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小雪-しょうせつ-散りゆく色や温度を抱きしめて自分を丁寧に扱ってあげるとき

二十四節気通信。

2020年11月22日〜12月6日までは小雪です。

ここ最近お天気がよく、色とりどりに紅葉した葉がハラハラと落ちる姿がとても綺麗です。葉が散ってしまうといよいよ夜が深くなり、一気に冬めいてくることを身体は知っているのか、秋の名残に哀愁を覚えながらお日様の下へ出かけたくなります。まるで、最後のお日様を愛おしむように。


小雪とは

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小雪とは、「雪はまださほど多くない」という意味。江戸時代に発行された暦便覧(こよみべんらん)にはこのように述べられています。

〝冷ゆるが故に雨も雪と也てくだるが故也〟

冷え込みが厳しくなり、雨も雪となって降ってきます。
立冬の一つ前の節気は「霜降」、霜の時期でした。霜は下から立ち上がってくる冷えの形でしたが、ここからは下から立ち上がった冷えが上空に達し、雪となり降り注ぎます。


大きく季節が動く前に雑多なものを繊細にしていくとき

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今の節気を考える上で、補完関係にある180反対側の節気が参考となります。小雪の180度反対側は小満でした。現行の暦では5月下旬頃ですね。

どちらも「小」が入っています。私はこの一文字から、充満したエネルギーの雑味をとって繊細にしていく、という印象を受けます。

小満は田植えや種まきが終わってほっと一息つきながら、小さなものを大きくする作用のある夏の本番を前に、心身のバランスを整えておく時期でした。
対する小雪は、大きく育ってきたものを小さくする作用のある冬の本番を前に、心身のバランスを整えておく時期であると考えられます。

小満も小雪も、大きく季節が動くことを前に、雑多なものを繊細にしていく大切な期間なのです。


冬本番を前に、まずは習慣の間引きと剪定を済ませる

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冬は収蔵。秋に収斂・引き締めたものを内に取り込んでいく季節です。
冬はなんでも蓄える方向へ働きます。冬に太りやすくなるのはそのためです(泣)。でも、冬蓄えるのは脂肪ばかりではありません。この時期勉強したことや陰ながら取り組んでいるものも、しっかりと蓄えられていきます。
この時期に新たに学んだものはすぐに形にならないかもしれませんが、しっかりと地中の中で熟成され、春の芽吹きの力となってかえってきます。今蓄えていることは、そのまま春の自分を作ります。

ただ、この時期は師走を控えてなんとなく気忙しくなりますよね。きっと今まで習慣的に繰り返してきたことと、これから新たに始めていくことが混在しやすいからでしょう。新しく始めたことをしっかりと熟成させ、春の芽吹きの力へ変えていくには、まず古い習慣を間引き、剪定していく必要があります。
間引きながら新しい習慣を取り入れていくことで、この時期な雑多なエネルギーを、春の芽吹きにつながる繊細なエネルギーに昇華させていくことができます。

そこで思い出したのが、ともえ@金星強化ハーブファスティングさんの上記の記事です。薔薇の剪定について書かれていますが、剪定や摘芯を一切しない薔薇の苗は、全く美しくならないとのこと。
そういえば、梅の木もでした。冬の時期に枝を切っておかないと、次のシーズンに梅の実がならないのです。

前住んでいた里山の家で、庭の梅の実がなかなかならずに困っていたところ、ご近所さんに剪定した方が次のシーズンにいい実をつけるよ、と教えてもらいました。まだまだ元気な枝を剪定するのには気が引けましたが、引っ越す前の最後の初夏には、たくさんの梅の実が新しい門出を祝うように実ってくれました。

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私たち人間もきっと同じで、春に新しく美しい花を咲かせ、実をつけるためには、冬が極まりを見せる前に、間引きや剪定をしておく必要があるのでしょう。

例えば、色々とインプットしたくなってくる時期ですが、同時並行でアウトプットしてみる。思考・感情・行動の「無意識的に繰り返されている習慣」を観察して、ほんのちょっとだけ「いつもだったらこっちを選ばない」パターンを加えつつ、古い習慣と新しい習慣を入れ替えていく。小雪は、そんな微調整を繰り返しながら、インアウトバランスを整えていくのに適しています。

