰め込んだのだと思われます。
まあ、あとはWikipediaなどで書いてある説明不要の話だと思いますので、本記事では割愛します。

ポケモンという「生き物」の表現が素晴らしいゲーム

筆者が1番このゲームの素晴らしいと考えている部分なのですが、「ポケモン」は生き物である。生き物であるから個性がある。ということを表現した要素がそこら中に散りばめられています。
タイプ、個体値、努力値、性別、特性、色違い…
他にも色々ありますが、このあたりのパラメータはポケモンという生き物の個性を表現するものだといえます。(収集欲やバトルの個性化に…それはあくまでゲームに深みを持たせる副次的要素です。もちろんその恩恵を受けて現在があるのは間違いありません。)

上記で述べたのはシステムですが、街並みもポケモンと人間が共存している世界の表現が素晴らしいです。家の中にはポケモンがいることもありますし、移動手段にとってもひこうポケモンで「そらをとぶ」。
魅力ある独特の世界構築に成功しています。おそらく今でもこの世界を構築しているのはポケモンだけと思います。


最後に

ポケットモンスターは私が述べるまでもなく面白いゲームなのでいまさらな気もしましたが、やっぱり全ての面においてすごいゲームです。
子供の頃から衝撃を受けて大好きなゲームですが、プロになってコンセプトに気づいた時にまた衝撃を受けるという何度も筆者を驚かせる貴重な存在ともいえます。
ポケモンで育った自分が、どのように昇華できるか・・・そんなことを考えながらまた開発に邁進していきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。


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おまけ

近年のポケモンシリーズについて思うこと

大前提から始めると、自分はポケモン世代の人間で3歳の頃から親と一緒にポケモンを遊び、親がやり込んで集めた150匹を誤って消すということをやってのけるくらい(笑)ポケモンと共に成長しました。

ですから、昔のポケモンへのこだわりが半端ない老害としての個人的な意見として拝読いただきたいのですが
2018年に発売されたポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイは本当に素晴らしい作品でした。ピカチュウ版のリメイク作品ですが、カントー地方を舞台に当時の色は失わずにポケモンGOの新しい要素を上手く組み合わせた意欲作。ポケモンはこうです!というアンサーを提示された気がしました。草むらに本当にポケモンが歩いている遊びは衝撃的でした。

私にはまだ経験がないですが
ここまで続いたシリーズの最新作を作るということは重圧もアイデアの難易度も半端じゃないと思います。
しかし、今後もポケットモンスターはその期待を越えてくれるものだと信じていますので期待しています。

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