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ものもらいになったことに関してどうこう書こうというのです

普段から目を酷使しすぎているなとは思っていた。
本来なら口で言うべきところを、目にモノを言わせてみたり。
本来なら魚の鱗を落とすところを、目から鱗を落としてみたり。
本来なら鼻くそを笑わなきゃいけないところで、目くそを笑ってみたり。

少し目のケアをしないといけないな、と思っていた矢先にものもらいになった。

右目だ。
始まりは痛みだった。眼球自体に痛みがあると同時に、まばたきをする度に眼窩が痛む。骨だよ、骨。目の周りの骨が痛み出すのさ。
最初はあれかと思った。憎きアイツに思いきりぶん殴られたときの痛みが抜けないのだ、と。でもよく考えてみたら憎きアイツなんて存在してなかったし、誰にも殴られたことなんてなかったし、親にもぶたれたことないのにって言ってみたかった。

痛みに続いて私を襲ったのは、目の中のゴロゴロ感だった。
ゴロゴロといっても平日の昼間からやるアレではない。
異物感だ。
あのゴロゴロ感といったら、私の目玉を誰かが大玉転がしよろしく転がしまわっているかのようだ。いつもは正面に黒目が一つだけなのに、ゴロゴロと転がされたもんだから裏側が正面にきちゃって。みなさん、知ってますか。眼球を裏返すと黒目が六つついているのですよ。サイコロと同じ原理で、黒目が一つの面を半回転させると裏側の黒目六つの面が現れるのです。です、って言いきっちゃった。

症状としては、とにかく痛みとゴロ感がすごくて。あと、かゆみ。あと、金欠。ときに、空腹。

そしてだんだんと腫れてきた。右目の下まぶただけ赤くぷっくりとしてきたのだ。
タラコ唇なら聞いたことあるけど、タラコ下まぶたなんて聞いたことある? タラコ下まぶたのマヨネーズ和えなんて食べたことある?

ああ、もう確定。確定演出。なんらかの異常、間違いなし。病気だ。失明だ。眼科だ。休診だ。どうしよう。

しかたなく、今まで行ったことも見たことも聞いたこともない、要するに初診の眼科へ行った。
このとき、私は眼球の摘出まで覚悟していたので、術後に眼球を持ち帰るためのガシャポンケースを二つ持っていった。二つといってもあれですよ、両目を摘出すると思ったわけではないです。ただ、これまで眼球を取り出したことがないもので大きさがわからず、サイズ違いを二つ用意しただけでごぜーますよ。

で、結果としてものもらいだったというわけだ。
正直な話、ウィルス性の結膜炎なんかを疑っていて、家族にうつしてはいけないと洗面所からなにからせっせと消毒してまわっていたのです。そのせいでもう、家の中がピカピカになっちゃったもんでそれはそれでよかったのか。

点眼薬と軟膏がでた。どちらも一日二回。

人にうつすこともないと診断され一安心したわけなのだが、かゆくてかゆくてどうにもならない。
こんな文章なんかかいていないで目を思いきりかきたい。

しかし、かゆみを治めるチャンスは一日二回までと決められている。
そこで私はひらめいた。
最初は、普通に点眼薬を使用しその直後に塗り薬をぬりぬりしていたのだが、これを分ければいいのではないか。点眼薬をさして、しばらくしてからぬりぬり。さすれば、一日二回のお薬が二種類。2×2=4だ!
一日に処方薬を四発も撃てる! このとき、初めて浦飯幽助の気持ちを理解した。

貴重な霊丸を外すことなきよう、狙いを定めてバキューン。
ところが、その点眼薬は粘性がありなかなかポタリと垂れてこない。
手、疲れてきた。

お医者さんには、最初の二日のみ二回の点眼と言われていた。三日目からは一回に減らされるのだ。驚きなんですけど。二日目の夜の段階でめっちゃかゆいんですけど。

ところが、翌日の三日目から嘘のように目はすっきり。
医療の力は偉大なり、と痛感させられたのであった。

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