(見た記録)ドラマ「ロキ」感想

ディズニープラスで毎週放送されていた「ロキ」を見終わった。
エンドゲームまでのロキに関するネタバレはもう隠す時期ではないと思うが、今回のドラマについてのオチまでは書かずに。ただ、ストーリーや新キャラクターについては触れるスタンスで。

ドラマ「ロキ」で行われたことについて、自分では3つの点から考えている。
「ロキとは何か」「マルチバースとは何か」「トム・ヒドルストンという宇宙資源について」

一つ目「ロキとは何か」。単独作が3作制作されているソーの弟ロキ。それに象徴されるように、ロキは自由気儘に暮らし、コロコロと敵味方を変えているようで、基本的に誰かしらの存在が必要であったように思う。信じる人がいるから裏切りは成立するということだ。
ドラマの第一話では、まずはロキを一人にし、その心を整理し直すところから始まる。MCUの時系列でいえば、ニューヨーク大戦直後であるが、驚くほど純粋で素直な心の内を明かす。最初の登場の仕方はヴィラン側であったが、インフィニティーウォーでの死から、ついに単独作の制作にまで辿り着く。これほどまでロキが愛され続けたのは、そしてドラマ1話での素直さがすぐに受け入れられたことも、ロキの根底にある「他者と比較し、自分が劣っているかもしれないという恐れ」のようなものに観客が気づいていたからであろう。
このドラマには(ここから少しネタバレを含み始めます)、複数の世界線のロキが登場する。ロキが対話し、向き合うのは、ソーでもグランドマスターでもサノスでもなく、ロキ自身である。初めて「自分と同じ」「自分と少し違う」ロキという鏡を見ることによって、他者との比較ではない、己の受け入れの過程が描かれる。自己の受け入れとして、最終話の一つの展開は個人的には好まないが、「自分と似たものを受け入れる」という展開としては十分に理解できるし納得できる。一番好きなのはワニ。アベンジャーズ1直後のロキが求めるものが自由意志というのが、このドラマの深い意義(または名誉ある目的)だったと思う。

二つ目「マルチバース」。正直よく理解していない。複数世界線のロキはもうどこかに存在していて、ただお互いがそれを知らずに介入しない状態なら良いのか。
ラグナロクにおいて、ソーがロキに「成長しない、何も変わらない」と言ったことは、この時間軸を守るために、成長しかかったロキがいないこととされていたからなのか(と解釈注意)。ロキが成長する、インフィニティーウォーを生き延びる時間軸、時間軸を操るもっと大きな存在にとってそんなに大きなことなのか…と不思議ではある。ネズミ1匹が世界を変えると考えると、ロキが将来的に何か偉業を果たすかもしれないとは考えられますが。

三つ目「トム・ヒドルストンという宇宙資源について」。個人的に、コメディが上手い役者を推す傾向にあり、ワイティティ監督やクリス・ヘムズワースに注目することが多かった。
特に今回の1話、中でも入国審査的な場所からメビウスとの対面あたりまでのシーンのトム・ヒドルストンの演技、本当に本当に好きだった。コメディの表現方法はクリスとは全く別アプローチだが、それがさらに面白い。そのあとの舞台のように話したり、唄ったりするシーンも良く。ロキの、ばっと顔を勢いよく上げるシーンを見ると、これぞトム演じるロキだ、と伝統芸能を見たような懐かしさと嬉しさと安心感が。

ソーの次回作「ラブアンドサンダー](タイトルが完璧なので邦題が変わらないことを祈る)には出演しないという噂もある中で、でもいつかまたクリス・ヘムズワースとトム・ヒドルストンが共演する日が来ると信じたい。

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