夜は人を壊す。『No Activity/本日も異状なし』(第3話感想)

No Activity/本日も異状なし 第3話を見ました。
今回の脚本はシソンヌじろうさん単独クレジット。

3話のテーマは「行動」。2話までは、「○○して欲しい」「○○した方が良いのではないか」と思っていたことが、3話では実際に行動に移されていくという点が特徴的でした。
このドラマ、刑事ものというベースでは作られているものの、実際には「お仕事もの」のドラマとは一線を画しています。それは、いわゆる「お仕事あるある」のような、共感や感情移入というものを想定せずに作られているからだと考えています。
1話の最後で犯罪組織の中での抗争(仲間内での裏切り)がありましたが、「一人で利益を独占したい」という欲望は、むしろ最も理解できるように思えてきます。

主要登場キャラクターたちの考えや行動を突き進める力は「人間への興味」。これは、シソンヌのコントを想起させる、非常にじろうさんらしい脚本ではないかと思います。
その人物との関わりを絶つという選択肢もある中で、「軽犯罪を繰り返す人に拳銃を持たせるとどうなるのか観察したい」「最も厳重に保管しなければならない銃を紛失した先輩の行動が見たい」という欲望は相手への興味関心があってこそのものです。

3話のサブタイトルは「最悪の夜明け」となっています。このタイトルを見て、ついに夜が明けるのか(全話で一晩のエピソードとして描くと考えていますが)と予想したところで、本エピソードでは明けず。
途中、車のシーンで、時計が12時51分を示しています。ストーリーの中で展開される会話は、深夜という、感情が昼間とは違う様に高まった状況での、特別なものではないかと思われてきます。夜は人格を変えるのではないかと。
銃を紛失したことを上司に報告しない理由として、「報告して何になる」と答える刑事時田。もはや秩序や規律といった概念は消え去っています。この清々しいまでの諦めの言葉は、むなしく、痛々しく、その様が面白い。好きなシーンです。

その他に好きだったシーンは、拳銃を思いがけず発砲してしまった諌山(岸谷 五朗)が「ごめん当たってないよね?」と確認するところ。見たところ誰も怪我をしておらず、会話も交わした後で発せられるところが、この諌山というキャラクターの素直さや、真っ直ぐさを表していて面白かったです。

次回はついに全てバラバラな場所で行動していたグループがついに遭遇しそうで楽しみ。登場人物たちが出会ったとき、誰がどのような行動をして、どのような会話がされるのか、全く予想できません。
あっという間に1話が終わってしまうので毎回新鮮に驚いてしまいます。ほぼ会話だけで、緩急の付け方がやはり上手いのだなあ、と。

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