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ピタゴリアンの腎不全を考える

呼吸困難を起こす病態に肺水腫があります。重症の肺水腫になると人工呼吸器が必要になります。初期の状態で肺水腫に気づき、適切な治療を受けられるように、肺水腫の症状や原因を確認しましょう。

なぜ透析患者さんが肺水腫を起こしてしまうかを知り、肺水腫の予防に大切なことを守っていきましょう。


肺水腫とは
肺水腫とは、肺に水が溜まっている状態です。肺胞の周りの毛細血管から水が浸み出し、肺胞の中に水が溜まります。

肺胞での酸素の取り込みが妨げられ全身が酸素不足となって、次のような症状がみられます。

・呼吸困難
・仰向けになると息苦しくなるため、起き上がって座る
・夜中に息苦しさで目覚める
・呼吸が速くなる
・気分が落ち着かなくなる
・不安感
・肌が青白くなる
・喉がゼイゼイいう
・血が混じったピンク色の泡だった痰がでる
・唇・爪が青紫色になる
診断は、胸部X線画像で肺水腫の特徴的な画像がみられることで判断します。X線画像だけで判断がつかない場合にはいくつかの検査を合わせて診断されます。

治療は、肺胞内の水分を除去する利尿薬の使用、肺の炎症を抑える薬剤の使用などが行われます。重症の場合は、酸素マスクや人工呼吸器を使用し、呼吸を助ける治療を行います。

参考文献:日本呼吸学会


透析患者さんと肺

透析患者さんの肺水腫の主な原因
肺水腫の原因は2種類あります。


心原性肺水腫
ひとつは心臓に原因があり、心不全を起こして肺に血液が滞る心原性肺水腫です。肺胞内に血管から液体が溢れ出して肺水腫を起こします。


非心原性肺水腫
もうひとつは、心臓以外の原因で起こる非心原性肺水腫です。敗血症、肺炎、重症外傷などが起因となります。肺の血管から液体の成分が漏れ出やすい状態となり、肺胞内に液体があふれて肺水腫となります。


透析患者さんの肺水腫の原因
透析患者さんは腎臓の機能が低下しており、体内の血液量が増加して心臓に負担がかかりやすい状態です。また、動脈硬化が進んで虚血性心疾患にもなりやすく、心不全を抱えている方が多くいます。

2018年のわが国の慢性透析療法の現況では、透析患者さんの死亡原因として2番目に多いものが心不全23.5%です。心筋梗塞は2.7%で、心不全と心筋梗塞を合わせると、26.2%と3割近い割合の患者さんが心不全および心筋梗塞で亡くなっています。

心筋梗塞などの虚血性心疾患を抱えている透析患者さんは6割近くいることも言われています。

心臓が弱っている場合や、高血圧、糖尿病がある透析患者さんは心不全を起こしやすく、肺に水が溜まって心原性肺水腫を発症しやすいため、注意が必要です。


参考文献:わが国の慢性透析療法の現況(2018 年 12 月 31 日現在)透析会誌 52

透析患者さんと肺水腫

重要なのは水分管理
透析患者さんが心不全、肺水腫を予防するためには「水分管理」が大切です。

体内の水分量が多くなると心臓に負担がかかり、心不全を起こして肺水腫を発症しやすくなります。透析間で水分や塩分を多く摂取し、体重増加が大きくなると心臓への負担は避けられません。

「透析で除水するから大丈夫」と水分管理を怠り大幅な体重増加と除水の増量を繰り返していれば、余計に心臓に負担がかかります。透析間の自宅での水分摂取量、塩分摂取量をきちんと守り、水分管理を徹底することが大切です。

とくに、週3回の透析スケジュールでは中2日が空く日は要注意です。1日だと管理できても、2日間開いてしまうと体重増加が大きくなる方も少なくありません。指導内容を守り、1日1日の水分管理を大切にして、肺水腫、心不全を防ぎましょう。


まとめ
透析患者さんは心不全を起こしやすく、心筋梗塞などの虚血性疾患や高血圧、糖尿病を抱えている方が多くいます。水分管理がうまくいかずに体内の水分量が増えると、心臓に負担がかかり、肺水腫を発症することがあります。

心臓への負担を少なくするためには、家庭での「水分管理」をしっかり行うことが大切です。

透析でしっかりと除水した後は、自宅での水分摂取量、塩分摂取量を守り、心不全や肺水腫を予防しましょう。


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