新年度になったのでなにか新しく始めたいところだけど何も思いつかないのでおとなしく漫才でも書いておく

サル男「四月を迎えて新年度がスタートしたね。新入学や新入社をされた方々、おめでとうございます」

モン太「侵入社員の皆様はこれから企業スパイとして様々なミッションをこなしていくわけですね」

サル男「そのしんにゅうじゃないのよ。侵入成功をお祝いしてるわけじゃないんだから」

モン太「なにはともあれ、四月っていうのは自分に環境の変化がなくても、新たな気持ちになったりするもんだね」

サル男「やっぱりそういった話題を耳にするからかな」

モン太「ついこの前、新年を迎えたときに気持ちを新たにしたはずだったのにね」

サル男「まあまあ、新年にたてた目標がうまくいっていないっていう人もここからまた気持ちを新たにね」

モン太「本当それね。僕もついこの前スマホを新たにしたはずだったのに、もう落っことしちゃって」

サル男「ちょっと違う話をしているね」

モン太「画面にヒビ入っちゃってさ」

サル男「スマホといえば、新しくできた友達と連絡先を交換したり」

モン太「その友達との関係にヒビ入っちゃってさ」

サル男「嫌なこと言うなよ。春なんだから、明るく前向きにいきましょうよ」

モン太「そういう考え方どうかと思うよ。春だから明るく前向きって……じゃあ、夏は暗く後ろ向きでもいいって言うの? 秋は薄暗く? 間接照明で雰囲気だして横向きでもいい? 冬は? 逆に煌々と照らす? 煌々と照らして枕は北向き?」

サル男「寝つけなさそうだね。とにかく、なにか新しいことを始めてみるといいよってことさ」

モン太「新しいことねぇ。たとえば?」

サル男「ううん……日記をつけてみるとか」

モン太「日記!? 全然新しくないよ、それ。その発想がもう古いよ。日記つけるくらいだったら、スマホに保護フィルムつけるわ」

サル男「それはどのみちつけたほうがいい」

モン太「だいたいさ、日記ってなに書いたらいいのかわからなくて。日記ってなに書いたらいいのかわからなくてって書いておけばいい?」

サル男「その日あったこととかでいいじゃん」

モン太「どこにでもある日常だよ? そんなの書いてもね。しかも毎日同じ生活。繰り返しの日々。それでも日々は続いていく。Life goes on」

サル男「日記書かずに詩書いちゃってるよ。たとえば、今日なにがあったか言ってごらんよ」

モン太「えーっと……まず落とし穴に落ちたでしょ。そして」

サル男「はい、待った。どこにあるか、そんな日常」

モン太「よくあるだろ。落とし穴に落ちて、で、汚れちゃったからシャワーに向かおうと思ったらまた別の穴に落ちちゃって。あるあるだよね」

サル男「そもそも前提がなしなしだから」

モン太「やっと脱衣所まできたと思ったら服脱ぐときにポケットからスマホが落ちちゃって」

サル男「スマホ落としすぎだわ」

モン太「新生活のスタートにともない、いろんな《はじめて》が生まれるね」

サル男「新一年生の場合は、はじめての授業やはじめての給食とか」

モン太「新社会人だったら、はじめての便宜供与とかね」

サル男「新人になにさせてんの」

モン太「社会にでたらいろいろあるから。何の説明もなく、命令だけされたりさ。この白い粉を港の第四倉庫まで、とかね」

サル男「おい、なにか運ばされてるぞ!」

モン太「はじめてのおつかいだね」

サル男「どっちかというと警察二十四時だわ。いい加減にしなさい」

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