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(見た記録)「甘いお酒でうがい」

都内での上映も終盤のようで、間に合って良かったです。シソンヌじろうさん(大好き)の原作、脚本を映画化した作品。

孤独と希望と喪失、映画は40代独り暮らしの佳子さんの日常を淡々と綴っていますが、かなり心揺さぶられました。
個人的に、(親以外の)誰かと暮らしたり、結婚する楽しみは来世に取っておいているので、佳子さんは自分の未来の姿だと思いながら。
序盤は強く孤独を感じ、将来が不安になり、中盤にはそんな暮らしを静かに肯定され、最後は母親のことを考えて少し涙が出ました。(まだ母は元気ですが)
佳子さんは喪失感を常にどこかに抱えている様で、でもそれを無理に乗り越えることもしないのが良い。後ろ向きで歩くシーンが象徴的で、後ろ向きでも先には進んでいる、この姿が好きでした。進むことも大事だけれど、前を向かなくても良い、というメッセージ。生きていることの素晴らしさを圧倒的に肯定する訳ではありませんが、少しの幸せを全力で受けとめられるような映画でした。

特徴的な靴のシーンと母親ということで言えば、タイカワイティティ監督「ジョジョラビット」を思い出します。見返したくなって、ジョジョラビットのサントラを聞きながら帰りました。

原作を読んだ際には「お酒でうがいしちゃったら勿体ないなぁ」と何とも残念な感想を持ってしまっていたので、きちんと飲み込んでいたので謎の安堵(私の解釈がとんでもないだけでした)。岡本くんもめちゃくちゃ好青年で、原作だと後半若干登場回数が減るので、映画でお別れしていたらどうしようかと思っていたので良かったです。あとは、佳子さんのお仕事の様子が見れたのは嬉しかったです。映像化する醍醐味ってこれだよなーと、映画見に行って良かったです。それと同時にもう一度原作を読み返したいと思いました。佳子さんのボーダーコレクションも、部屋にあった青森のリンゴの段ボール箱も、気付けて嬉しかったです。

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