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彼のカフェ通学

『急にからだが動かなくなちゃったんだよ』
で出てきた
【学校に行けない】
【不登校】
などの言葉に
いくつか反応をいただいたの。


不登校について、
なんらかの思いのある母たちが
少なくないんだね。


私も心がかたまった時があったなぁ。木

それは【彼】が高校に入って
しばらくしてから。


彼なりにいろんな理由があったみたい。

ま、悩める思春期だからね。

そりゃ、
いろんなことを思うよね。


遅刻してもいいから
自分のペースで行ってみるとか、

とにかく単位取得のためだけに
行こうと思ってみるとか、

行ける方法や意味づけを
探ってみたの。


でも、
自分のペースで行こうと思っても、
やっぱり体が動かなくなるの。


朝は元気に起きれても、
その後の着替えで体が動かなくなったり、

階段を降りるときに
失敗して怪我をするという
事態になったり。


行けたと思っても、
保健室から「熱があるようです」と
呼び出しが来たりして。


母個人の予定が大きく狂うことも多くなって、
それは
それは
ストレスフル

そのせいで、
母の彼へのあたりが強くなってしまってね。

思わず叫んだよね。。。

いいかげんにしてよ!
そんなに行きたくないなら
休めばいいじゃん!


それで、
学校に行きたくないと思ったら行かない
ことをやってみることになったわけ。


◆学校に行かない毎日

そしたらほとんど学校に行かなくなったのよ。

「今日も行きたくないから行かない」と。


うちにいる時間はすべて自由時間\(^-^)/


動画見たい放題。
もちろん無料Wi-Fi (^-^)v


兄の漫画も読みたい放題。
(でも折り目を付けるなと叱られる)


最初のうちは楽しそうだったのよね。

充実してるっぽくて、
いい顔してたの。


体が硬くなってしまうこともずいぶん減って、
時間に余裕ができたしね。


母も、
お弁当を作らなくてよかったから
楽だったし〜。

まったり、
お互い穏やかに過ごせたの。そら

◆動かなくなる

そうやってたら、
どんどん元気になると思うじゃない?

母も彼もそう思ってたのよ。


ところが。


体が動きにくくなってしまったの。


固くなるというより、
力が足りない。


からだが支えきれなくて
崩れてしまう。


やる気が起きない。


何をやっても楽しくない。


望んでた結果と違う結果。

楽しいことをやっているはずなのに。

嫌なことは排除しているはずなのに。



母は本当に辛かったな。


別にね、
学校に行かなくてもいいのよ。

うちに居たっていいのよ。


やりたいことをやって、
楽しそうに、
元気にしててくれたらいいのよ。


そうじゃない様子を見てるのは、
母には辛かった。


このままどんどん悪くなっていったら
どうしよう、
と不安になったし。


これは病気の威力なのかと、
谷底に突き落とされたような
絶望的な気持ちになるし。


だから、イラついた。


なにかをどうにかしないと
この状態は変わらないと思ったから、

どうして楽しくないのかな? 
なにが嫌なのかな?

ラクなはずなのに
どうして体が動かなくなっちゃうんだろう?

ってまずは彼に聞いてみたのね。


そしたら彼は、

どうして楽しくないのか
わからない。
別になにも嫌じゃない。
確かにラクなはずなのに。


母には一つ、
もしかして、
と思っていたことがあって、

それを彼に伝えてみたの。


母「学校に行くために着替える、

  階段を降りる、

  車椅子を漕ぐ、
  (彼の愛車は電動アシストの車椅子だから
   漕がないと動かない)

  電車に乗る、

  学校の車椅子用のトイレを使う、

  帰ってきて階段を頑張って這い上がる。


  こういうことを
  やらなくなっているじゃない?

  

  着替えなさいって言っても、
  着替えないよね。

  からだを動かすのは、
  トイレに行く時とお風呂に行く時くらいで、

  あとは
  じーーーーっとして、
  スマホの指だけ動かしてるじゃない?

  学校に行ってた時と
  行ってない時の違いって、
  からだを動かしているかいないか
  じゃない?

  

  これまでは、
  嫌なことをやると
  体が動かなくなっちゃったけど、
  今はそういうわけじゃないよね。


  っていうことは、
  いま体が動きにくくなっているのは、
  体を使ってないからじゃないかと
  思うの。

  だから、体を動かしてみ?

  これが原因かどうかはわからないけど、
  何かを変えないと状況は変わらないよ」


彼「うーーん、そうかもしれないけど」


煮え切らない返事に、
母はまたもや思わず叫んだよ。

とにかく
うちから外に出る!!

彼「でも、
  学校には行きたくないんだよぉぉぉ」


◆折衷案

母「学校に行かなくてもいいよ!
  とにかくうちを出て!!」

彼「えー、うちを出てどうするの?」

母「学校に行きたくないなら、
  行かなくていいから、
  駅まで行ってうちに戻れば?

