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単なる栄養摂取という枠を飛び越え、食事はバイキングという難解ステージに突入した……。

私がどのような人間かを一言で説明すると、頭脳明晰、沈着冷静、スポーツ万能、見た目は子供、頭脳は大人、清廉潔白、博愛主義、真実はいつも一つ、容姿端麗、筋骨隆々、バーロー、ろくでなし、でくのぼう、半人前の出来損ない、無知で愚鈍な浅知恵人間という言葉が並ぶ。気づいたら悪口になっていた。ところどころにコナン君が紛れ込んでいた。

そんな私にも、特異なことと苦手なことがある。誤変換をそのまま気にせずに放置してみた。

まず、特異なことだが、指先からレーザービームを出し、敵を攻撃することができるし、強く念じるだけで物を浮かせることもできる。入浴時には浴槽にアヒルのおもちゃを浮かせることもできる。
誤変換の特異をいつまでも引っ張るのはもうやめにしないか。

あらためて、得意なことだが……
とここまで書いてそれほど得意なことがないと気がつく。強いて言うならば、相手の顔を見ただけでフルネームと残りの寿命がわかるというくらいで、こんなこと、特技のうちには入らないだろう。


やっとここからが本題。
お急ぎの方はここから読んでいただいてかまわないのだが、そんなこと、ここまで読まなきゃわからないから、書いたって意味ないよね。ごめんね。
そもそも、本当にお急ぎの方はこんな駄文、読んでないか。
「ああ! もうすぐバスが来るのに、この著者、まだ本題に入らないよ!」なんて言っている人いるわけない。

で、何が言いたいかというと、私には苦手なことがあるって話。
前置きが長すぎたので単刀直入に言うと、私はバイキング形式の食事が苦手なのだ。

シェフが腕によりをかけて用意した豪華絢爛、多種多様な料理の数々。「和」があり、「洋」があり、「中」があって「大」と「小」もある。料理の「中」は大きさの話と違うのよ。

どの料理をどれだけとってもいい。自分の食べたいものを好きなだけ選べる。そう言われると、ここは天国か? と腹を空かせた子豚のような私は思うわけだが、いざお皿を用意して思うのだ。何を食べたらいいのやら、と。

たくさんありすぎると、どれを選べばいいのかわからなくなってしまう。
また、自分がどれだけの量を食べられるのかもよくわからない。
お皿にちょこんときんぴらごぼうだけをのせて席についたところではたして満腹になるだろうか、いやならぬ。
かといって、お寿司を十貫、シェフが目の前で焼いてくれるステーキを五枚、あら、ラーメンまであるの? じゃあ、それを一杯いただきましょう。あ、やっぱ見つけると食べたくなるよね、カレー。うまいよねぇ、なんでこんなにカレー好きかな。えっ? カレーソースが三種類も? まいったね、こりゃ。じゃあ、全部いただこうか。なになに? 炊き込みご飯もあるだって? くぅぅ。たまらないねぇ。え? 焼きたてパンだって?

なんてやっているうちにテーブルはお皿だらけだ。

だったらいっそのこと、「はい、牛丼」とそれ一つだけをドンと出されたほうが、話は早い。よし、これだけを平らげればいいのだな、と単細胞の私にも認識できるからだ。


同じ要領で、一貫ずつ頼むようなお寿司の食べ方も苦手だ。やはり何をどれだけ食べていいのかわからなくなってしまうから。
それなら最初から「はい、あんたはかっぱ巻きね」とメニュー表の中から勝手に「かっぱ巻き・梅」を注文されたほうが楽なのだ。
この店、かっぱ巻きにも松・竹・梅のランク分けしてるのか。


とにかく、たくさんのものの中から最善をピックアップして、メニューの集合体を作り上げるということがどうしてもできないのだ。目の前の一つをやっつけることしか絶対にできないのだ。

ということは、だ。ここまできてようやく解決方法が見えてきたではないか。
・選ぶことができない。
・かっぱ巻きや牛丼のように与えられたものを食べきることはできる。
バイキング形式の食事で、この二つを同時に満たすには、これしかない。
【会場にあるメニューを全て食べきる】
全部、自分が注文したものだと思ってガツガツバクバク食べまくるのだ。これなら選ぶ必要もなく、ただ食べきることに集中できる。

一つ問題なのは、私がひいひい言いながら唐揚げを完食しても、厨房から揚げたて唐揚げが再びやってくる可能性もあるということ。そうなってしまうと、私はもうこの先、ずっと食事を終わらせることができなくなってしまうだろう。みなさん、さようなら。私はフードファイターに転身します。

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