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シドニー近郊に車に依存しない新しい「30分都市」が誕生する

case | 事例

2026年に開港予定の西シドニー空港周辺に、新たに開発されるエアロポリス(空港都市)ブラッドフィールド・シティのマスタープランが公開されたが、この都市は環境に優しく持続可能な都市であると同時に、車に依存せずに市民に便利で迅速なアクセスを提供しようとしている。

ブラッドフィールド全体は11,000ha以上の敷地に建設されるが、都市内の道路は歩行者専用道を中心に整備され、市民は公共交通機関で自宅から30分以内に都心のすべての施設にアクセスできるように計画されている。計画では、通勤、買い物、レジャー活動を各地域の拠点に分散させ、住民の自動車の使用と移動時間を減らすことが考えられている。ニューサウスウェールズ州政府は、30分都市と15分近隣地域という構想を通じて、都市生活の改革に取り組んでおり、シドニーCBD、パラマタとブラッドフィールドが3つの戦略的な拠点都市に位置づけられている。

計画ではその他、地域全体に点在する植生に加え、中央公園、湿地帯の近くのプールや、アクティブ交通のための「グリーン・ループ」が設けられること、都心にデジタル技術を駆使した商業・文化施設やオープン・グリーン・スペースなどコミュニティ施設が集積すること、ハイテク産業を誘致することで、20万人の雇用を創出することなどが示されている。ハイテク産業の誘致の弾みになるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の施設建設が既に決まっている。

insight | 知見

  • 今のシドニー国際空港は、1919年開港で世界でも最も古い空港の1つで、都心に近い反面、市街地の開発に制限を与えたり、騒音問題による夜間飛行制限が実施されているので、新空港建設が進んでいるそうです。その空港都市ブラッドフィールドの開発は、オーストラリアで行われる都市開発としては最大級のもので、100年以上ぶりに建設される大都市になるそうです。

  • 都心に近い空港問題は福岡も抱える歴史ある課題ですが、移転という選択肢が直近ではなさそうですので、近隣空港との一体的な運営・連携で活性化していくことや、航空機の機材の先進化・小型化で騒音を軽減していくなど、時代や技術の変化に合った取り組みが期待されます。