「耳に痛い忠告」。ムカついても、聞き入れるほうが賢い―『孔子家語』
忠言は耳に逆らえども、行いに利あり
「良薬は口に苦し」
とよく言いますが、これを世に広めた人、言い出しっぺは誰かご存じですか?
書物などで確認できるところでは、孔子です。『孔子家語(こうしけご)』に次のように記されています。
よい薬は飲むと苦いが、病を治す効力がある。
という意味です。
ちなみ、『孔子家語』とは孔子の言行や門人との問答を記録したもの。原典は散逸してしまい、のちにまとめられたものが現代に伝わっている、とされています。
話はこれで終わりではありません。孔子が本当に言いたかったのは、次の言葉です。
意味は次の通りです。
忠告をされると、そのときは感情が逆立ってしまい、素直には聞き入れられない。
けれども、そのアドバイスは、自分のことを思って言っているのだから、それを参考にしよう。行いや考えを改めると、まわりの見る目がかわってきて、その後の人生は、いいことがあるはずです。
*かなり意訳してあります。
最近は、人間関係が複雑になることを慮って、その人のためを思って率直な物言いをする人が少なくなりました。
相手のためによかれと思って言ったことで、関係にヒビが入るくらいなら、自分の気持ちは飲み込んで、何も言わないほうがいい。
あるいは、〇〇さんから△△△ハラスメントを受けています、と告発されてトラブルになるのは避けたい。
スタッフに対して踏み込んだ指導をしない。ミスや遅刻などのルール違反を叱らない……こんな緩いマネジメントをやっていて、長い目でみたときに、組織と人が成長していくとは到底思えません。
話が逸れました。
忠告に対して、気分を害さず、自分ことを思って言ってくれたのだ、と受け止めることが成長につながっていく。
忠告の内容は、実は、ほかの人たちも口にはしないけれど、その人に振る舞いや物言いに対して嫌な思いをしたり、不快に感じていることだったりします。そうした声を代弁して伝えてくれているのだ、と思ったほうがいいのでしょう。
やはり、核心を衝いた忠告、アドバイスには、心穏やかではいられない。ときには、逆切れすることもあります。
「あなたに、そんなこと言われる筋合いはないですよ」と。
しかし、そうであっても、
「ご忠告ありがとう」
と笑顔で返したい。
そう言うのは、諸先輩や関係者の心ある忠告に、耳を傾けておけばよかったと思うことが、数え切れないからです。
若気の至りとはいえ、生意気でした。自分が正しい、結果も出している、という思いに溢れていました。まわりからも褒められていい気になっていて、聞く耳をもたなかったのです。
おかげで、人生、だいぶ遠回りをしました。
教訓。
考えを改めるのに、遅すぎるということはありません。
やはり、「忠言は耳に逆らえども、行いに利あり」です。
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