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外務大臣会見記録 2023年11月24日(金)

14時19分 於:本省会見室

冒頭発言

上川外務大臣の日中韓外相会議出席

【上川外務大臣】
私から1件ございます。

11月25日から26日まで、私は、第10回日中韓外相会議に出席するために、韓国・釜山を訪問します。

約4年ぶりの開催となる今回の外相会議では、朴振(パク・チン)韓国外交部長官王毅(おう・き)中国外交部長と共に、日中韓サミットに向けた準備として、現下の国際環境の下での日中韓協力の方向性や、3か国が裨益する具体的な協力案件、地域の諸課題などにつき議論をする予定であります。

日中韓の会合・協力が有する戦略的意義を踏まえ、積極的に議論に参加したいと考えております。

私からは、以上です。

日中韓外相会議

【NHK 五十嵐記者】
冒頭ご紹介がありました、日中韓の関係で伺います。
明後日予定されている日中韓3か国の外相会議は、実現すれば、2019年8月以来、4年ぶりの開催となります。
会議では、どういう内容を話し合うお考えでしょうか。
また、3か国の首脳会議の再開に向けて、大臣として、どう働きかけるかも、併せて伺います。

【上川外務大臣】
まず、冒頭で、私から述べました日中韓外相会議の議題につきましてのお尋ねがございました。

約4年ぶりの開催となる今回の会議であります。
3か国のこれまでの議論・協力の積み上げを基礎に、現下の国際情勢を踏まえた具体的な協力の方向性、地球規模課題への対応、地域情勢などについて取り上げる予定であります。

国際社会が大きな挑戦と変動を経験し、歴史の転換点にあるなか、日中韓協力の戦略的・大局的意義を踏まえた議論を行いたいと考えております。

続きまして、日中韓サミットに向けて、外務大臣として、どのように働きかけるかについてのご質問でございますが、サミットの日程等につきましては、まだ決まっておりませんが、我が国といたしましては、なるべく早期で、適切な時期のサミット開催に向けまして、議長国であります韓国を最大限支持してまいりたいと考えております。


日韓関係

元慰安婦訴訟

【朝日新聞 松山記者】
外相の韓国外遊に併せてお伺いします。
旧日本軍の元慰安婦ら16人が、日本政府に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、韓国のソウル高裁は、23日、原告の訴えを認め、日本側に賠償を命じる判決を下しました。
今回の判決を受けて、明日からの韓国外遊では、日韓外相会談などで、韓国側にどのように訴えられるお考えかお聞かせください。
また、日韓関係が改善傾向にある中で、今回の判決は、両国関係に、どのような影響を与えるとお考えかお願いします。

【上川外務大臣】
事前に、今後の個別の議題につきまして、予断することは差し控えさせていただきますが、一般に、二国間会談におきましては、外相同士がお互いの関心事項や懸案につきまして、話し合う機会となるものと考えております。

従来から述べているとおりでありますが、日韓両国は、国際社会の諸課題の対象に、協力していくべき重要な隣国同士であります。
北朝鮮が、弾道ミサイル技術を用いた発射を繰り返すなど、現下の厳しい戦略環境を踏まえれば、日米、日米韓と並び、日韓の緊密な協力が、今ほど必要とされるときはないと考えております。
こうした中で、日韓両首脳のリーダーシップの下、日韓関係を積極的に動かしてきたところであります。
引き続き、様々な面で取組を進めていく考えであります。

同時に、日韓間に存在する諸懸案につきまして、引き続き、適切に管理し、相手方と緊密に意思疎通を図るべきことは当然と考えております。

今回の判決につきましては、国際法及び日韓両国間の合意に明らかに反するものであり、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない旨、既に韓国側に申入れしております。

引き続き、韓国側が適切な措置を講ずることを、強く求めてまいりたいと考えております。


イスラエル・パレスチナ情勢

4日間の戦闘休止

【朝日新聞 松山記者】
重ねてですみません、話題変わります。
本日、午後2時から、イスラエルとパレスチナ、失礼しました、イスラエルとテロ組織ハマスの間での停戦が一応報道されていますけれども、ちょっと今、現状どうなっているか分からないんですが、これについての受け止めと、あと、停戦が実現された場合、人道的な休止ですね、失礼しました、が実現された場合に、中長期に向けて、日本としては、今後どのように取り組んでいかれるか。
あと、これまで日本は、二国家解決を両国に訴えてこられましたけれども、この実現に向けて、どのように具体的に措置を講じられていくのかをお願いします。

【上川外務大臣】
まず、4日間の戦闘休止についてでありますが、日本時間の23日のカタール政府の発表によりますと、イスラエルとハマスとの間で、日本時間24日14時から戦闘を休止し、同日の23時頃から、50名の人質のうち、第一弾として女性及び子供を含む13名が開放される予定と承知しております。
また、イスラエル政府も、解放される人質のリストを受領した旨発表したと承知しております。

