見出し画像

バルセロナの生物多様性マップに450種の確認生物を追加

case | 事例

2019年にバルセロナ市立公園庭園研究所によって作成・公開されたバルセロナ・生物多様性アトラスは、市内で見られる動植物の種に関する情報を市民に提供するデジタルツールであるが、今般カテゴリーに含まれる種の数を新たに450種以上増やしたほか、新たに6つ(樹木林の自然植生、草地の自然植生、草原の自然植生、鉢植えの植生、甲殻類、軟体動物のセクションが設けられ、アトラスのコンテンツは量的にも質的にも飛躍的に向上した。5月22日の世界生物多様性の日に合わせて一般公開された。

樹木林に自生する植物は、多様で広範なグループを構成している。これらは土壌浸食を避け、雨水の浸透を促進し、空気中の埃や粉塵を吸着させ、蝶や蜂のために花粉や蜜を生産し、補助的な動物相を誘引し、昆虫や鳥に食事を提供することもできる。草地や草原は、都市環境における生物多様性の価値が高い生態系であり、管理が容易で水資源も少なくて済むため、場所によっては芝生の代わりとして適している。鉢植えの植生も、都市における生態系の動態において重要な役割を果たしている。鉢植えに見られる植物相の種類は、限られた土壌量、直射日光への露出度、都市レイアウト内の位置によって様々であり、また、これらの植物も鳥や花粉媒介者を引き寄せる。

甲殻類と軟体動物のカテゴリーは、バルセロナ沿岸の水中生物という比較的知られていない世界を知ることができ、非常に幅広く多様な種が存在する。この2つのカテゴリーは、海洋科学研究所(ICM-CSIC)のEMBIMOS(Environmental and Sustainability Participatory Information Systems, 環境と持続可能性の参加型情報システム)研究グループの協力のもと、一般市民からの情報提供や、写真撮影や種の同定を行ったボランティアの貢献によって作成された。

アトラスでは、市内の73の地区ごとまたは個別の住所で、それぞれの種の一般名と学名を見ることができ、簡単な説明と、ほとんどに写真やイラストが添えられている。このアトラスは、さまざまな科学機関や団体、市民科学プロジェクトに参加する多くの個人の努力と協力によって作成されたものである。

insight | 知見

  • 地図が好きなので、どうしてもこういう記事に目が向いてしまいますが、このバルセロナのアトラスはめちゃくちゃいいですね。カタルーニャ語がベースですが、スペイン語と英語にも変換できて、どのエリアにどのような植生があって、その樹木の全体像、葉っぱや開花時の写真なども見られます。

  • オープンデータが日本で取り沙汰され始めた10数年前に、パリが整備したオープンデータで、パリ都内の植生と位置データが公開されているデータセットの事例があって感動した記憶があります。このようなデータがあれば、特定の植物アレルギーを持つ人はそのエリアでの生活や通行を避けられる、といったアプリケーションが語られていました。その後、最近ですが、福岡市内のオフィス周辺の街路樹の種類を知りたくても、公的情報がまるでなくて、一般の方の超マニアックな街路樹データを探ることになって、行政が整えるべきではないかと課題に感じていました。

  • 福岡市では「一人一花」運動で、花壇の位置のプロットをしているマップはありますが、花壇の草花の他、市内の各公園、街路、自然の山林や海にどのような植物があって、どのような生物が生きているのか、マップにせずともオープンデータとして整備して公開して欲しいものです。