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彼から元彼までの距離

送りたくても送れなかったメッセージが
iPhoneのメモにいくつかあって。

その中でひとつだけ今も読み返す
メッセージがあった。

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2020年12月のデート。

みなとみらいのスパに行った
ときのこと。

あの日はずーっとあなたの優しさに
包まれて一日中とても幸せだった。

お昼に渋谷の駅について
東横線ホームがわからなくて。

前に上野で待ち合わせたときも
そうだったけど、私は改札を
間違えて迷っていた。

そんな時、いつも側まで迎えに来て
くれたのが本当に絵に描いたような
ヒーローみたいだなって、笑。

あなたは方向音痴だって前に
言ってたけど、みなとみらいは
研修でよく来るからって
いろいろ案内してくれたこと。

すごくうれしかった。

ランチを食べながらオノヨーコを
大嫌いな話やビートルズのことを
楽しそうに力説してたこと。

中村くんの才能が活かせない
ジレンマの話をしてくれたこと。

お風呂から寄り添いながら
一緒に見た夕暮れの冬の海。

お布団を一緒に敷いたこと。

優しく抱き寄せられたこと。

あなたのやわらかな匂い。

触れ合う肌の心地よさ。

離れたら消えてなくなる温もり。

感じることが儚くすべての瞬間が
そこにあった。

スパを出るときゆっくりし過ぎて
あなたをちょっとお待たせ
しちゃったよね。

慌てて外に出て来たら髪が濡れた
ままで。

コンバースの紐を結びながら
ライトアップされた目の前の
大きな観覧車を見上げてたら
『髪乾いた?』
って優しく撫でてくれたこと。

今まで誰も辿り着くことがなかった
わたしの心の奥の無垢で脆く
壊れそうな場所。

琴線に触れた一瞬だった。

それと同時に比べようがないくらいの
心地よい安堵感が押し寄せた。

あのときの優しさの感触は
今もずっと忘れない。

そしてそれが何にも変えがたく
とても幸福だったこと。

夜の観覧車の夜景を見ながら
話てくれたゲームの構想。

快速を選ばずに各駅停車での帰り道。

少しでも永く一緒にいられる幸せと
ともに、眠くなる微睡の中の安心感。

渋谷駅での雑踏の中で別れて帰る前に
抱きしめてくれたこと。

恥ずかしい気持ちが一瞬で
掻き消されるぐらい愛おしかった。

手を重ね合わせてクリスマスの予定を
確認し合った無邪気な時間。

出会えた時間はぜんぶ
私の宝物だった。

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『永遠の幸せ』と言う幻想は
カタチのない不安定なものだ。

そしてそれを追い求めいつもすれ違う。

今だにテレビドラマでは運命的に男女が
出会い、お互いに想い合っているのに
レイヤーが違うためか話が噛み合わない。

自由でいたい男と覚悟を決めた女

その対極とも言える点と点を結び
擦り合わせて行くコミュニケーションは
いくら筆を尽くしても会話を重ねても
タイミングとセットじゃないと
揺るがない絆という信頼は生まれない。

むしろ時間が経って理解することが
ほとんどだ。

本質はちゃんと自分と向き合って
自分から逃げずに弱さを受け入れて
自分を愛すること。

ドラマで言えば3年後・・・
まだ想いがあれば本物だから
答え合わせはそのときわかる。

本音はもう一度やり直したかったよ。

でも、今あなたは転職に集中したいの
理解できるから。

その間、気持ちを手放すことにしたの。

今までで誰よりも一番好きになった
あなたから、初めて愛すると言うことを
教えてもらえたような気がするよ。

素敵な思い出をありがとう。

あなたが望む勝利と
あなたへの感謝と幸せを
願っているから。

元気でね
さようなら。

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