私が目下取り組んでいることは、仕事環境と時間管理の整備です。
春に娘の幼稚園入園を控え、妊娠を機に止まっていた自分の仕事を少しずつスタートさせていく予定ですが、元々ワーカホリックになりやすく産前仕事に関しては苦い経験が結構たくさんあります。産前はちょうど仕事のスタイルをオンラインに切り替えた時で、オンラインのその効率の良さからワーカホリック真っ只中、という感じでした(苦笑)。

なので、春を迎える前に仕事環境や時間を見直すことを通じて自己管理できるようになっていることはマスト!だと強く感じています。そんなわけで、「ゆるデジタル・デトックス」として、自分の身体との関係性を見直しています。


身体の繊細な囁きをきき、冬に慣らしていく

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気持ちの良い晴れのお天気が続きますが、この時期、外に出て日にあたり、身体を動かすことはすごく大切なことです。本格的な寒さを迎える前に、少しずつ寒さに身体を慣らしておくこと、日中のあたたかいお日様の力を借りて自分の体内で熱を生み出す感覚を作っておくことは、冬を越えていく力になります。

また、筋肉を使うこと自体が、実は先ほど述べた剪定や間引きのためにとても有効な手段となります。筋肉には古い運動や感情のパターンが記憶されており、ケアしながら動く(ここが大事!)ことで古い習慣が自然とアップデートされていくのです。

整形外科で働いていた頃、患者さんの身体が解れていくると感情も一緒に緩んで、忘れていたことを語り出し、それが治癒になるというケースをたくさん経験し、身体には頭では理解できないことが内包されていると強く感じました。

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感情を想起して記述したりする心理療法はたくさんあり、それが必要な時もありますが、場合によっては脳を介することで脚色されたりややこしいおまけがつきやすいことも事実。こういう混沌としやすい時期は、あれこれ考えずただただシンプルに動いてみて、湧き上がるものをその都度やさしく受け止めるのがいいのではないかと思っています。きっとその行程で起こったことは今は分からなくても春先ぐらいに頭で理解できるタイミングがやってくるはずです。

身体からの語りかけはとても繊細な囁き。とても大切に、丁寧に耳を傾けていきたいものです。

私が実践している身体のケア

さて、私はというと、小満の時期に課題に上げていた肩甲骨周りと背中のケアをしているのですが、朝晩の簡単なストレッチに加え、お風呂の時にクレイを使ってみています。筋肉の疲労にクレイはとてもよく効いています。

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娘のアトピー対策をきっかけにクレイに興味を持って使いはじめたのですが、偶然にも、いつも使っていたクレイパウダーがフランス滞在中に旅をしたオーベルニュ地方のものとわかって家族でテンションが上がり、みんなで塗りあいっこ(笑)。

オーベルニュは不思議な場所で面白い体験もあり、なんとなくまた訪れるのだろうなぁと思っています。クレイのことはまた別途記事にします。

最近は、週に最低一回は自動車を使わずにバスで出かけるDayにているし、週末もどこかしら出掛けていて本当によく歩くので足がパンパン。クレイはありがたいよき見方です。
小さな子供を連れて歩くのは疲れるし、たまには一人でゆっくり散歩したいと思ったりもしますが、誰かと一緒に動くのは実は身体にとてもいいことだなと実感しています。自分のペースで動くのもいいけれど、誰か他のと動くと自分一人では選ばないような動きのパターンが増えていき、古い習慣がどんどん刷新されていきます。動きから習慣を作り変えていくことは楽しい。


来週からお天気が崩れ、寒くなるという予報が出ています。暖かい大気をかき分けるように時折冷たい木枯らしが吹いてくるようにもなりました。先日北の方へ足を伸ばして紅葉がりに出掛けてみましたが、見頃はちょっとすぎ、でも散りかけの美しい色たちが上を下をと照らしていました。
散りゆく色や温度を抱きしめて。自分に対して丁寧に。秋と冬の交差点をどうか楽しんで過ごせますように。

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