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【ライブレポート】METEO NIGHT 2023

2023年8月6日(日)、Less Than TV主催の人気イベント『METEO NIGHT 2023』が、渋谷Spotify O-WESTとO-nestの2会場で開催された。

アンダーグラウンド・シーンで活躍するアーティストが集結するLess Than TVの夏祭りが、コロナ禍を経て4年ぶりに復活。
O-WESTとO-nestの5F(ステージ&フロア)に34組のライブアクト、O-nestの6Fラウンジフロアには9組のDJが出演した

さらに『METEO NIGHT 2023』終了後には、O-WESTにて後夜祭『THE LAST SCUM ROCKSTARS』も開催。3組のライブが行なわれている。


WRENCH

厳しい暑さに見舞われた日曜の午後。
O-WESTに到着したのは、時計の針が4時半を指す少し前だった。

受付を済ませて入場すると、WRENCHのSHIGE(vo, synth)、SAKAMOTO(g)、MATSUDA(b)、MASATO(dr)がサウンドチェックを行っていた。

顔見知りの常連客たちと談笑しながらステージ上の4人を眺める。
MASATOが正規メンバーとして加入した2020年10月以降、WRENCHはツインドラムの5人編成で活動しているが、この日は諸事情によりMUROCHIN(dr)が欠場。4人編成での出演となった。

次第に4人の音が重なり合い、爆音でインプロビゼーションが続く。開始予定時刻よりも10分早く、客電もまだ落ちていないが、すでにライブが始まっていることに気づいた観客たちの視線がステージに集まる。

そのまま「NOCHINOI」に突入。この曲を収録した現時点での最新アルバム『weak』(2019年)が発表されてから何度もライブで聴いているのに、印象的なイントロが鳴り響くたびに鳥肌が立つ。

続いて、5月26日にリリースされた最新12インチシングル収録曲の「Breaking Man」と「MOONSHOT」。どちらもMASATO加入後に制作された楽曲なので、過去のライブではツインドラムでしか披露されたことがない。
ドラムが1台減っているので、通常よりも音圧が低くなるのは当然のこと。しかし、MASATOが叩き出した力強いビートに物足りなさを感じた人間などいなかったはずだ。
ツインのときよりも集中してMASATOのプレイを堪能することができたのも、思わぬ収穫。パワーとテクニックを兼ね備えたドラマーMASATOの魅力が存分に発揮された。

ラストは『weak』収録曲の「KIRAWAREMONO」。終盤のインプロを経てSHIGEがシャウトすると、場内が一気に爆発。バンドと観客が一体となってフィニッシュ。熱演をくり広げた4人に、惜しみない拍手が送られた。

WRENCH @O-WEST
1. NOCHINOI
2. Breaking Man
3. MOONSHOT
4. KIRAWAREMONO

切腹ピストルズ
おとぼけビ~バ~

ギターウルフ 

会場中を巻き込んでオーディエンスを熱狂させた切腹ピストルズ、前日に韓国のフェスに出演した帰国直後のおとぼけビ~バ~に続いてO-WESTのステージに登場したのは、新ドラマーを迎えたばかりのギターウルフ。

昨年よりサポートドラムを務めていたTAKUROが正式加入。7月22日には、荻窪Top Beat Clubで行なわれた新ドラマーお披露目ライブを盛況のうちに終えている。

新生ギターウルフの3人がステージに現れ、恒例のビール一気飲み。そのままいつものようにロックンロールショーが展開されるはずだった。しかし、いきなりの機材トラブル。セイジのギターの音が鳴らず、リズム隊のみで演奏をスタートする。
ローディーが復旧を試みるが、トラブルは解消されない。

窮地を救ったのは、よよよしえ(おとぼけビ〜バ〜)。自身のギターをセイジに差し出した。
よしえに借りたギターから爆音が鳴り響くと、大きな歓声が上がる。
「Long Tall Sally」の極悪カバーから、代表曲「環七フィーバー」。興奮した観客たちが、モッシュやクラウドサーフを敢行した。

O-WESTがギターウルフ・ワールドに変貌したことを見届け、O-nestへ。

久土'N'茶谷

O-nestのメインフロアに駆け込むと、久土'N'茶谷による「諦念プシガンガ」が耳に飛び込んできた。彼らのライブではおなじみの戸川純のカバー。
ほんのわずかしか聴くことができなかったが、ふたりに送られる拍手と歓声からオーディエンスの興奮が伝わってきた。

MOSTのメンバーとして共に活動してきた山本久土やまもとひさと(g, vo)と茶谷雅之ちゃたにまさゆき(dr)からなる久土'N'茶谷は、さまざまなアーティストの楽曲をカバーしているが、それらを完全に自分たちのものにしている。

