こんな月夜に

<こんな月夜に>
こんな月夜の山に明りを持ち込むのは誰だ
薄青い光が作る陰の中で
獲物を探すもの、眠りにつくもの
遠吠えするものが住まうところ
熱すぎる光は穢れと清浄の区別をなくす
暗すぎると思うなら立ち去れ
あるいはそこで朝の光を待て
夜の光に生きるもの
朝の光に生きるもの
住まう世界も見える景色も異なる掟に生きるもの
 
熱すぎる光ですべてを照らし出そうとするものよ
闇をどこに持ち去ろというのだ
光度が増す分、世界は水と土と空気を失くしていく
原子の炎、水素の反応は
夜と朝の光さえ奪おうとしている
その明るさの中で何をしようというのだ
その光の中で燃え尽きようとしているのは
自分だというのに

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