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持続可能なプレイスメイキングにはカーボン・リテラシーが必要

case | 事例

  • 英国の家庭部門の二酸化炭素排出量は、英国全排出量の4分の1以上を占めており、その原因には住宅の老朽化とエネルギー効率の悪さにあるが、その対応ために新たに建設される住宅からの排出量とを組み合わせると、さらに気候変動への影響が懸念される。炭素排出量を削減し、すべての人にとって持続可能で住みやすい環境を確保するためには、「カーボン・リテラシー」をプレイスメイキングのあらゆる側面に組み込む必要がある。

  • カーボン・リテラシー・プロジェクトは、マンチェスター都市圏のソーシャルハウジング事業者との実証的な取り組みから築いてきた運動である。地域の低所得者層はエネルギー効率の悪い住宅に住み、熱波や暴風雨を最も強く感じる層であるが、公営住宅を賃貸する住民としては経済的に対処する能力が限られている。そのため、地域のソーシャルハウジング業界のあらゆる組織向けに、カーボンリ・テラシーのトレーニング教材を提供するに至り、登録事業者は、家主、地方自治体、開発業者、コミュニティ組織という立場から、ネット・ゼロに向かう選択ができるリテラシーを身につけることができるようになった。

  • 英国のネット・ゼロへの移行は必要不可欠とされている中、地方自治体こそが排出量を削減するキーとなっており、公共空間を含めたプレイスメイキングは排出量を削減する重要な役割を担っている。一方で、地方自治体の多面的な機能やサービスがすべて脱炭素化に貢献できるようにするには、医療・福祉から計画・交通部門に至るまで、自治体全体の炭素排出量に対する理解と削減への意欲が必要である。そのため、2020年に自治体向け「カーボン・リテラシー・ツールキット」を発表し、多くの自治体の重要なツールとなってきている。

insight | 知見

  • 自治体が行っている多種多様な事業では、それぞれの事業目的の達成こそが現場では重視されるので、その事業方法が低炭素なのかどうか、という視点が抜けていることは多いと感じます。

  • 最近身近で触れた例としては、市産の間伐材を市内で活用する事業があるのですが、実は市内に木材の加工業者がいないため、遠方の県の加工業者に木材を運び、加工された製品をまた輸送し戻す、というカーボン・フットプリントが増える手段を採ることが検討されていました。カーボン・リテラシーは確かに必要だな、と記事を読み思いました。