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つぶつぶホールスパイスとの付き合い方‐北インド編

 こんにちは!鰤子です~今年はなかなか寒くならんと思ったら、最近になって朝晩やけに寒かったりで寒暖差がすごいですね!そんな時にあなたの体調管理をサポートしてくれるのが…スパイス…!!*とか書きよる間に信州には冬が来ました。八ヶ岳、雪。

今年は2回キノコ採りに行きました!
*今年はきのこ不作でした。
記事を書きよる間にこんな格好で山に登れん時期になってしまいました。

 というわけで、今回はインド料理で使うあの粒粒のスパイス(ホールスパイス)について記事にまとめます!
 ホールスパイスにはたくさんの種類があり、インド全体でも使うもの使わんものに地域差があったり、所変われば使い方も変わってきたりするものもあるのですが、この記事では主に北インド料理ではそれがどうなっているのかを解説していきます。


確認!北インド⑩の料理体系

 というわけで、いきなりですが確認です!まず、北インド料理と一口に言っても北インドはとても広く、その北インドと呼ばれている地域の中に存在している料理体系は、ざっくりとまとめると⑩あるということでした。ただしこれは私がnoteで展開するインド料理記事用に作った理論でもあるので、分けようと思えばもっと細かくも分けることもできますし、その分け方もそれぞれの料理をどういった基準でグループ分けしていくかによっても最終的に分かれる料理体系の数が変わったりするということは改めてお伝えしておきますね!”北インド⑩の料理体系”という言葉自体、私が便宜上作り出したものなので、この言葉でグ◯グル検索をかけたとしても何も情報は出てきませんので悪しからず~ただ、私の研究では今のところ下記の⑩に分けるのが、私たち非スパイスネイティブにとって様々な面から便利であるということに落ち着いてはいます。よってあれがないとかこれはおかしいとかの異論は認めません~w

①北インド料理-ベジ・ヒンドゥーホームスタイル
②北インド料理-ノンベジ・ヒンドゥーホームスタイル
③ムガル料理-レストランスタイル
④ウルドゥー語圏のイスラム教徒の料理
⑤パンジャブ料理←シク教徒の食文化の影響下にある
⑥カシミール料理
⑦カシミール料理-ベジ・ヒンドゥー
⑧ラダック料理
⑨ヒマラヤエリア(標高が高い地域)の料理
⑩北インドレストラン料理

 今のところnoteでは①と②の料理体系について主に解説してきている感じですね!過去の記事はnoteのトップページから確認していただけます。ここにリンクを貼ると字数が増えて分かりづらくなるのと、別にこの記事だけ呼んでいただいても普通に勉強していただけるものなので、気になる方はnoteのトップページから他の記事もお読みいただければと思います!
 この記事のテーマはホールスパイスですが、ホールスパイスは①から⑩の全ての料理体系だけでなく、南アジア全域の料理で広く活躍します。しかしそれぞれの料理体系で登場するホールスパイスの顔ぶれが異なることがあるのと、同じスパイスでも使い方が微妙に違ったりして、ホールスパイスという括りでうっかり話し始めると収集がつかなくなるので、本記事ではなんとなくインド全体でのホールスパイス事情を解説した後、”ホールスパイスの使い方”では①と②の料理体系での具体的な話をしていきます!

そもそもホールスパイスとはなにか!

