bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。Stay Home編ではコロナ禍のフランスから帰国し、自主的に14日間の自宅待機中に感じたことを綴っています。
*
2020年3月27日・Stay Home8日目。
今号は自宅待機中にSNSにドキドキしながら投稿した、『一帰国者としての声』。わたしの言葉は今の現状に対し恐怖感を持っている人に対し暴力になるのではないか。大袈裟なのではないだろうか。いろんな思いを抱えながら、でも友人に「あなたの声を届けるべきだ」と背中を押され意を決して投稿した言葉でした。
改めて、声に出して読んでみた。ざらりとした感触と、胸がガリっと引っかかれるような苦しさを覚えた。マクロン大統領はロックダウン宣言の時、テレビ演説で「これは戦争だ」といったけれど本当だ。自分で書いた文章なのに、まるで誰かが書いた戦時中の情景を綴ったものを読んでいるかのようだ。
だけどここには、これまでこのフランス滞在記に書いてきた「美しい体験」とは違った、しかしすごく生々しいまでの感情がたしかに存在している。この時期読んだニュース記事の「非常時にはその国らしさが如実に現れる」という言葉を思い出した。それは個人にも言えることで、「非常時にはその人らしさが如実に現れる」と言えるだろう。
こういう自分の過去の言葉たちを改めて受け止めるのは、正直あまり気持ちの良いものではないけれど、紛れもなくこれもわたしのフランス滞在から得たもの。あの時コロナウィルスによって明らかになったわたしらしさの片鱗が見える。
2020年のあの未曾有の出来事に対して、どんな感情が湧いてきたのか。どんな行動をしたのか。あの時、守りたいと思ったものは何だったのか。変えたくないと思ったものは何だったのか。変えたいと思ったものは何だったのか。
3年を経て、冷静に俯瞰できる今だからこそ、ふり返る時に来ていると強く感じます。ざらっとした感触、ガリっと胸を割くような思いの奥にいる自分が見えてくる気がするのです。