  そしたら、
  学校に行くのと同じくらい
  からだを使えるよ。

  要は、
  体を使ってみようってことだから!」

彼「えー、なんかやる気しない・・・」

母「まったく、
  文句言ってるばっかりじゃん。

  自分からこうしようと思うことはないの⁈」
  (ほぼヒステリーな母)

彼「うーん」

母「じゃあ、
  図書館に行って好きな本を読めば?
  図書館には車椅子用のトイレもあるし」

彼「もう読みたい本がない。
  机の高さが合わないし。
  Wi-Fiも無いし」

母「(まったく、
  ネットを見ることしか考えてないな。)
  うーん、
  じゃあ、
  駅前のカフェに行って、
  そこで好きなことやって
  お昼を食べて帰ってくれば? 

  一応Wi-Fiあるし」

彼「あ、それならいいかも」

ヒステリックになった母に追い込まれて、
こう返事するしかなかったんだろうな。


◆カフェ通学、始めてみた

ということで、
蹴り出されるように
強制的カフェ通学スタート。


1日目、
母は不安だったよ。

ちゃんと帰ってこれるかな。
どこかで繁みに突っ込んでないかな。


だけど、
結構いい顔して帰ってきたの。

大丈夫だったよ!
ちゃんと漕げたし、トイレも行けた!

インターホン越しの顔に、
母はものすごくホッとした。


これで状況が変わるかもしれない、
と嬉しくなったり、

いや、これで安心と思ってはいけない、
とはやる気持ちを抑えたり。


でも、
彼は自分で行動できることを確認して、
自信も取り戻してきたの。

そうすると、
さらに気持ちが楽になってきて、
良い循環が回り始めた。


毎日、カフェに通ったよ。

カフェ

カフェのスタッフの皆様、

本当にお世話になっていますm(_ _)m

お歳暮を贈りたいくらい。


◆彼にとっての通学の意味

面倒だった毎日の通学が、
彼のからだの元気を作り、
それが心の元気に繋がっていたことを
確認できた出来事だった。


毎日通うことは
彼にとって決して楽ではなく
(誰だってそうなんだけど)、
大変なことなんだけど、

彼にとっては
そういう効果があるものなんだって
わかったの。


もう一つ、
大事な発見があってね。


それは、
彼のからだが
比較的元気な理由の一つが、
彼にとって面倒な通学だった
ということ。


日々の通学こそが、
治療法がないと言われるこの病気の
リハビリになってたことがわかったの。


なにごとにも、
いい面と悪い面があるね。



◆はいようせい・いしゅく

ハイ!妖精、じゃないよ。

廃用性萎縮
という言葉があってね。

ウィキペディアによると、
『寝たきりや行き過ぎた安静状態が
 長く続くことによって起こる
 筋肉や関節などが萎縮すること』

普通のひとでも、
風邪とかで2〜3日寝込むと
足が弱くなった感覚があるじゃない?

これが
彼に起こったことだったの。


休んだのに、
楽になるどころか、
動くことが大変になっていってた。


大変になるから、
余計に気持ちも辛い。


気持ちが辛いと、
体を動かす気力もなくなる。

悪・循・環。



嫌でも動くことと、
ずっと休んで楽をすること。

この両方をやってみたから
わかったことだったの。


やり直せるって体感したことは
彼にとって
安心なことだったみたい。

もちろん、母にもね!



◆カフェ通学後

そして、
カフェ通学をしばらくしたら、
彼は単位が心配になってきたの(笑)

そういうことを考える
余裕ができたんだね。

自分の卒業のために
単位は必要だと思っていたから、

これ以上休んだらマズイ、
行った方がいい、
行くことが自分にとってメリット、

って思うようになって
みずから復学(笑)。


母にとっては、
動けるようになって嬉しい反面、
お弁当作りというデメリットもwおにぎり


カフェ通学は、

母が楽できる + 彼が体を動かせる

という
いいとこ取りかと思ってたけど、

後で彼からまとめて請求された
カフェ代におののくという
デメリットもございました。

やっぱり
なにごとにも、
いい面と悪い面があるね(笑)。


◆嫌なことはやめればいい?

嫌なことはやめればいい・やらなければいい、
と最近よく言われるよね。


その言葉はとても魅力的。
すべての問題を解決しそうに思える。


嫌なことをやめてラクをすることで、
心もからだも楽になる面は
確かにあると思うの。

休ませることができるよね。

それでエネルギーチャージできる時も、
確かにあると思う。


でも、
原因や状況にもよるけど、

ラクな状態が続くことで、
どんどん下降していくこともある、

というのがこの時の経験。


うちから蹴り出すような
傍若無人な強制力が、
ベクトルを変えるきっかけを作ることも
あるみたい。


いつもいつも同じやり方で
うまくいくとは限らないから、
やっぱり様子を見ながらだけどね。


答えは、
ひとによって、その時によって
違うだろうから。


ただね、
「どんどん体が動かなくなります」
と言われてる病気であっても、
その時はちゃんと元に戻ったの。

これは彼の自信につながったの。

子供に自信を持っていてもらうことは
母の願い。


悩んだけど、

怖かったけど、

お互いにいい経験だった。


最後に、
彼を蹴り出すに当たって(笑)
母にとっての安心材料の一つとして、
栄養で体のベースを作っているというのは
大きかったよ。

様子を見るという母の主観と
栄養療法という客観の
両方の視点を使えたから。

#母と彼
#筋ジストロフィー
#不登校


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