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131. フランス人へ夫婦箸をプレゼントするのは難しい?

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。
このフランス滞在記にたびたび登場するフランス人マダムが、いよいよフランスへ帰国することになり、夫婦箸をプレゼントすることにしたわたし。しかし、選ぶのは思ったよりも大変で・・?


2023年6月。
フランスへ帰国されるフランス人ご夫婦に、つくばで出会えたことの記念になればと桐箱に筑波山の絵を描いて、プレゼントしようと思ったわたし。

その中に素敵な夫婦箸を・・と探していたのだけれど、そこで「ん?」と思ったのが箸の長さの違い。夫婦箸や夫婦茶碗など、ペアで売られている和食器ってほとんどが男の人の使うものと、女の人の使うものの大きさが違う。

あぁ。
そういえばそうだ・・。

いつも食器を買うギャラリーの人にもこの件について相談してみると、「ここに来られる海外の方はみなさん不思議に思われているようでしたね」とおっしゃっていた。

今まであんまり意識もしてこなかった事だけれど、海外の人にプレゼントするとなるとちょっと考えてしまう。これってもしかして、日本(アジア?)独特の風習なのかな?単純に解釈してしまうと男尊女卑のと捉えられてしまうけれど、それ以上に深い意味があるのかしら・・?などなど。

以前、友人からお寿司屋の大将は、女性のお客さんには、大きな口を開けて食べなくてもいいように男性よりも小さめに握るなんて話を聞いたことがあるけれど、そういう心遣いが形になったというのもあるのだろうか?

お店やネットでわたしがこれは素敵だな・・と思う夫婦箸を見つけても長さが違って、じゃあ同じ長さの箸を色違いで買おうとなると、それもなかなか見繕えない。そもそも男と女で色違いってフランス人的にOKなの?・・ってなると、全く同じ箸をただ買えばいいという結論になるんだけど、それではあまりにも芸がないし・・。わぁ。日本文化をプレゼントするってすごく難しい・・。

と、るつぼにハマりながら、漆のお箸を手に取ったとき。
「こういう素敵なお箸をプレゼントしたいけれど、扱いに注意が必要だから日常遣いには向かないしな・・」と考え込んでいる自分にハッとした。

そうだ、わたしは日常で使ってもらえるものが渡したいんだ。
と気がついた。

それから、お店にずらりと並んだ箸を一つ一つ手にとって、友人夫婦が使っている様子を想像しながら二つ並べたり、掴みやすさを確かめた。そして、食洗機もかけられる八角型の漆の箸を二本買った。

筑波山が描かれた桐箱に入れると、すんなりと違和感なくおさまった。ギャラリーのオーナーさんが大切に大切に、上品な和紙とリボンで包んでくださるのをホッとしながら見送った。

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