好戦の民

<好戦の民>
人はなぜ戦闘が好きなのだろう
人馬入り乱れる場面では
なぜ緊張し心踊るのだろう
刀や弓で人が薙ぎ倒され
火と油で焼き殺され
屍を踏んで軍馬が走る
馬上から勇者が敵を刺す
その顔は笑っているのか、蒼白なのか
中世の騎馬隊も
戦国の破城隊も優れた軍略家も
指揮官の下で目覚ましい働きをする
それを眺める私たちは
なぜ戦闘を好むのだろう
 
戦地の民衆が逃げ惑う光景に胸が潰れる一方で
軍事作戦の出来不出来を楽しんでいないだろうか
他人の憎しみ合いを高台から見下ろしていないだろうか
戦いはなくならないと訳知り顔に呟いていないだろうか
自分の中に戦いのほむらが揺れていないだろうか
怒りの奥に暗い笑いが潜んでいないだろうか
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?