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マンガ五選。(その1)


さんぴん倶楽部の役満です。

なにか漫画のことについて書こうと思っていたら、

「私を構成する5つのマンガ」というイベント?を見つけたので、note新参者なので恐縮ですが、書こうかということではじめていきます。

ちなみに私たち「さんぴん倶楽部」は何人かで運営してるので、タイトルに私の場合という意味をこめて「その1」とつけさせてもらいました。


そもそも、家の近所に古本市場があった私は、小学生のころから朝から晩まで本屋にいき、立ち読みをしてるかわいそうなクソガキでした。

おこづかいを貰えるようになってからは、マンガを買っては読んで、読み終わったら売ってを繰り返し、愛も憎しみもグロもエロもマンガに学びました。どんどん変な知識ばっかり増えていきました。

そういった悲しい青春ですが、確実に学生の頃の自分を構成するマンガは、ド真ん中に「スラムダンク」があって、漢を「バキ」「北斗の拳」「クローズ」から学び、ギャグセンスを「ピューと吹くジャガー」「浦安鉄筋家族」「メゾンドペンギン」で磨きました。

まあその他にも棚の端から端まで全部読むとかやってたんで、有名な作品は一通り通ったのちに、今何を語ろうかと考えたら、『今の自分の感性に突き刺さった作品たち」という趣旨で五つ選ばせてもらいました。

ネタバレはなしというルールで、解説と感想とどこに自分が影響受けたのかについて書いていきます。

①【ぼくんち】西原理恵子

一作目からヘビー級。刃牙で言うなら範馬勇次郎。

あらすじは、すごいざっくり言うとめちゃくちゃ貧しい村で暮らす人々の話。もう薬物、犯罪のオンパレード。そんな村に住む幼い兄弟が主人公で、その家族や周りの人々がおりなす話。

短い話がいっぱいある構成で、画風も相まってコミカルに描かれている。登場人物も明るくきさくで優しさをもっている。なので気軽な気持ちで読むと、メンタルと涙腺がやられるから気を付けてほしい。

このマンガの良さは、常識を超えた人間味なのかなと思います。とにかくもうヤンキーの喧嘩とかそんなんじゃない。

人間の常識とか社会性って、環境に適応するために変化していくと思うが、ここには自分たちとは違った生き方や価値観や常識がある。じゃあそれはいかれてるかといえばそうじゃない、不純物を取り除いた水のような綺麗さまである。

ここで語るマンガ五つに共通するのは、苦労した人間がでてきて、その人間性が様々な人様々なかたちで救っていく。「人間賛歌」である。

一つだけ好きなエピソードを紹介します。

鉄じいと呼ばれているホームレスみたいなじいさんがいました。ある日、鉄じいは家を大雨で流されてしまいます。跡地にて雨に打たれながら鉄じいは主人公の一人「二太」に言います。

「貧乏てええとおもわんか。こんな時ちっとも困らんで。これが金持ちの家やったらえらいことや。なくすもんがありすぎると人もやってられん。両手でもてるもんだけでよしとしとかんとな。」

そういって大声で笑いながら醤油をがぶ飲みする。

感じることは人それぞれですが、とにかくこういう話、もう教えといってもいいかもしんないくらい。生きていく考え方に対して、「何を大切とするか」影響されました。西原理恵子の人生哲学書をぜひ一読ください。



②【自虐の詩】業田良家

二作目もかなり重たい。書いててしんどい。

このマンガは、四コマ漫画です。最初はギャグテイストなのに、後半は物語として展開していき、まあ最後の方はスラムダンクの山王戦に匹敵する。

あらすじは、幸江というちょっと不細工で貧乏でわりと控えめな性格の主婦と、その夫の何かあればちゃぶ台返し、ギャンブル、酒、といったイサオの日常を描いたもの。後半は幸江の過去編に入る。

このマンガのよさも、「ぼくんち」同様、とにかく人間の強さが作品ににじみ出ている。あくまで現実で言えばとても悲しい、つらい状況でも笑って乗り越えていく。その人間的な生きていくために必要な強さ。