人質の解放と人道状況の改善に向けた重要な動きとして、これを歓迎するとともに、関係国による努力に敬意を表したいと考えております。
合意が着実に実施をされ、また、人質解放及び戦闘の休止が継続することを期待しているところであります。

続きまして、中長期ということでありますが、我が国はイスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存をする「二国家解決」、これを一貫して支持してきております。

まずは、ガザ地区をめぐる人道状況の改善や事態の早期沈静化に向けた外交努力を粘り強く積極的に続けていくことが重要でありますが、その後は、「二国家解決」の実現に向けまして、イスラエル及びパレスチナの他、関係国とも議論していくとともに平和と繁栄の回廊構想などの日本独自の取組を通じまして、当事者間の信頼醸成に取り組んでまいりたいと考えております。


イスラエルへの制裁

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
パンオリエントニュースのアズハリです。

私の質問は、そのフォローアップです。
パレスチナとアラブの指導者たちは、イスラエルに占領地からの撤退を迫るよう国際社会に呼びかけました。
日本もまた、イスラエルが国際法に違反しているという問題について、声を大にして訴えています。
では、イスラエルが長年無視してきた国連決議履行のために、イスラエルに制裁を課すことを支持しますか。
そうすれば、イスラエルは、私たちが、どの写真でも見かけるような、パレスチナ人、特に子どもたちに対する虐殺や絶滅戦争を止めざるを得なくなるでしょう。
そうすれば、日本の主要な石油・エネルギー源である中東の安定にもつながります。

【上川外務大臣】
ガザ地区では、連日、多数の子供、女性、高齢者を含みます死傷者が発生しております。
我が国としては、こうした危機的な人道状況を、深刻な懸念をもって、この情勢を注視しているところでございます。

現在の事態におきまして、我が国は、全ての当事者が、国際法に従って行動することを一貫して求めてきておりまして、イスラエルに対しましても、これまでハマス等によるテロ攻撃を断固として非難する旨を伝えた上で、一般市民の保護の重要性、また、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきている状況でございます。

イスラエル訪問時におきましても、私から、コーヘン外相に改めて直接お伝えをしたところでありまして、今後もこのような外交努力を粘り強く続けてまいりたいと考えております。

また、我が国は、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する「二国家解決」を一貫して支持してきており、今次事案の発生以前から、更なる入植地の建設を含め、「二国家解決」の実現に悪影響を及ぼすような一方的措置を控えるよう、繰り返し求めてきてまいりました。

引き続きまして、イスラエル・パレスチナ双方への直接の働きかけなどにより、今次事態の早期沈静化や、人道状況の改善に向けた外交努力を粘り強く積極的に続けていくとともに、「平和と繁栄の回廊」構想などの、日本独自の取組を通じまして、当事者間の信頼醸成に取り組んでまいりたいと考えております。


人道目的の戦闘休止・停戦

【アナドル通信社 メルジャン・フルカン記者】
私の質問もパレスチナ情勢についてです。
紛争における人道的一時停止となるイスラエルとハマスの和解について、日本政府は、どう評価しているのでしょうか、紛争における人道的一時停止は十分なのか、それとも完全な停戦が必要なのでしょうか。
上川外務大臣は、先月、カイロで行った演説で、
「パレスチナ国家に対する日本の決意は変わらない」
と述べていました。
この点において、日本は、パレスチナ国家の存続に対して、どのような具体的支援ができるのでしょうか。
以上です。
お願いします。

【上川外務大臣】
ガザ地区の状況につきましては、深刻化の一途をたどっていることに加えまして、地域に飛び火して情勢が不安定化することに、日本としても深刻な懸念を持っているところであります。
事態が早期に沈静化され、地域にテロと暴力のない平和と安定が実現することを強く望んでおります。

今次、事案の経緯や、また複雑な背景事情等に鑑みまして、「停戦」に至るまでには、引き続き、一つ一つの成果を積み重ねていく必要がある中で、今、我々がすべきことは、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保をイスラエル側に求め、その実現に向け努力尽力をすることであります。
このことこそが、現地で苦しんでいる多数の子供たち、また女性、高齢者を含む一般市民の惨状を少しでも和らげるために最優先であると考えているところであります。

そうした中におきまして、日本時間23日のカタール政府の発表によりますと、イスラエルとハマスとの間で、日本時間24日14時から戦闘を休止し、同日の23時頃から、50名の人質のうち、第一弾として、女性及び子供を含む13名が開放される予定と承知しております。
また、イスラエル政府も解放される人質のリストを受領した旨発表したと承知しております。
人質の解放と人道状況の改善に向けた重要な動きとして、これを歓迎するとともに、関係国による努力に敬意を表したいと考えております。
引き続き、こうした合意が、着実に実施されることを期待しておるところであります。

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