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商業空間に対する都市景観・デザインの重要性が増している

case | 事例

  • 米国の小売環境は大きく変化しており、従来の郊外型ショッピングセンターから、ECを背景に小規模なアメニティに富んだビレッジセンターや街区商業の時代へとパラダイムシフトしている。また、パンデミックを経て、屋外での活動、歩きやすさ、自然資源や質の高いオープンスペースへのアクセスが重視されてきている。

  • 事例研究から得られる示唆として、(1) 伝統的な都市型のメインストリート小売はあらゆる地域開発における中心的存在であり続ける。(2) 伝統的なデザイン・スキル(都市計画、景観・建築設計など)は成功のために重要な役割を果たし続ける。(3) 商業空間を上質化させるための投資やアクセス整備が不足する地域は、計画や設計の専門家の関与と熱意が必要である。(4) 大型の空調管理された屋内商業環境は持続可能ではなく、複合用途で質の高い街並みとアメニティスペース、人々が集うサードプレイスを含む計画や設計手法の転換が必要である

  • このようなパラダイムシフトへの対応は既に始まっており、成功する商業空間では次のような取り組みが必要と考えられる:(A) 交通事業者等と連携した近隣地域や街区レベルで機能する交通ソリューションを推進すること。(B) 自治体との調整による複合用途や特別用途のゾーニング地区を可能にし、上層部住宅の導入や街区景観の形成などを実現すること。(C) 既存の、特に歴史的・文化的意義のある建築物や文化財の経済的・環境的メリットを顕在化させること。(D) 低炭素、温室効果ガス削減、節水省エネ、持続可能性の文化の育成など、多様な価値観を持つ社会全体に受け入れられる設計であること。(E) 気候変動や生物多様性対応など長期的な戦略を持ち、長期的なレジリエンスに基づく経済的な成功を目指すこと。(F) 上記全てを満たし、質の高い空間を作ること

insight | 知見

  • 単一の商業施設ではなく街全体で消費者を惹きつけ呼び込む、というのはエリアマネジメントの一つの目的でありますが、複合用途で質の高い街並みとアメニティスペース、人々が集うサードプレイスなどをエリア内でどのように民間同士・官民同士で連携しながら具体的に作っていくかを、エリア全体を俯瞰して計画・調整する仕組みが必要だと感じました。

  • 使いやすく持続可能なモビリティ手段の導入、住宅を含む複合用途の実現、景観形成、歴史文化価値の顕在化、持続可能性・包摂性・強靭性、1つ1つが商業地区開発における重要なテーマですが、上記全てを満たした上で上質な空間を作ることが成功する商業地区だと、上記記事を執筆している都市プランナーが指摘していますが、福岡天神の再開発は是非そのような高みを目指してほしいものです。