ボストン市は増加する宅配ニーズに対応するために電動カーゴバイクでの宅配実証を開始
case|事例
ボストン市とボストン交通局は、コロナ以降増加を続けている宅配ニーズに対応するため、オールストン地区を対象にeカーゴバイクを用いた宅配実証を開始する。今回の実証は、端末の物流サービスを手掛けるNet Zero Logisticsと共同で実施される。期間は9月中旬から年内いっぱいの予定。またワシントン大学の都市物流研究室とも連携する。都市物流研究室は、この実証をケーススタディとして分析すると共に、世界のカーゴバイク導入事例の共有などを担う。
この実証にかかる費用は、ボストン市の基金とマサチューセッツ・クリーン・エネルギー・センター(Mass EC)から調達する。またボストン市は、宅配をeカーゴに切り替えることで実証に参加する企業に対して、最大8社まで配送費用の補助を行う。
自動車ベースの宅配は、渋滞や交通安全の悪化といったネガティブなインパクトをもたらしてきたと、ボストン市は認識している。特に、パンデミック後の宅配ニーズの増加は、渋滞を深刻化させ、バスレーンや自転車レーンでの二重駐車を引き起こし、自転車や歩行者との錯綜も増加させた。この課題認識の下、実証では環境負荷の軽減や交通渋滞の緩和、街路の安全性の確保を目的に、自動車ベースの宅配手段の代替を模索する。特に、e-カーゴバイクの本格導入を目指し下記の点を重要な検証項目として設定している。
必要な政策や規制を明確にすること
e-カーゴバイクゾーンや仕分けエリア、ステージングエリアの指定、宅配ロッカーの設置などインフラの変更を試験的に運用すること
環境面、安全面、経済面での便益測定を行うこと
導入および運用にかかるコストの理解し、フィージビリティスタディを行うこと
insight|知見
日本でもコロナ以降、eコマースの利用などで宅配需要が高まっているというニュースを見聞きします。実感としても街なかで宅配ボックスを設置しているマンションや住宅を見かける機会も増えたように思います。一方で、自転車レーンに入り込んで一時停車している物流車両もよく見かけます。(自転車に乗っていると死角もできるし、車道にはみ出さないといけないので結構怖い…)
交通量が多い都心部での端末物流でのe-カーゴバイクの導入は、確かに渋滞緩和や自転車などとの錯綜の軽減に効果がありそうだなと納得しました。
現在でも、街なかで自転車で宅配を行っている姿を見かけますが、さらなる普及にはカーゴバイクの電動化もさることながら、積み替えのためのローディングスポット、仕分けやステージングのためのエリアなどをインフラ側で用意する必要があると思います。たぶん現在は各宅配事業者の企業努力で、各事業者の施設でその役割を担っているので、街中に共同のエリアとして整備できるといいなということを記事を読みながら考えました。