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100倍、身につく国語力(221) 作品篇

❤小~高校生と、母親向けのレッスン 

(1年間で国語力の悩みが解決できる!)


 漱石の『夢十夜』について (2)
 
1.『夢十夜』の構成と内容
 この作品は、夏目漱石による10本の
短編集で、1908 年に朝日新聞の新聞
小説として連載されたものである。
ただ、漱石ははじめからこの『夢十夜』
を書くつもりはなく、前作の連載が終
わったばかりで、次作までの繋ぎとして
書いたといわれています。そのため、
まとまった小説を書く負担を減らすよう、
気楽な気持ちで執筆した結果、ある意味
ではまとまりのない10話の寄せ集めの
ような作品になったものと考えられま
す。
 
 さて、この『夢十夜』の話は、基本的
には2つの大きな要素が対立する構造と
内容になっています。それは、「男性と
女性、現在と過去、生と死、動と静、
白黒とカラー、創造と破壊、西洋と日本」

などのように、いろいろの視点からの
対立構造になっていることが容易に理解
できます。従って、10篇の内容を一元的
にまとめることは不可能なので、今、仮
に「生と死」という観点から要約すれば、
相原和邦氏の説(注3)を引用するとわかり
やすくなると思います。

 (注3(『広島大学国語国文学会秋季
       研究集』(1976.01.21)より引用。

ネットのイラストより転載


 ・第一夜
  …女の死と待ち続ける「自分」
   の生、そして女の復活
 ・第二夜
  …自分の死の覚悟を背景にした
   侍の生の姿
 ・第三夜
  …加害者としての殺人と、それ
   を背負った生の重さ
 ・第四夜
  …河の中にから上がって来な
   い爺さんの行き着く死の世界
 ・第五夜
  …女の死があり、女を待つ武人
   にも捕虜として行く着く死
 ・第六夜
  …肉体は滅んでも、時代を超え
   て行きつづける芸術作品の
   生命
 ・第七夜
  …生への嫌悪感から自殺する
   人間の姿
 ・第八夜  
  …空洞化した生の姿
 ・第九夜
  …すでに殺された夫を、それ
   と知らずに待ち続ける女の
   生
 ・第十夜
  …死を恐れて生にしがみつつ、
   結局、死を迎える男
 
 とにかく、各話を一話ずつ精読する
のではなく、まずざっと通読してみる
ことをお薦めします。そうすると、
この『夢十夜』がどういう構成になっ
ているのか、少し理解できると思うか
らです。

  ❤つまり、漱石先生の作品な
  ので、立派な文学作品に違い
  と考えないで、気楽に自由な
  気持ちで読み始めると、いろ
  いろなものが見えて来ると
  いうことです。
 
 アナミズ (2024.09.20)
 

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