アルバム紹介 2 BORN TO WIN (2WIN)
前回はケンドリックラマーについて書かせていただきましたが、いやはや、、めちゃくちゃ難しかったです。なので今回は、日本代表として、私のヒップホップのルーツ、2WINのアルバム、BORN TO WINを紹介しようと思います。
2WIN Profile
メンバー T-Pablow YZERR
出身地 神奈川県 川崎市
ジャンル HIP HOP / Rap
神奈川県川崎市出身の実の双子の兄弟であるT-PablowとYZERRによる2MCのユニット。中学生時代からリリックを書き、BAD HOPというクルーを結成し、地元を中心に活動。え、あのBAD HOP?と思う方も多いかもしれませんが、2WINは、BAD HOPのメンバーT-Pablow YZERRが、日本語ラップのレジェンドZEEBRAからのスカウトでレーベルに入りできたBAD HOPの派生ユニット。
今はもうBAD HOPでの活動がメインなので、2WINとしては全く活動していないみたいです。
冒頭にも述べましたが、2WINが私の中のヒップホップのルーツで、そこから日本語英語関係なくHIP HOPを聞くようになりました。もちろん以前からラップミュージック自体は聞いていましたね。
今度BAD HOPからもアルバムを一つ選んでレビューを書こうかなと思います!
T-Pablow
BAD HOP の中心メンバー。2012年ラップを始める。
ラップを始めて3〜4か月ほどでK-九名義で出場したBSスカパー!のBAZOOKA!!!の企画である高校生RAP選手権の第1回で優勝。
2013年第4回 BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権で現在のT-Pablow名義で2度目の出場をし、2大会目の優勝を飾る。翌年開催の第5回 BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権にも出場。
2014年3月、中学時代に地元・川崎市で結成したクルー、BAD HOPとしてコンピレーションアルバム「BAD HOP ERA」を発売。この年に双子の弟であるYZERRとのユニット、2WINも結成され、Zeebraが立ち上げたレーベルGRAND MASTERに所属する。
2015年9月、 テレビ朝日で放送を開始したテレビ番組「フリースタイルダンジョン」の初代モンスターとしてレギュラー出演。
2017年、ソロデビュー作となるミニ・アルバム『Super Saiyan1 The EP』を特設サイトにてフィジカル・リリース。
恵まれたルックスと抜群のワードセンス、最新を取り入れたフロウでMCバトルでも上記のように活躍していました。(現在は音源制作中心)
HIP HOP を今の若い世代に再燃させたのは間違いなく彼です。
YZERR
T-Pablowの双子の弟にしてBAD HOPの頭脳的存在。
兄と同じように、高校生ラップ選手権に出場経験があり、第5回大会では、強敵をなぎ倒しながら、見事持ち前のライミングスキルを見せつけて優勝を勝ち取った。
2014年3月に中学時代に地元・川崎市で結成したクルー、BAD HOPとしてコンピレーションアルバム「BAD HOP ERA」を発売。この年に双子の兄であるT-Pablowとのユニット、2WINも結成され、Zeebraが立ち上げたレーベルGRAND MASTERに所属する。
しかしあまりバトルには出ず、音源制作やBAD HOPの企画等をメインに活動。
2019年3月18日 - ソロ作品『Rich or Die』をiTunes Store、Apple Music、Spotifyなどで配信リリース。
2WIN
Zeebraが立ち上げたレーベルGRAND MASTER所属のBAD HOP派生ユニット。アルバムでリリースしているのはBORN TO WIN の一枚のみ。(Featなどは多数)
私的に、今のBAD HOPもかっこいいですが、ある程度海外のHIP HOPを聞いている人じゃないと入りにくいんじゃないかなと思います。比べて2WINは、映画のサントラに使われていそうなクールなグルーブ感があり、とにかくかっこいい音楽を聴きたい人にオススメかもしれません。
BORN TO WIN 解説
FIRE BURN
アルバムの一曲目を飾るのは、堂々としたビートに俺らがシーンに火を付けるぜ!と言わんばかりのアッパーな楽曲、FIRE BURN。このアルバムのリードトラックでもあり、当時未成年と思えないライミングを見せつけています。YZERRの渋いフロウとT-Pablowのクールなラップがあえてアツい感じのビートにマッチしています。完全にシーンに火を灯した一曲でしょう。
IN MY BLOOD
T-Pablowのソロから始まるこの曲は、フリースタイルダンジョンの初代モンスターとしても活躍していた彼の初期入場曲でした。IN MY BLOODが流れ、T-Pablowが登場し、圧倒的カリスマ性でチャレンジャーをなぎ倒して行く、めちゃめちゃかっこよかったですよね。いきなり「俺は約束されてる成功、勝利の女神が婚約者」DOPEすぎます。歌詞もどちらかと言うとバトルで相手をボコボコにするぜ!みたいなノリなので、MCバトルがテーマの曲でしょうか?
