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超入門!英文契約書:Shallの使い方を知ろう。

今回は、超入門!英文契約書で使われる英語について、書きたいと思います。

契約書で使われる英語は独特なのですが、皆さんどのように勉強しているのでしょうか?

TOEIC や TOEFL などの資格試験向けの英語は、色んな英語教室で教えていますが、なかなか契約書の英語を一から教えるというところはないような気がします。

では私がどうやって学んだかと言うと、本を買って独学です(笑)

個人的には、法律英語を手取り足取り教えてもらったという人に会ったことがないので、たいてい仕事をしながら、本を片手になんとかやった人や、上司や先輩に教えてもらった人が多いのではないでしょうか?

と前置きが長くなりましたが、英文の契約書というと、表現が硬く普通の英語とは違う言い回しがあるので、なんとなく苦手意識がある人も多いと思います。しかし、実はパターンが決まっているので、そのパターンに沿って、英語を正確に書くというのがコツかなと思います。

今回は第1回・英文契約書に使われる英語ということで、基本中の基本の助動詞shallについて書きたいと思います。

はじめに、英文に限らず契約書には何が書いてあるでしょうか?契約している本人達、つまり契約当事者のやらなければいけないこと=義務について書いています。

例えば、

A社はB社に100万円を払うものとする。

当事者がやらなければいけない行為=義務を具体的に書く。これが、契約書の目的です。

では、さっきのの日本語、英文の契約書では、どう書きますか?

Company A pays one (1) million Japanese Yen to Company B.

惜しい!支払いは契約後に行うので、現在形ではないですね。

Company A shall pay one (1) million Japanese Yen to Company B.

契約書では、義務を表すため、shall を助動詞として使います。契約書のshallは、通常の英語で使う「~すべきである」という意味というより、契約上の義務を表しています。あなたが契約当事者の場合、shallで書かれた文章の行為を履行(実行)しないと契約違反となるよ、ということです。

最近は、shallと書くと表現が硬いので、助動詞のwillを使う契約書もあります。willと書かれていても、契約上の履行する義務を書いており、通常の将来起こることを示す意味ではないので、ご注意ください。

逆にやってはいけないこと、禁止事項は、shall notと書くことが多いです。たまに Company A is prohibited to ~と書く場合もありますが、私の経験上、shall notが多いかなと思います。

また、 Company A has the right to sell cars to Company B. と書くこともあります。しかし、この表現だと、Company Aに車をCompany Bに販売する権利があるだけで、実際にCompany Bに本を売る義務があるのかどうか、はっきりしません。なので、 has the right toという表現には、注意が必要です。

また、契約書を通して、shall と will はごちゃまぜにして書かないのが基本です。Shallで義務を書き始めた契約書は、最後まで義務を表す単語は、shallで統一します。逆にwillで義務を示している時は、最後までwillで一貫して揃えます。

たまに shall と will をごちゃまぜに書いている契約書がありますが、その場合、義務ってほどではないけど、ちょっとやってほしいな~というようなことをwillと書く場合もあります。この場合は、willと書かれた文章は、義務なのか義務じゃないのかはっきりしないので、全体の文章を見て考える必要がありますし。義務なのか義務じゃないのか、どちらかにはっきりした方が、実務上は良いかなと個人的には思います。

shallという一単語で、これだけ書いてしまいましたが、このshallの意味がぼんやりしていると、契約書を読んでも、ずっと最後まで、なんだかもやっとしてしまいます。Shallの使い方について、少しでも理解していただき、お役に立てれば嬉しいです。

なかなか会社の法務や弁護士などに、こんなに細かい事を聞く機会もなかったなぁと思います。まずは、法律の専門家に聞く前の準備用として活用して頂ければと思います。

契約書は、業界や会社のカラーもありますし、国によって微妙に違いもあり、一概に私の言っていることが、全ての契約にも当てはまるとは限りません。個別の契約には個別の背景がありますので、不明点や心配な点は弁護士に必ずご相談くださいね!


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