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美しい友の汚部屋改善補助記を残します

フランス人形か、
ロシア人形にも似た、
とにかく美しい子が、私の友人にいる。
同い年だ。

今売れているタレントさんより、よほど芸能人のような顔をしている。
とにかくキレイなのだ。

職業も立派だし、結婚してるし子育てもしてるし。
なにより、人間性が抜群にいい。

何度も彼女のその人間性に、命を救われてきた。

私をとても大事にしてくれる、篤志家の塊。
そう、言ってしまえば彼女は完璧なのだ。





彼女が唯一、
片付けができないことを除いて。





一ヶ月前の休日。
私は彼女の部屋にお呼ばれしていた。
私の手荷物には、割烹着と三角巾。

いつものお茶でも、女子会でもない。

溜まりに溜まった書類やら子供服やらの汚部屋を、片付けてほしいとの依頼完遂のためだ。

そもそも、私は強迫性障害を持っており、
かなり潔癖である。

これまで休みができる度、家にお茶に誘ってきてくれた彼女。

だがおぞましい量のモノと、生活用品に埋もれてする女子会は、何より私の精神には辛いものだった。

ちなみに彼女の実家はとても綺麗。
義実家もかなり綺麗、
住まいも新築のアパートメントで、
物件は綺麗なのだが…

とにかく一歩足を踏み入れると、
その住まいはワンダーランド。

彼女の住まいには、きれいな部屋の床というものがない。

目につくのは、壁面に積み上がった子供二人分のおもちゃと生活用品。
ちらばる髪の毛。

四畳半に大きな遊具を鎮座させ、おもちゃを積み、追加の遊具や生活雑貨を並べて平気でいる。

そもそも新婚さん向けの物件で、部屋が狭い。
四畳半と続き間のリビングダイニング、6畳の寝室、バスルーム、トイレ、洗面所。

それぞれの猫の額ほどの場所に、ジャンルがバラバラに、見合わぬ量の物が詰め混んであるのが目で見てわかる。

旦那さんも彼女と一緒に、いよいよ私に泣きついてきた。
我ら3人とも同じ大学卒。
仲はいい。
旦那さんは、恥を晒すのを遂に決意して、頼みますと子供を連れて時間を稼ぎに出てくれた。

戦闘開始である。

とりあえず旦那さんが子供を預かってくれる2時間が勝負。

事前に聞いていた書類から手を付けた。

まあ封書が出てくる出てくる。
それもなぜかドレッサーの引き出しからだ。
それも皆、未開封だ。

手を動かしながら話を聞くと、どうやら要る要らないの区別が、書類を見ただけではわからないらしい。
大事なものかもしれない可能性から、彼女では捨てられないのだそうだ。

これは困った。
紙類はすぐ家に入ってくる。

特にダイレクトメールは、巧妙に重要書類を装い、捨てにくい見た目になっている。

確かに、さもありなん、だ。

私は前述の通り、3年前に引っ越しをした。

狭い6畳の自室は現在14畳。
かなり人には羨ましがられるが、この部屋には全く収納がついていない。
つまり、物をむき出しに収納するのを余儀なくされている。
しかも、相続した家だったので、前の持ち主の荷物を全て処分するところから引っ越し準備を始め、同時並行で自分の荷物を減らした。

これが幸いし、とにかくありとあらゆる書類や遺品と格闘した結果、断捨離のコツをつかんだ。
特殊な書類の整理や、証券や銀行関係の書類も、要不要がすぐ見分けがつくようになっていた。
故人の貯金通帳は100冊くらいハサミを入れて処分した。
そのくらい、全残しされた遺品相手に格闘した一年を経て、引っ越した。

なのでこの経験から、この日の彼女の書類はものの1時間で終わった。
案の定、褒めてほしい量のゴミ判定された書類が出た。

友人の書類もクレジットカードの明細とダイレクトメールがほとんど。
大切な書類も、もちろん出てはきた。

車の保険証券と、共済関連の証書、医療関連の証明書、子供関連のものなどである。
それらを全てファイルで暫定的に分けて、ラベリングした。

ADHDの傾向が強い彼女は、とにかく分かりやすくないといけない。

後ですぐ取り出せるようにし、一段落した。

その後も洗面所の謎の物品詰め込みゾーンを征した。
ドラム式洗濯機の上のかごに、空の洗剤ボトル数本とジェルボールの大袋、ボールペン、CD-ROM5枚が入っていると来た。

なぜ???と思っても口には出さない。
出したら友情にヒビが入ると分かっているからだ。

洗面所は床に置きっぱなしのカゴ2つに、
子供服が山積み。
とにかく無心で分ける。

サイズアウトと季節ものが入り乱れていて山になっていた。
二人して、子供がいないうちに分けた。

と、ここでタイムアウト。

旦那さんが、ハーゲンダッツのねぎらいのアイスクリームと共に帰宅してくれた。

アイスを子供たちと頬張りながら、いい汗をかいたとさわやかさにひたった。

もちろん床に座って食べる前に、掃除機をちゃっかりかけて。



さて、ゴールデンウイークにはクローゼットを頼まれている。
今日はその打ち合わせを我が家で話した。

腕がなってしょうがない。

なにしろ彼女は命の恩人。

どこまでも、なんだって楽しんでできる。







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