100倍、身につく国語力(68)外来語篇
❤小~高校生と,母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)
カタカナ語篇 ⑥
【日本語の外来語の特徴】
4.外来語を 乱用する国民性
(1) カタカナ語の洪水現象
これは今に限ったことではありません
が、日本語の中にカタカナ語が非常な勢
いで増えてきているように感じます。特
に最近のテレビを見ていると、意味不明
なカタカナ語が溢れ、なんだか疎外感
さえ覚えてしまいます。
これでは、日本語がまるで外来語に制
圧されてしまっているような錯覚に陥っ
ていきそうです。次の例でも分かるよう
に、テレビから洪水のように飛び出して
くるカタカナ語の意味は、一体どのくら
いの日本人が正確に理解できているのか、
疑問に感じざるを得ません。一応、普通
の日本語に順不同ながら書き出して考え
てみたいと思います。
① ケア→英語のcareで、病人
や体の不自由な人を介護
すること。手入れ、管理
の意味。
② ガバナンス→英語の
governanceで、(国家の)
統治(法)。(企業・組織など
の)経営、運営のこと。
③ デイサービス→和製英語
で、day-serviceのこと。
在宅介護を受ける高齢者
や障害者が、送迎サービス
を受けながらデイサービス
センターなどに通い、食事・
入浴・訓練などを受ける
福祉サービスのこと。
④ コラボ→
英語のcollaborationで、
コラボレーションの略
で、共同制作、共同作業、
共同研究などのこと。
⑤ アスリート→英語の
athleteで、運動選手、
競技者、特に陸上競技
の選手。
⑥ インフラ(ストラク
チャー) → 英語の
infrastructureで、
産業基盤・生活基盤
を形成する構造物の
総称。
道路・鉄道・ダム・
港湾・通信施設
学校・公園・病院など
がふくまれる。あるい
は、下部構造の意味。
⑦ ダイバーシティー→
英語のdiversityで、
多様性・雑多なこと。
様々な。相違、差異、
相違点など。
⑧ ダブルスタンダード→
英語のdouble standard
で、対象によって異なる
二つの基準を運用する
こと。二重基準。
⑨ コンプライアンス→
英語のcomplianceで、
命令・要求などに従う
こと。服従。法令(ほう
れい)遵守(じゅんしゅ)、
特に企業が法令・社会
規範・企業倫理などを
守ること。
⑩ リスク→ 英語のriskで、
危険、危険度、また損害
を受ける可能性。リスク
マネジメント(risk manage-
ment)がよく使われる。
⑪ インフォームド・コンセ
ント
→英語のinformed consent
で、医師が病状や医療行為
の内容を正しく患者に伝
え、患者がそれを納得・意
識した上で医療に参加する
こと。医療上の十分な説明
や同意。
⑫ アカウンタビリティー
→英語のaccountabilityで、
行政・企業などが社会に
対して事業内容や収支の
情報公開をする責任のこと。
説明責任。
⑬ クライアント→英語の
clientで、顧客。得意先。
特に、広告代理店が広告主
をさしていう。カウンセリ
リング受けに来る人。来談
者。コンピュータのネット
ワークで、サービスを受け
る側コンピュータのこと。
⑭ シエア→英語のshareで、
分け合うこと。また、
共有すること。ある企業
の製品の売上高が市場
全体の売上高に占める
割合。市場占有率。
⑮ コンセンサス→英語の
consensusで、意見の
一致。合意。
⑯ グローバリゼーション→
英語のglobalizationで、
世界化。特に市場経済
などが世界規模に拡大
すること。
⑰ ライフライン→英語の
lifelineで、命綱、救命索
のこと。都市生活を維持
するために不可欠な、
水道・電気・ガス・通信
などの供給システム。
⑱ プレゼンテーション→
英語のpresentationで、
広告代理店が広告主に
対して計画・企画案など
を提示・説明すること。
集会などで自分の意見
や考えを発表すること。
略して「 プレゼン」と
もいう。
⑲ アナリスト→ 英語の
analystで、事象を分析・
判断する専門家のこと。
精神分析医や証券アナ
リスト、コンピュ-タの
システムアナリストなど。
分析家。
⑳ アーカイブ→ 英語の
archiveで、記録・資料
などを集めて保管する
こと。記録保存館。コン
ピュータで、複数のファ
イルを一つにまとめる
こと。
㉑ ハザードマップ→英語の
hazard mapで、地震・
噴火・台風などの自然
災害を予測し、その被害
の程度や範囲などを示
した地図のこと。災害
予測地図。
㉒ ワイナリー オンデマン→
英語のon demandで、
書籍の内容を(出版)
電子データとして保存
し、注文によって印刷・
製本を行出版方法の
こと。絶版本などの入手
が容易になる。
㉓ ワークショップ→ 英語
のworkshopで、仕事場
や作業上のこと。研修会、
講習会。特に参加者が
自主的に共同研究や創作
を行う方式のものをいう。
㉔ インセンティブ→
英語のincentiveで、意欲
を起こさせるような刺激、
誘因のこと。また、企業
が販売促進のために支給
する奨励金。販売報奨金。
㉕ プレシャス→ 英語の
preciousで、貴重な、尊
い、大事な、高価なと
いう意味。
㉖ モチベーション→
英語のmotivationで、
動機づけ、物事を行う
動機や意欲のこと。
やる気。
さて、みなさんは上のカタカナ語を子
どもに分かりやすく説明することができ
るでしょうか。きっといくつか意味不明
の言葉があるのではないでしょうか。
しかし、ほとんど英語の訳語に過ぎず、
訳語で示したような日本語でも十分に
説明できます。
上の例は、まだましな表現ですが、恐
らく半分近くは分からないなかも知れま
せん。ただ、ほとんどの言葉は、毎日の
ように耳に流れてきているのです。この
ような事態になっているのにもかかわら
ず、ほとんどの日本人は、そんなに深く
意識していないところに、問題性がある
のではないでしょうか。
それは、会話で不明な言葉として使わ
れても、ほとんどの人がやり過ごしてし
まっているからです。一度、発信された
カタカナ語は、アメーバのように増幅し
ながら広がっていき、その流れを押し止
めようとしても、どうにも止められない
という現状があります。
❤このように、カタカナ語が日本語に
なぜこのように増えていくのかに
ついて、その社会的、歴史的な背景
などについて次に考えてみたいと
思います。
アナミズ (2024.04.19)
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