なぜ無肥料・無農薬のダリアを栽培することにしたのか。

事の発端は、私が地域おこし協力隊に転職し移住した事である。

地域おこし協力隊の任期は最長3年で、その間に定住する為の収入源を確保しなくてはならない。
私が移住した地域のミッションはフリーで、空き家施設の活用・観光PR・そしてスタッフが高齢化したダリア園の手伝いだった。
ミッションフリーなので、かける比重は担当者と話し合い、空き家施設の活用はせずにダリア園の手伝いに重点をおいて、やった事の無い農業に慣れる事にした。

そもそもなぜダリア?という事については、完全に後付けである。

地域おこしをしたい。
自分には何が出来るのか。
という衝動的な想いと、いくつか自治体を回って話を聞いたときに、担当者の熱意を感じたので、「この町にしよう。あとはなんとかなる。」という勢いで応募して採用となった。

ダリア園は観光でお客様を呼び、その地域、そして街を活性化する目的で近隣住民が地域団体として設立。
最初は花木の園地からスタートしたようだが、お客様に見せられる期間が短く、紆余曲折あって期間の長いダリアに辿り着いたとの事。

前置きが長くなったが、不耕起栽培でダリアを育てようと思いついたきっかけは2つある。

1つはダリアを栽培するにあたっての知識が足りない事。
スタッフの高齢化と書いたが、作業スタッフは1番若くて66歳。
作業の先頭に立つのが70歳。その先頭のスタッフは自分でやってしまう職人で、理屈での説明は無くみて覚えろというタイプ。
作業の具体的な意味について質問しても、難しい事は分からないと言われてしまう。
事業の継続を考えるのであれば若手の育成が必要だが、今の体制のままでは何も栽培知識がないただの作業員だけが育ち、変動する気候に柔軟に対応する事が不可能だ。
というか目的地が見えない中での作業は、単純労働にしても精神的にキツイ。
ならば指図されない環境下で自分で考え、学び、私が若手を育てられるようになればいい。

もう1つは、地域内に耕作放棄地が多い事。
今回借りた畑は耕作放棄されて3年ほど。
ススキが覆い茂り、その高さは4m位。
そんな場所が地域内には沢山あり、そこを少しずつでもダリア畑に変えていければ私としては農地の拡大、相手にとっては草刈りなどの管理の手間が無くなりWIN-WINになるはず。
ただし広くなればなるほど肥料や農薬を使用する事になりコストがかかる。
そして農作業は重労働だ。
少しでも負担を減らそうとすると機械に頼る事になるが、耕運機などの機械は安くはないし燃料費もかかる。
また耕作放棄地によっては、傾斜などの理由からそもそも使えないということもある。

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不耕起栽培は土を耕さない、自然の力に任せる農法である。
自然界では肥料を入れずとも、耕さずとも毎年花が咲く。
咲いては枯れ、それを土壌の細菌や虫が分解し肥料にし、来年咲く為の栄養を土に蓄える。
雑草が根を伸ばし土を掘る事で柔らかく耕してくれる。

これが活かせれば土の状態の管理とダリアの管理だけでいける。
そうすれば、ダリア園の手伝いと自分の畑の二足のわらじを履ける。
そう仮説を立てた訳である。


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