アメリカドライブ旅行:南西部横断へ出発
2013年の夏、我が家に2代目のなんちゃってキャンパーがやってきました。メルセデスベンツから出ている商業用のバンでスプリンターというモデルです。私たちが購入したのはまったく内装に手が入っていない運転席と助手席だけが付いたモデルで、最初に来た時はメタルむき出しで軍用機の中みたいな内装でした。
なんちゃってキャンパー2代目はメルセデスベンツのスプリンターバン
通常はこのモデルから商業用に冷蔵庫をつけたりワークショップを作るなどアフターセールスで用途別に改造していきます。ヨーロッパでは救急車としてもよく使われているモデルですし、アメリカでは座席を2列から3列つけて送迎用としても人気があります。
キャンピングカーとしてもポピュラーなモデルなので、キャンピングカー仕様に改造してくれる業者がたくさんあります。うちの場合は夫の希望で自分たちで改造する自作キャンピングカーの道を選びました。
このバンに少しづつ手を入れていき1年後には後部の窓、カーテン、ベッド、ソーラーパネルと初代キャンピングカーで使っていた低電力で動く冷蔵庫を装備。窓は業者に入れてもらいましたが、ベッドとカーテンはホームメイドです。この時点ではまだ内部の壁はメタルのままで水道設備や車内の電灯、料理用のコンロなどはついていませんでしたが、とりあえず眠ることはできるのでちょこちょこと近場へキャンプに1-2泊で行くようになりました。
キャンプは行けば行くほど経験値が上がり、ここを改良しよう、こうしたらもっと使い勝手がよくなるなどいろいろなアイデアが出てきてキャンプ生活の質向上に役立ちます。いくつかの短いキャンプ旅行で学び小さな改善を繰り返しかなり快適に車中泊ができるようになっていきました。そして2014年の冬に、思いっきりなんちゃってのままで長期のロードトリップへ出かけることになったのでした。
冬のウインドサーフィンのメッカ、テキサスへ
いつものごとく、旅の目的はウインドサーフィン。本当はまたメキシコへ行きたかったのですが、当時メキシコにはこのバンで使えるサルファーの濃度が低いディーゼル燃料がまだ普及していなくて断念することになってしまいました。冬でもウインドサーフィンができるところといえば、テキサス湾に面したサウスパードレアイランドという海辺のリゾートです。
ウインドサーフィンでちょっと頭が痛い問題といえば、ウインドの用具がたくさんありすぎてものすごく場所をとることです。ボードにマストにセールにブームにと大量なお荷物とともに移動しなければなりません。道具をすべて無理やりバンの中に入れることもできますが、大人2人とワンコ3匹という大所帯にとって長期のロードトリップで荷物がぎっちり詰まったバンで過ごすのは居心地が悪すぎます。この問題を解消するために、荷物を運ぶためのトレイラーをバンの後ろにつけてけん引するこになりました。これでバンの中は広々として快適になりました。
初日はトラックストップで一泊
こうして2014年の12月にテキサスへ向けて出発したのですが、行き当たりばったりがモットーの私たちの旅。結果的にはテキサスを通り過ぎてルイジアナ、ミシシッピ、テネシー、アーカンソーまでぐるりとアメリカ南西部を3週間かけて周遊することになりました。
山の家があるカリフォルニア州のレイクタホからテキサスへ行くにはネバダ、アリゾナ、ニューメキシコの3つの州を通っていきます。ウインドサーフィンが目的ではありましたが、あちこちに寄り道するのも旅のだいご味。まずはレイクタホからラスベガスを目指して出発です。
12月に入ると雪が降り始めるレイクタホは標高約1900メートルでアメリカ国内ではよく知られたスキーやスノボのリゾート地でもあります。出発した12月14日はなんと雪が降り始めて大慌てでタホを後にしました。レイクタホからシエラネバダ山脈の東側のルートを走る395号線を南に向かいます。途中でヨセミテ国立公園に上がって行くTioga Passや神秘的なMono Lakeなどを通過していく絶景ルートですが、この時は午後から走り始め絶景エリアに入ったときには真っ暗でした。
ラスベガスに入る手前のトラックストップの駐車場で一泊することになりました。ちなみにトラックストップとは長距離トラックの運転手さんたちが給油をしたり休憩したりするための施設で、ガソリンスタンドに加えてお店やファストフード、コインシャワーやコインランドリーなども用意されています。長距離トラックの運転手さんたちはここで食事をとったり駐車場で仮眠をとったりします。
もちろん一般の長距離ドライブの旅行者も利用できます。アメリカ国内の旅では私達もトラックストップを大いに利用させてもらいました。ただしここはアメリカなので食事はサンドイッチやハンバーガーにドーナツなどで日本の休憩所や道の駅にあるようなグルメな食べ物は期待できません。
ラスベガスに到着
トラックストップでしっかり睡眠をとった翌朝の12月15日にラスベガスに到着しました。私は仕事で何回も訪れているラスベガスですが、夫にとっては初めてのところ。ですがカジノには全く興味がなく、しかもビルだらけのラスベガスの町には全く興味をしめさずにストリップ(ラスベガスの目抜き通り)はスルーすることになりました。あ、でもわんこたちの朝のおトイレはストリップにあるメイシーズの駐車場ですまさせてもらいましたよ。
ミード湖とフーバーダムへ
せっかく寄ったラスベガスなので、アリゾナ州との州境に建てられたフーバーダムとダムに水を供給するミード湖によってみることにしました。ミード湖はアメリカ国内で最も大きな人口湖でコロラド川の水をせきとめています。2022年現在はずっと続いてる干ばつのために水位が急激に下がるという危機に見舞われています。
1930年の完成当時は世界で一番高さのあるダムだったそうですが、現在は中国にあるダムに世界一の座は譲ったとのことでした。世界一じゃなくても多分見たことがないくらい巨大なダムなのだろうなと見学に向かってみました。
ところがトレイラーがくっついている車両は入場禁止と言われてしまいました。テロの可能性を避けることだとおもいますが、中を見てもらえればトレイラーの中にあるのはウインドサーフィンの道具やキャンピング用品のみ。でも規則は規則なのでフーバーダムの見学はあきらめることになってしまいました。
せっかく寄ったラスベガスですが、ストリップは素通りでフーバーダムもまさかのお断りと何となく縁がなかったのかなという結果になってしまいました。実は私も人工的すぎて大好きな町ではないので夫が興味を示さなかったのはちょっとありがたかったです。そんなわけでベガスを後にアリゾナ州に向かって旅を続けることになりました。
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