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5. Mark Leckey's GreenScreenRefrigerator

はじめに

こんにちは、この記事の趣旨はこちらでご覧ください。
第5回目の今回は、マーク・レッキーの『GreenScreenRefrigerator』を取り上げます。
この作品はVimeoやYoutubeなどで誰でも見ることができます。
彼のYoutubeチャンネルもあるので興味のある方はチェックしてみてください。
グリーンスクリーンという単語に興味を惹かれて今回は彼を選びました。


作家紹介

マーク・レッキーは、1964年にイギリスリバプール近郊のウィラル州バーケンヘッドで生まれ、1995年末にニューヨークに移住。
2008年にはターナー賞を受賞しています。
マルチメディアを扱うが、特に映像を頻繁に扱っている印象で、アンダーグラウンドな音楽シーンに影響を受けています。


作品紹介

『GreenScreenRefrigerator』は映像とグリーンスクリーンにサムスン製の黒のスマート冷蔵庫によるインスタレーションです。
黒の冷蔵庫はグリーンスクリーンのキーイングによって空間を超越します。スタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』に登場するモノリスのメタファーでもありますが、映像では類似的な黒いオブジェクトと自らを比較し冷蔵庫が自身の存在について思考する描写や冷蔵庫自体の構造についての言及があり、物における意識の存在を想定しています。

これは傑作か?

ドミニクの説明からは、この作品の評価できるポイントというのがいまいちわからなかったのですが、当初この作品はパフォーマンスとして想定されていて、レッキー自身がグリーンスクリーンのマントを纏って映像に侵入し、冷蔵庫とコミュニケーションを取ろうとします。最後には姿を現して、「私は身を沈めて、隣人、そしてこの場所のすべてに対して兄弟のような関係に立っています」というメモを残しました。冷蔵庫の構造と精神の解放が半ば無理矢理に結び付けられ、インターネットと接続したスマート冷蔵庫との意思疎通というアイデアは、子供が一人で遊ぶときの自由な発想と近いものがあります。彼自身もインタビューで、作品が知的な要素は一切ないことを認めていますが、それが難解に見えてしまうのは、論理的次元を逸脱したカオスの様相を呈しているからでしょう。そこには宙吊りの象徴と超越論的なインデックスによって、見るものをここではない場所にテレポートさせるような力場があるのではないかと感じます。
 冷蔵庫の内面では、有機物の延命させる冷却のためにエネルギーが常に消費されます。その冷たく白い空間は芸術を収納保存する機能をもつ美術館と入れ子の構造にあるという視点でも解釈可能ではないでしょうか。
グリーンスクリーンによる意識イメージ、保存・概念・芸術の関係、人と非人間との交信を図る(スピルバーグ『未知との遭遇』にある音による意思伝達を他のパフォーマンス作品でオマージュしている)、モノリスの原初性とインターネットによる現代性。少し考えるだけでさまざまなキーワードが浮かんできます。

今説明しただけでは収まりきらない部分が多く残るでしょうが、私にとって将来何かヒントをくれる予感がする作品でした。
まだまだ探求できる作家ですので気になった方は他の作品などもチェックしてみてください。

それではまた次回〜


参照元


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