64.【読書と私】⑯人生の道しるべ/宮本輝 吉本ばなな:対談を楽しみながら選書
毎度の長い前書き
宮本輝が好きで読んでました。たくさん読んだ気がするのだけど、そうでもないのかな。思い浮かぶのは、何と言っても『星々の悲しみ』。多分それまでストーリーを楽しんでいた読書に、「文章がきれい」という価値観が生まれた文章。そこから読み始めて、川三部作(『泥の河』『蛍川』『道頓堀川』『優駿』『青が散る』など読んで、そして『錦繍』は良かった、と記憶はあって、その後はどこまで読んでいたか読書する機会が少なくなるとともに遠ざかっていた。
二度、三度と再読している『星々の悲しみ』はやっぱり好きだし、何か再会するように著書を読みたいと思っている。『錦繍』再読か、いや読んだことがないのがいいなと思ったり。とりあえず図書館で物色するも「これ!」とは決めあぐねていた。その中でちょっと感じたのは、意外⁈と外国を舞台にしているものがあるのと、タイトルは全般的に印象があるようなないような淡い感じがしたこと。(個人の感想です)
そうだ、エッセイにしようかなと見つけた『人生の道しるべ』
吉本ばななさんとの対談。若い時は、エッセイとか詩とかは何かあっさりしていて物足りない感じがしたけど、生活が忙しくなってからは軽く読めるのもあるし、随分と助けられた気がする。対談というのもよく読んでいた。
☆彡
<読んでみた感想>
対談の収録日は2013年の1月17日と2014年の1月17日、ともに阪神・淡路大震災の日付と同じ、それと2014年9月6日軽井沢にて。
お互いリラックスした語り口で、ばななさんが宮本輝さんの空気感に安心している感じがします。作家同志の話興味深いエピソードが出てきます。
以下、印象に残ったところ
☆まず、ばななさんが宮本輝さんの家に行った時に、明日の締め切りの分を書いて来るからとさっといなくなり、終わったらちょっと寝るという、自由奔放な姿。まさに作家だなーと感じられた。
☆『骸骨ビルの庭』を読んだ感想をばななさんがブログで「くどさがある」と書いていたことに、どういう意味かと聞かれて、
ばななさんのコメントに同感。「上澄み」納得です。そして、ばななさんが表現された「くどさ」「粘り」は私は「渋み」と感じてちょっと離れていくところになったところかもしれない。
その後は、今ならこうできるという話とともに、「若いときに書いたものを否定する気になれない」「若くなければ絶対書けなかっただろう小説というものもあるし」ということばもありました。
私は若いときに書いた作品を読んで良かった人なので、自分が成長してその後の作品を享受できるのかと心配にもなる。主人公が50歳の作品読めるかな…
☆宮本輝が年に一回は読み返す小説は印象的でした。意外性あり?でも小説の成分がわかる気がしました。
☆宮本輝は、本当は短編がすごく好きで、自分を短編作家と思っていること
→最近になって、私も短編小説の面白さがわかってきた気がします。全三十九編の短編集読んでみたい。
☆小説を書くことについて
そもそも、なんとかの度合いは違うと思いながらも。。。なにせ
そして決めた積読リスト
本を選ぶ基準で、自分はタイトルか装丁が影響するかとふと思いました。どっちも調和がとれて好みなのが一番だけど、タイトルかなと思います。しかも、タイトルで内容が感じられるものが良い。そういうところでは、初期の作品の方がタイトル的に好み。後半のは読んでいないのもあるだろうけど、内容のイメージがつかなさ過ぎて。でも、作品を書く話から、一つの風景から、棋士が先を読むようなイメージができるんだろうななんて感じました。だからか…と何かいろいろ疑問に感じたのがほぐれてきた気がした。
タイトルもどこか、水もの(川、海のつくもの)星もの、草木花のものが多い気がして、その中で「粘り」として込められているものがあるのだけど、どこか淡々としてる感じが淡い感じなのかな。
さて、何を読むか。ライフワークの『流転の海』(全九巻)に取り組むには、時間が注げなさそうと尻込み。でも、人生の変遷を経た作家の文体の変化も見たいと思い『宮本輝全短編』は読みたい。また、今の年齢で読める作品なのかなと思う『水のかたち』かな。そこから、また読みだすかどうか、過去のものを邂逅するか行く末も楽しみにしながら読んでみたいと思う。
宮本輝(1947ー )
吉本ばなな(1964ー )
『人生の道しるべ』(2015)
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