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バンクシー展に行ってきた

現在横浜で開催されているバンクシー展に行ってきました。

政治や社会風刺をテーゼにした気鋭のアーティストであり、ゲリラ的にストリートの至る場所に作品を描く活動スタイルは世界で広く知られています。

今回の日本開催は、新型コロナウイルス対策もあり事前登録制で、人数制限を設けての入場となりましたが、それでも会場は多くの人であふれていました。

展示物と併せて彼のメッセージも記されているのですが、個人的にハッとさせられたのが次の言葉。

「世界で最も大きな犯罪は、法を破る人々によってではなく、法に従う人々によって犯される。こういう人々が、爆撃や虐殺の指令に従うのである」

現代人に投げかけるバンクシーのテーゼ

日本でも「自粛警察」が象徴しているように、正義がエスカレートして強迫観念に結びついてしまう人がいます。先日ニュースになったいた、ドキュメント風TV番組を発端とする芸能人の自殺も、正義をかざした現実と創作の
区別もつかない人たちの心ない言葉によって起きた悲しい出来事です。

いまの日本人の大半は戦争を経験したことがない人たちです。誰もが戦争は悪だと頭ではわかっている。それでも戦時下では、天皇崇拝のプロパガンダのもと「自分たちの考えは正しい」という勝手な思い込みを抱くようになり、国の命令に従うことが正義だという考え方に支配されていたのではないかと思います。

「天才か反逆者か?(GENIUS or VANDAL?)」という選択肢に疑問

作品のウラにあるメッセージを読み取れれば、楽しく鑑賞できると思います。ただし、一つ気になったのが今回の展示会の題名にも記されている
「天才か反逆者か?(GENIUS or VANDAL?)」という文言。

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そもそも「天才」と「反逆者」は対をなす存在ではないし、どちらでもあれば、どちらでもない可能性だってあります。会場の出口付近に、天才か反逆者のどちらかに投票するポイントがあるのですが、正直この2択では選べませんでした(笑)。なぜならば、英語の「VANDALISM」は公共物などの器物破損を指す言葉であることから、論ぜずともバンクシーは「VANDAL」に当てはまってしまうからです。

「反逆者」を「VANDAL」と訳したのも自分的にはちょっと合点いかない。
白か黒かを来場者に問う試みは否定しませんが、もう少し適切に言葉を選ぶ必要があったと思います。

https://banksyexhibition.jp/


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