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フランスの生ゴミコンポストの義務化がスタート

case | 事例

2024年1月1日からフランスで生ゴミのコンポスト(堆肥化)が義務とされる制度がスタートした。政府の「緑の基金」からの支援により、自治体は、生ゴミ、野菜・果物の皮、賞味期限切れの食品、庭のゴミを含むバイオ廃棄物を分別する方法を住民に提供しなければならない。また、家庭や事業所は、生ゴミを専用のごみ箱に入れるか、自治体の回収場所に出すことが義務付けられている

従来は年間5トン以上の生ゴミ廃棄物を出す主体にのみ分別が義務付けられていたが、フランスでは毎年1人当たり82kgの堆肥化可能な廃棄物が捨てられていると推定されており、気候変動対策の1つとしてコンポスト義務化が2022年に決まっていた。イタリアのミラノで2014年から家庭用の生ゴミ回収プログラムを実施していたり、イギリスが2023年に生ごみの分別収集を開始する計画を発表した他、オーストリア、オランダ、ベルギーなどヨーロッパの多くの国でも生ゴミの分別がすでに自治体レベルで実施されている。

欧州委員会によれば、食品廃棄物はEUの食料システムから排出される総排出量の約16%を占めている。NGOのゼロ・ウェイスト・ヨーロッパによれば、2018年にはEUの生ゴミ廃棄物総量の34%しか回収されず、4,000万トンの潜在的な土壌養分が廃棄されたままになっているとのこと。EUの廃棄物枠組み指令では、今年から生ゴミ回収が奨励されているが、強制的な目標を設定するには至っていない。フランスでもコンポスト施設は順次設置される予定であるが、当面違反しても罰金は課されなく、今後より厳しい規則が課されるかまだ明らかになっていない。


insight | 知見

  • 生ゴミの分別回収・資源化は、気候変動対策として廃棄物の量を減らすという観点からも重要ですが、記事に出てくるNGOが指摘しているように、土壌に還元できる栄養分が廃棄されたままになっているという面からも、持続可能な社会に向けて必要な取り組みだと思います。

  • 日本では既に社会インフラとしてゴミの焼却処分システムが完成されており、ごく一部の自治体を除いて生ゴミの焼却も当たり前になっているので、生ゴミの分別回収・資源化を進めるにあたってはかなり大掛かりな仕組みの創設・変更が必要になると考えられます。フランスはまだコンポスト施設などが完全に準備できていない段階で、罰則もなくゆるい状態で義務化をスタートさせていますが、日本の自治体もまずは進めてみることが重要なのではないでしょうか。