周りの人が見れば不幸なんだけど、本人はそんなのとっくに乗り越えてる。その姿が確実に心に響く。

その強さ、影響受けました。とにかく泣けるマンガしりたいならこれ読んでくれ。

③【ねじ式】つげ義春

きましたね、最高のアート。

元はっぴいえんどの松本隆さんが作詞について語っている記事の中に、このつげ義春の世界観に影響をうけたとおっしゃているのを知り、その日に本買いました。

あらすじはもうwikiみてくれ。たぶんここで説明しても、いろんなサイトみてもよくわかんないと思います。というか良さはそこがメインじゃないと個人的に思ってます。

先ほどの2作品と違い、哲学ではなく芸術というベクトルで、突き刺さりました。

古いマンガですが、当時ですらかなりサブカルでアングラな作品だったとききました。薄暗い風景、暗い表情の人物。どこかもの悲しげな世界観の中に、エロ、グロ、ホラーのようなカオスもありつつ、人間のもろさを描いたような独特な表現。隠喩。

絵画でも綺麗な風景画じゃなく、すごく抽象的な作品に近い。表現に振り切れた世界は現実に見えた世界とは違う。その世界観を楽しめれば最高の作品となるでしょう。ちなみに代表作が「ねじ式」なのでそうしましたが、短編がいっぱいある感じなので、いろいろ漁ってみてください。

あと、これは重要なんだけど最近のマンガやその他エンタメ作品は、あざといものが多すぎて、食ったらすぐ排泄みたいな感じで腹にたまらないものが多い。何にも考えなくても楽しめてしまう分、アウトプットのし甲斐がない。

ここで紹介するマンガのほとんどが二郎。胃もたれすごい。ただ、つげ作品は何日も煮込んだ出汁みたいな感覚。ずっと舌が覚えてる。感覚を直接いじくられた感覚。ぜひ。

④【天 天和通りの快男児」福本伸行

これも毛色の違うマンガ。麻雀マンガ。

カイジで有名な福本伸行先生のマンガ。銀と金か天で迷ったけど、今回は天。

なぜなら赤木が好きだから。

あらすじは基本的にずっと麻雀してます。あと、赤木しげるが出てきます。のちに「アカギ」の主人公になるあの伝説の男です。

もうこのマンガの主人公は赤木なのか?ってほどとてつもなくかっこよく描かれてます。終盤の「通夜編」はもう赤木中心に話が回っていく。

赤木を知らない人のためにざっくり言うと、天才博徒。俺が見てきたマンガキャラの中でも屈指のメンタルの強さ。いかなる窮地でもひるまない。カリスマ性はDIOに匹敵する男。いつでもクールで尚且つ大胆な、様々なかっこいい要素のオールスターです。

主人公たちは、麻雀を通して勝負師として成長していきますが、赤木は人間くさくなっていきます。「通夜編」では麻雀は打ちません。一人ひとりと赤木が一対一で話し合います。

ネタバレみたいになりますが、赤木は自殺しようとしてます。それをみんなが止めに来るんですが、そこで赤木は自分の人生観を話していきます。

赤木ほどの天才勝負師が自殺する前に語る言葉はとても素晴らしいものでした。儚いからこそ輝く。ぜひそこだけでもいいんで読んでください。


⑤【男の操】業田良家

自虐の詩に続き、同じ作者の作品です。

あらすじは、紅白出場を目指す、売れない演歌歌手の五木みさお。みさおの周りのにぎやかな人たちと日常は、だんだん変化していく。

みさおは妻を亡くしており、娘と二人で暮らしているだ。

二人の日常は貧しく、つらいことも少なくないが、夢を追いかけて親子で頑張っていくほのぼのとした毎日。

ネタバレになるので言えませんが、物語がもうめちゃくちゃいい。最後にこのマンガを選んだのは、シンプルに一番泣けたからです。

誰もが純粋さを大切にしていて、大人たちもその純粋さにひかれて次第に変わっていく。正直になっていく。

そういった人間の綺麗さ。本来持つ綺麗さがこのマンガには詰まってる。

「衝撃のラストに涙が止まらない!!」みたいなのって大体くそやけど、これは本物です。まあラストがというかは一冊を通してって感じで。

【まとめ】

だいぶ長ったらしくなってしまったが、とにかく人間として生きていく上での感覚や価値観に突き刺さる作品を集めました。

天を除いて全部1~2冊とかで終わるんで読んでみてください。

全部自分が今つくっているものなどに影響されています。

イコール生きていくうえでの自分の感覚指針のようなものになってます。

マンガ、おすすめあったら教えてください。

ちなみに刃牙で好きなキャラは渋川です。

さんぴん倶楽部の役満でした。