少し気になる子ども

私はこども食堂のボランティアスタッフとして関わっています。遊ぶ場所があり、そこで子どもたちと一緒に遊ぶのが私の主な役割(?)です。この場所で来てくれた子ども達が楽しい時間を過ごせるようにしています。

遊びの中ではうまくいかないこともあります。こども食堂の遊ぶ空間も例外ではないです。その時、気持ちのコントロールが難しいのではないかと思われる子どもがいます。それが顕著に出ている子どもがいました。それは、3人姉弟の一番上、小学校低学年くらいの女の子(以降A)です。

始まりは的当てで使うエアーポンプを使おうとしていたところからです。エアーポンプはスポンジでできたボールを筒の中に入れて空気圧でボールを飛ばす仕組みになっているのです。

使い方が分からない

まず、Aはエアーポンプに興味を持っていました、しかし、使い方が分からなくて泣きそうになっていました。その時、エアーポンプに使うボールがなかったです。私は別の場所にあったボールを持ってきて、「このボールを入れるんだよ」と言ってボールを入れました。それをAは真似て入れようとしましたが、入れることができなくて泣き出しそうになりました。そして、私にこう言いました。

「入らなぁい、やってよぉ」

「自分で入れんかい!」そう思いましたね。でも実際に入れてみると、かなり力を入れないと入らないかもしれません。入れ方を伝えましたが、うまく力を入れることができないようです。それでも、1個入れることができたら満タンになるまで入れてました。とりあえず、一安心です。

飛ばせない

ボールを入れることはできました。次はボールを的に向かって飛ばすのですが、これも難儀しました。

「どうやってするの?ねぇ…」

ここでまた泣きそうになっています。ボールを入れてからの使い方はまだ示してませんからね…

ボールを発射口の近くに転がして空気を貯めて一気に飛ばす!手本として私がやってみました。それを真似ていましたが、なかなか飛ばせなかったので、ボールが飛ぶようにセットしてから渡すことにしました。

空気圧を利用して飛ばすのですが、空気を閉じ込めることができないようでした。何回も使っていると慣れてきたようで、Aが自分で飛ばせるようになっていました。

それを見ていた年中くらいの子ども(Aの妹、以降B)が興味を持っていましたので、私が持っていたエアーポンプを渡しました。「ここを狙って飛ばしてね」そう言って的になりそうな大きめのかごを用意しました。うまくいけば、ボールを回収する手間が省けるのですが、姉妹ともいろんな方向にボールを飛ばしていました。ボールを飛ばす楽しさを感じているようですが、ボールの回収が大変だぁ…

ボールがない

エアーポンプに飛ばすのに用意していたボールがなくなっても、近くに補充できるボールはありました。それも使い切ると、Aはボールを飛ばそうとしていても飛ばなくなったことに泣きそうになっていました。「ボールがなくなっているね、拾ってこよう」AとBにそう伝えました。

いろんな方向に飛んでいましたから拾うがめんどくさい。そう思いながらも、私も拾いに行くことにしました。なぜそこにあるの、と突っ込みたくなるような場所にもボールが飛んでいました。

拾ったボールをまた入れて飛ばして拾いに行って、を繰り返していました。私の拾ったボールを「ちょうだい」と言ってAは取っていきました。それだけ夢中になれたのですね。いいことだと思います。

交代するのがイヤ

AとBがエアーポンプを使って遊んでいました。それを見ていた1歳半くらいの子ども(AとBの弟、以降C)も使いたいような行動をとっていました。Aの持っていたエアーポンプをとろうとしていたのです。

Aは拒否していました。何回かしていたので、交代してあげてもいいのではと思いましたね。Aに「ここにあるボールがなくなったら代わってあげてね」と伝えました。そして、ボールがなくなった時にCに渡したのはいいものの、すぐ「これがいいの!」と言ってエアーポンプを取り上げようとしていました。どこかでAはブレーキをかけたので、Cから完全に取り上げることはしませんでした。

なんとか気分を変えたのだが

その後、Aは何かとゴネていました。

泣き出しそうになってました。私の手を持って、「違う遊びをする」と言い、別の場所に連れて行きました。他にも遊べるものはあります。多分、楽しんでいたエアーポンプができなくて悔しい気持ちをなんとかしようとしていたのだと思います。私を無理やり連れて行ったので私はそう思いましたが、実際はどうなのでしょうね。

その時にはエアーポンプを使っている様子を見ているスタッフがいました。その人に後のことは見てもらうことにします。BとCが使っています。Cは持ってるだけでうれしそうでしたが、使っている様子が気になるところです。

他の遊びもしてみる

Aは私に「これしたい」と言ってホッピングを持ってきました。使い方を教えてやってみるのですが、バランスがとれず飛べません。「飛べないぃ」と言いました。「後ろから支えるよ」と言ってAの後ろに行き、Aの両脇の下から腕を伸ばして持ち手を取り、飛べるようにしました。楽しそうに飛んでいました。

何回か飛んでいると「1人でする」と言いました。近くで飛ぶ様子を見守りました。2回連続で飛べましたが、3回目で失敗して「できない」と泣きそうになっていました。初めてで2回も飛べたのはすごいことだよ、と思います。うまく言葉にできませんでした。

結局戻る

BとCのところに行き、3人でエアーポンプを交代しながら使って遊んでいました。あらゆる方向に飛ばすから危ないなと思いました。ここ狙ってとかごを示しましたが、飛ばすタイミングで力の入りが強く、それに腕が耐えられないために狙いが定まらないのです。まあ、無理もないですかねぇ。

買ってよ

帰る時に、エアーポンプが欲しいとAは母親にねだっていました。母親はお金がないことを理由にして断っていました。それを聞いてAは「嫌だぁ、欲しぃ」と泣き叫んでいました。

個人的に興味があったので値段を調べてみました。その時、何で検索したら出てくるか分からなかったので、エアーポンプの写真を撮って画像検索をかけました。5000円くらいすることが分かりました。それを母親に伝えると、「高いなぁ」と言ってました。その意見には同意します。私が買うなら3000円くらいです。

母親は他にも理由をいくつか挙げて買わないと言ってました。私としてはそれを理由にするんだ、と思うこともありました。家庭の事情なのでなんとも言えませんが、Aにとっては納得できない理由であることは分かります。駄々こねてましたねぇ。これに関わる母親も大変だなぁ、と思いました。

じゃあね

来月来たら時にもできるからその時にまた遊ぼう、ということで話は落ち着きました。BとCは納得していましたが、Aはなかなか納得しませんでした。最後に何回かエアーポンプでボールを飛ばしたら、機嫌は少し良くなったように思います。「これで最後」と約束はしましたから、その最後の1発が飛んだ時は悲しそうでした。

そして、少し不満な顔をしていましたがAは私に「じゃあね」といって1人で帰りました。できたら家族のみんなと一緒に帰って欲しいなぁ。後を追うようにBとCが行き、母親も追いかけるように帰っていきました。事故とか起こしていないので、たぶん大丈夫です。

またおいで、待ってるよ

Aにとって私が落ち着ける人、安心できる人になったなら、それでいいのかもしれません。Aは気持ちのコントロールが少し苦手な感じがします。本人のコントロールできない部分で不利益を重ねていることが原因かな、と後になって思います。私を使ってその気持ちのコントロールができるなら、まあいいんじゃないですか?

次は少し成長した姿で来てくれると嬉しいな

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