見出し画像

エンタメ視点から覗くSDGsとこれから

はじめに

はじめまして、株式会社コムニコ 執行役員の広瀬と申します。
新規営業やカスタマーサクセス部門を統括しています。弊グループのnote企画『バトンをつないで #SDGs Challenge』で、30番目の走者としてバトンを受け取りました。

この記事にアクセスされた皆さんであれば、SDGsについての説明は不要でしょう。日頃から高い関心をもって、SDGsについて考えていらっしゃると思います。

これまで、社員がリレー形式で色んな視点からSDGsについて考える記事を公開してきました。身近な話題から考えるものもあれば、先進的な事例を紹介していたり。
どんなテーマが自分に合うのかと考えていましたら、そもそも私は(あるいは世の中の人びとは)SDGsをどこで覚え、どこで関心をもったのか。自分の記憶を辿りながら、過去の取り組みを調査しながら、振り返ってみたいと思いました。

私の癖なのですが、何か新しい情報に触れた時、何かしら自分にとって解像度の高いコンテンツに置き換えて考えます。
SDGsも同様で、例えば某RPGゲームを連想して良きように変換してしまいます。(安直ですか?笑)

例)
経済・社会・環境をめぐるあらゆる社会問題 → 魔王率いる魔物たちによる世界征服
2030年までの国際目標 → プレイヤー(私たち)の冒険する目的
SDGs17の目標・169のターゲット → 各種クエスト
達成状況 → レベルアップ・アイテム取得状況
グローバル・パートナーシップ → パーティー・旅先で出会う人々や冒険拠点

というように。

この取り組みの意義を楽しみながら学べるように・色んな人に関心を持ってもらうために、国・自治体・企業・団体は様々な方法で発信に力を入れています。まず興味を持ってもらえないと始まらないですからね。

「あなたがやるんだ」という社会的使命を感じてもらうことが第一歩で、そのために様々なエンタメコンテンツに上手に絡めて世の中に投げかけています。

エンタメがSDGsの浸透に与えた影響

事例をご紹介する前に、皆さんはSDGsという言葉をいつから耳にするようになりましたか?
2015年の国連サミットで採択されたものなので当然ここ5~6年の間かと思います。
今では、テレビや紙面にSDGsのフレーズが含まれることはそんなに珍しいことではありません。

世の中での認知と情報の流通量に相関があるはずと思い、可能な限り過去に遡って、SNS・掲示板・ブログでの「SDGs」の言及量について見てみました。(図1)

画像1

図1:ソーシャルリスニングツール「NETBASE」
「SDGs」について過去3年間で調査

キーワード自体は国連でSDGsが採択された2015年から存在しているものの、私たちの日常に顕在化していくのは2019年頃から。
俯瞰して全体を見ると気になるのが大きな山となっている赤枠の3箇所だと思います。
それぞれ何があったか順に調べてみると・・

①2019年1月:「TGC SHIZUOKA 2019 for SDGs by TOKYO GIRLS COLLECTION」

TGC×SDGsの記念すべきイベント第一回目です。
出演者のツイートを中心に、リツイートで多く拡散されていました。まさにエンタメで情報量が加速した例ですね。

②2020年1月:「SDGs推進 TGC しずおか 2020 by TOKYO GIRLS COLLECTION」

2年連続でTGCしずおかの関連ツイートがSDGsの言及につながっています。
コロナ禍ということもあって、遠隔配信もされたようです。人気アイドルグループのゲスト参加も、大きな話題につながりました。

③2021年3月:SDGs強化月間

3月17日が「みんなで考えるSDGsの日」ということもあり、3月は企業・メディアなど幅広くSDGsに関する情報発信が積極的に行われました。

ご紹介した①~③はいずれも、エンタメが起点になっていますね。
繰り返しになりますが、まず興味を持ってもらえないと始まらないので、1人1人が自分にとって身近な、興味を持てる領域からSDGsに触れることはとても大事です。

エンタメ×SDGsの取り組み例

先ほどご紹介したような、イベントなどのプロモーションは分かりやすいですよね。
でも実は、ここ数年でSDGsにまつわるエンタメコンテンツは他にも広がっています。
テレビで、YouTubeで、ネットニュースで目にすることもあるかもしれません。

SDGs-1グランプリ(吉本興業)

あの人気賞レースをもじった「SDGs-1グランプリ2020」は、お笑い芸人が17の開発目標からテーマを1つ選びネタを披露。「誰がいちばん笑いを交えてわかりやすく、楽しく伝えることができるか」を競っていました。

皆さんも好きであろう芸人たちが様々な切り口からネタを考えていますので、ご興味ある方はリンク先を見てみてください。
ちなみに吉本興業は、他社に先駆け2017年からSDGs×吉本芸人の発信に力を入れています。

Kan Sano×SKY-HI「仕合わせ」(九州⼤学⼤学院芸術⼯学研究院SDGsデザインユニット)