HATE ME
三曲目にこのタイトルをぶち込んでくるのは、NasのHate Me Now を意識しているのでしょうか?自分たちが売れればアンチも出てくる。アンチはただ妬んでるだけで、俺たちのレベルには及ばないぜ?と煽っているようにも感じます。疾走感もあってかっこいいですよね。
SCHOOL OF HARD KNOCKS
こちらは学歴なんかなくたって、HIP HOPがあれば稼げる。とラップしている曲。BAD HOPメンバーは、川崎市の不良からなるメンバー構成で、二人は中でも相当なワルだったとか。短いHookにはレーベルのボスにして、日本のHIP HOPのレジェンド、ZEEBRAが参加しています。比較的曲も短いです。
CLUB IS ON FIRE FEAT.SAMI-T FROM MIGHTY CROWN
MIGHTY CROWNのSAMI-TがHOOKで参加し、渋いダミ声を聞かせている曲。クラブで幾ら使っても曲出して売れれば取り戻せんじゃん。今のBAD HOPはこういった歌詞が多いですね。ただこの曲は、かなりハイテンポで、不思議な打ち込みがされているのが特徴。比較的スロウなテンポのBAD HOPとは明らかにない感じの曲。
THE DEVIL WEARS PRADA
こちらはYZERRから始まる楽曲。BAD HOPと2WINではかなり異なるフロウを使っている彼ですが、HOOKの低く囁く感じはBAD HOPのYZERRっぽいなと感じます。T-Pablowのクラブでこっそり女の子とコンタクトをとる描写が想像できつつしっかり韻も踏んでくるところはさすがです。
DO IT LIKE ME
同じレーベルのGRAND MASTER所属のEGOが参加している。このアルバムだけで見るとかなり異色な雰囲気。BORN TO WIN自体が、かなりアッパーなHIP HOPを出している感じだが、この曲はチルの要素が入って、嫌なことは気にしないぜ、と歌っています。
LOVE OR DIE (REMIX)
もともとBAD HOPのT-Pablowソロ曲としてEPに入っていたみたいですが、YZERRが参加し、Remixとしてアルバムに収録されました。ラブソングですが、女の子へ向けてではなく、HIP HOPに対してのラブソングみたいですね。歌詞を聞いてみると、ああ、深いなぁ、HIP HOPへの熱半端ないなと感じれる、必聴ナンバーです。PVは存在しますが、T-Pablowオリジナルバージョンです。
THAT LETTER
捕まってしまった仲間に向けて書く手紙というテーマ。実際にYZERRは少年院に入っていたことがあり、T-Pablowはこの歌詞のように他のBAD HOPメンバーにも手紙を書いていたようです。高い音の打ち込みがされていて爽やかなナンバー。Hookの部分での二人での掛け合いによるthat letter は見事なハモリです。
ONE WAY RIDE FEAT.ANARCHY
未成年ながら、ジャパニーズHIP HOPを代表するアーティスト、アナーキーを迎え入れての豪華な曲。アナーキー抜きにしても
不安で暗い日々だった My Life から
こいつに出会えて俺は変われた Mind
帰りの Flight ticket ならないけど
別れを告げてもう振り返らない
2度と旅立ったらできねえんだ後戻り
遊びまくりだったあの頃に
HIPHOP と同時に背負い込んだ覚悟
先逝っちまったダチとのあの約束
Hookの部分だけでこのメッセージ性。どんだけ出来上がっているんだ、この兄弟、、
アナーキーの
嘘みたいな話が現実に起きてる
僕らの街には悪魔が住んでるから
強い意志がない奴らは流されていく
俺はマイナスをプラスに変えてから死ぬ
HIP HOPはどんな困難でも乗り越えさせることができる。3人のメッセージスキルとダークなビートがマッチして最高の仕上がりになっています。このアルバムの中だと一番好きかもしれないです。
PAIN AWAY
先に言っておきますが、この曲、内容、普通じゃないです。川崎の貧困家庭で生まれた2WINのリアルな実体験をラップした、次の世代へと受け継がれるべき楽曲です。
包丁の刺し傷、タトゥーで消した
毎日怒鳴り声の留守番電話、ノックの音でかくなる玄関
恵まれたエリート供には負けらんねえ
2WIN は、こう言う経験をしている。
だから、後世の子供たちに「自分達のような経験をしてほしくない」と言う想いがあるはずです。
辛い経験をしてきた彼らから放たれるリリック、なのに少し優しい光を感じるのはビートのせいだろうか。
ラップで世界を平和にしていってほしい。
STAND UP
アルバムのラストを飾るのはSTAND UP。リリックに関してはこのアルバムで一番HIP HOP。
俺たちはラップをすることで高級ブランドを見に纏えるまでになった。だがこのまま終わらねえ。もっともっと成り上がってやるぜ。
2014年にリリースされたアルバムに込められたメッセージだが、
「借金まみれの母子家庭で育ってきた少年がいつか当てられるドームのステージで照明」
2018年、BAD HOPは日本武道館にてBreath Of South というHIP HOP史に残る伝説のライブを成し遂げました。私もこの武道館公演に参加しましたが、確実にこの日が、HIP HOPの歴史を動かしたと断言できる、そしてこのSTAND UPの歌詞を体現したものでした。
2WINとしてラップすることはしばらく無いかもしれませんが、彼らの目指す先にはBADHOPworldが見えているのですね。
僕が彼らの音楽に出会ったのは高校生ラップ選手権をYoutubeで見つけたタイミングでした。YZERR vs RACK 痺れたなぁ。そこからダンジョンとかも見初めて、HIP HOPにどハマりしていきました。
まだまだミーハーですが、ラップの面白さに気づかせてくれた二人に感謝です。近いうちにBAD HOPのアルバム紹介もやるんで楽しみにしていてください!
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