 しかしその前に!そもそもホールスパイスとは何なのか!ということについて軽くお話しましょう。グ◯グル先生に聞けばすぐ分かることでもあるのですが、この記事一つで流し読みできたほうが便利と思うのでふんわりまとめておきます。
 ホールスパイスとは主に草木の、樹皮、根、果実、種、花蕾や葉の部分を干して乾燥させたものです。乾燥させればなんでも良いわけではなく、もちろん人間にとって使うことで何かしら有益な素材が活用されます。人間にとって有益な植物は、乾燥させることで保存性が増して長期間の保存に耐えるだけでなく、粉末に加工できるようになったり、粉末に加工したしたものを改めて調合したりできるようにもなったりするので、結果として用途が相当に拡大します。スパイスと言うとなにやら特別感ありそうに聞こえますが、基本的にはそれらは植物だったわけですね。
 スパイスと言うとなにやら遠い異国のもののように感じますが、私たちのより身近なところでは漢方がかなり近い存在です。漢方に使う素材とインド料理に使うホールスパイスは共通しているものも多くあり、存在として両者は境目がけっこう曖昧であったりもします。何が違うのかと強いて言うのであれば、それぞれ異なる気候風土の中に生きる人達が身の回りのものを使って自分たちの日々の健康維持に気を使ってきたものなので、その土地々々の気候風土やそこに生きる人たちの体質の違いによって、利用される植物が変わってくるといったような回答になるでしょうか。生えている植物も違いますしね。とはいえ、スパイスにしろ漢方にしろ、どちらもその元になる植物の部位の香りや薬効を利用しているわけなので、根本の部分では同じものであると言えるのかもしれません。ただインド料理で”ホールスパイス”と言ったときには、その使い方にははっきりと”インド料理らしさ”が出るということで、この記事ではそれについて解説していきます。
 この記事の本旨とは余り関係がないと言うか、特に知っておく必要もないことではあるのですが、下に一応インド料理でよく登場するホールスパイスが、それぞれ植物のどの部分を利用しているかを簡単にまとめておきます。インド料理を作る上では別に重要なことではありませんので、読み飛ばしていただいても特に問題はありません。

◯樹皮を利用するもの
‐シナモン(セイロン)、カシア(インドのシナモン←*以降、本記事ではこちらをシナモンと表記します。セイロンシナモンは本記事には登場しません。)など

◯根を利用するもの
‐ターメリック、生姜(ドライジンジャー)など

◯果実を利用するもの
‐ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ロングペッパー、スターアニスなど

◯種を利用するもの
‐カルダモン、クミンシード、フェンネルシード、キャラウェイシード、アジョワン、コリアンダーシードなど

◯花蕾を利用するもの
‐スターアニス、クローブなど

◯葉
‐ベイリーフなど(そう言えばスパイスに関しては葉を利用するものが少ない気がしますね…)

◯その他
‐サフラン(雌しべ)
‐ナツメグ(ニクズクの種の中身”仁”)
‐メース(ニクズクの実と種の間のみかんの薄皮みたいな感じのもの”仮種皮”)

 私は詳しくないのですが、それぞれのホールスパイスがいつ頃からどのようにして人類に利用されるようになっていったのかは気になるところですね!

ホールスパイスの役割

 それではここからが本題です。冒頭での話と重なる部分もありますが、料理にホールスパイス(漢方含め←八角やシナモン、フェンネルシードは漢方としても大いに活躍します。)を使用すること自体は、インド料理の独自アイデアやテクニックというわけではありません。他の南アジアの国々でももちろん使いますし、イランなどの西アジアや中国を始め東アジアでも広く使われています。さらには中国料理やインド料理の影響を受けている東南アジア諸国の料理でも様々な料理に様々な種類のホールスパイスが登場します。日本ではあまりホールスパイスをそのままの形状で料理に使用することはしないですが、周囲の国々を見てみると、日本が少し特殊なのかもしれません。
 スパイスを日常的に使用する国々の料理では、スパイスはそれらが持つ香り薬効を得るために料理に使用されます。これはパウダースパイスでもホールスパイスでも同じことです。スパイスを日常的に料理に使う国はたくさんありますが、いずれの国の料理もパウダースパイス同士、ホールスパイス同士の組み合わせにそれぞれ妙があります。同じスパイスを同じ量、パウダーに加工した状態で混ぜるのと、ホールの状態で混ぜるのでは意味(料理の中で得られる効果)が変わってくるのですが、そういったある種のルールのようなものは国や地域によって異なってきます。なくてもいいものはなくてもいいですが、パウダーだけあればいいとか、ホールだけでも事足りるといったものではないことには確認が必要です。(ホールスパイスを使わない料理や、ホールスパイスだけで作れる料理もありますが。)
 インド料理でのホールスパイスの使用も味、香り、薬効の3つの要素を得るために使用するのはもちろん同じですね。そしてここがインド料理のユニークなところなのですが、インド料理ではそれら3つの要素に加えて4つ目に食感という要素が加わります。これは北インドだけでなく、インド全体で共通することです。ただもちろん、全てのホールスパイスに食感を求めるわけではないので、そこは注意してください。
 以下でこれらの4つの要素について説明しておきます。

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