メイキング映像の公開から話題となり、YouTubeのコメント欄にもあるようにカラフルなミュージックビデオや歌詞がファンを中心に高く評価されているのがわかります。

同時に、Apple Music / Spotifyでライブラリに追加した人向けに「SKY-HIが観た人を全力で“仕合わせ”にする動画」をプレゼントするキャンペーンも実施し、SNSで反響を集めました。

SDGs音楽特番「未来はぼくらの歌の中」(フジテレビ)

今年の3月17日(「みんなで考えるSDGsの日」)に合わせての放送でしたが、テレビのゴールデンタイムにSDGsと題した番組が放送されるのには驚きました。
音楽を通して、好きなアーティストを通じて将来の自分たちのことを考えるきっかけになるので、これからは当たり前の光景になるのかもしれません。

映画「ドリーム」(20世紀フォックス)

SDGsの目標5「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」を意識させられる作品。公民権運動が巻き起こった時代を舞台にしており、初の有人宇宙飛行計画を支えた3人の黒人女性の苦労や功績を描いたサクセスストーリーです。

映画といえば、Netflixには社会への問題提起が含まれる「ドキュメンタリー」も充実しており、SDGsを学ぶにはぴったりの作品が多くあると思います。

<番外編>
「環境に配慮」でコンサートツアー中止(コールドプレイ)

SDGsに関連するフェスやイベントは多く存在しますが、「環境を考えてコンサートをしない」と判断をしたアーティストもいます。グラミー賞を7回受賞しているColdplay(コールドプレイ)です。
啓蒙のイベントを開催することと中止すること、どちらが環境問題の改善にとって最適な行動かは分かりませんが、この中止判断は世界自然保護基金(WWF)も評価するコメントを出しました。

テレビや有名人の影響力は健在?

各テレビ局でSDGsをテーマにした番組は今でこそ多くありますが、NHKでは2017年1月に初めて放送したようです。(NHKアーカイブより)
NHKの番組表によると、2017年はSDGs関連の番組が年8回しか放送されていませんが、2021年だけで300回以上も放送されています。(目検で数えましたが、もっとあるはず。)

NHKの報道量の差を見るに、テレビでの露出の変化も人びとの認知に大きく影響を与えたはずで、参考までにSDGsとテレビとの組み合わせも見てみました。(図2)

画像2

図2:ソーシャルリスニングツール「NETBASE」
「SDGs」+「TV」「テレビ」「番組」について過去3年間で調査

ご覧のように、2020年からじわじわとSNSでの露出が増えていき、2020年後半から一気に露出量を増やしています。山になっている発信源は「地球を笑顔にするWEEK」「CDTV ライブ! ライブ!」(ともにTBSテレビ)、「SDGs音楽特番 未来はぼくらの歌の中」(フジテレビ)ですね。

NHKだけでなく民放でもSDGsが盛んに発信されるようになり、テレビ・ネットを問わず有名人による発信が増えたこと、国や自治体・マスコミ以外の企業も追随し対外的に取り組むようになったこと。それによりテレビでもスマホでも情報に触れる機会が増え、SDGsが日常的なキーワードになったという背景がありそうです。

余談ですが、最近呟かれたこのツイートがかなりの数拡散されていますので、6月のSDGs言及量が一気に増えたかもしれません笑


テレビはもちろん、有名人の発言力はSDGsの浸透においても大きな効力を発揮したと言えますね。

終わりに

エンタメを通じてSDGsを見ると、「なぜその有名人なのか」「なぜこの番組でやるのか」といったストーリーの重要性に気付かされます。
起用の背景にあるストーリーが伝わらないと、その情報に触れた人は次の行動に移せないし、一時的な消費で終わってしまい、その先の未来も見えてこないのだろうと思います。

ストーリーといえば、私は「Band Aid」(「LIVE AID」)や「U.S.A. For Africa」をきっかけに洋楽を聴くようになり、同時にアフリカの飢餓・貧困について知ることになりました。(当時生まれていないので、メイキングを後年見ただけですが。)
SDGs的にはまさに目標1「貧困をなくそう」と目標2「飢餓をゼロに」ですね。

一夜限定でA&Mスタジオに結集するスーパースター達を見て、ボブ・ゲルドフのスピーチを聴いて、人種・性別・キャリアはもちろん音楽性も違うアーティストが1つになった瞬間を見て、「これだけの大変なことが起きている(起きていた)」と子供ながらに強く心が揺さぶられたのです。

SDGsを知るきっかけは何でも良いと思います。
ただ、知って終わり・学んで終わりではなく、その背景にあるストーリーを自分なりに解釈し、自分は何ができるのかというところに結び付けることが大事ではないでしょうか。

❝There's a choice we're making
We're saving our own lives.
It's true we'll make a better day
Just you and me.❞

U.S.A. For Africa「We Are The World」歌詞より抜粋

当時と歌の背景は異なりますが、令和の今見ても次への一歩を踏み出せる歌詞になっていると思いませんか?

歌詞を口ずさみながら、次の方へバトンを回したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?