続いて、2018年1月24日に他界したECDの「Tony Montana」と「職質やめて!」を2連発。Less Than TV周辺のミュージシャンと交流が深かったECDの楽曲が『METEO NIGHT』で演奏されることに、心打たれる。
(この日は、1曲目にもECDの「Time Slip」を取り上げている)

ラストはMOSTの「ジョニー」。座奏していた久土が立ち上がり、長髪をふり乱しながらギターをかき鳴らすと、フロアのあちこちから歓声が飛び交う。
そして、茶谷が叩き出すビートによって会場が一体となり、興奮の坩堝と化した。圧倒的な存在感を放つ茶谷のドラムは、いつだって聴く者の魂をふるい立たせる。

久土'N'茶谷 @O-nest 5F (stage)
1. Time Slip
2. 諦念プシガンガ
3. Tony Montana
4. 職質やめて!
5. ジョニー

https://youtu.be/yVUSiXKWQX4

久土'N'茶谷の出番が終わったあと、WRENCHのSAKAMOTOとSHIGEに遭遇。SAKAMOTOは久土'N'茶谷を、SHIGEはギターウルフを絶賛していた。つまり、どちらのバンドを選んでも正解だったということ。

TEXACO LEATHER MAN

銅鑼を打ち鳴らすドラマー。テニスウェアを着て日本刀をふり回すヴォーカリスト。
アクの強いアーティストが名を連ねる『METEO NIGHT』の出演バンドの中でも、ひときわ異彩を放つTEXACO LEATHER MANのパフォーマンスをひと目見ようと、多くの観客がO-nestに集まっていた。

ギターウルフやMAD3、JACKIE & THE CEDRICSらと並ぶ国内ガレージパンクのオリジネーターでありながら、TEXACO LEATHER MANのサウンドにはハードコアやサイケの要素が感じられる。
この日も披露された「Photographer」や「Crime Finger」といったファストチューンにおけるTetsuのドラムは強烈で、他のバンドを目当てに来場したハードコア・ファンも首をふっていたのではないだろうか。

うねるベースにも耳を奪われる。HATEMANや鰐、THE KNOCKSといったジャンルの異なる複数のバンドで(時にはドラマーとして)活動するTsubasaのプレイが、バンドのオリジナリティをさらに高めている。

ジャンクでサイケデリックなOsamaとMiyagiのギター、そして日本刀を片手に絶叫するMoccos Europe。そんじょそこらのガレージバンドとは、ひと味もふた味も違うのだ。

TEXACO LEATHER MAN @O-nest 5F (stage)
1. Opening Jam
2. Photographer
3. Jason Bill
4. Crime Finger
5. Ghost Sugar

なお『METEO NIGHT』のセットリストと同じ選曲のライブ音源を収録した『FLOWER SHOWER (LIVE at KOENJI HIGH 4.16.2022)』が、5月26日にアナログ盤でリリースされている。
スタジオ録音作品以上にハードで熱量の高いパフォーマンスを、ぜひレコードで聴いていただきたい。

https://hebuys.shop/goods_detail.php?goods_number=MMDS22012LP

SLIGHT SLAPPERS
DMBQ

その後もO-nestで、国内パワーバイオレンス・シーンを牽引するSLIGHT SLAPPERSや、トリを務めたDMBQ、6FラウンジでDJが投入した極上の音楽を楽しませていただいた。
来年も無事に『METEO NIGHT』が開催されることを祈る。


(取材/文・五辺宏明)



METEO NIGHT 2023
Live : O-WEST / O-nest 5F

and more / ANORAK! / baduerykah / CROCODILE COX AND THE DISASTER / DAIEI SPRAY / DMBQ / ELMO / falls / FIGHT IT OUT / FORWARD / GOFISH / GROUNDCOVER. / ギターウルフ / HARD CORE DUDE / 久土'N'茶谷 / Limited Express (has gone?) / MASTERPEACE / 三沢洋紀 / nemo / ニーハオ!!!! / おとぼけビ~バ~ / PAYBACK BOYS / penisboys / 切腹ピストルズ / SHUT YOUR MOUTH / SLIGHT SLAPPERS / 田島ハルコ / TEXACO LEATHER MAN / THE BREATH / VINCE;NT / WRENCH / やっほー / YOLZ IN THE SKY / 106 (Phew + Dowser N)

METEO NIGHT 2023
DJs : O-nest 6F

BLACK HOLE / BxBxT / COGEE / DJ Champagne shower (CELEBS) / DJ HOLIDAY / electro charge / HORI (ThePOPS) / POLICE BASTARD / SHOULDER TACKLE

THE LAST SCUM ROCKSTARS
DEATHRO / FUCKER / プンクボイ


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