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100倍、身につく国語力(216) 作品篇

❤小~高校生と、母親向けのレッスン

 (1年間で国語力の悩みが解決できる!)

  杉みき子の作品について (16)

 「雪」を素材にした歌の典型的な例は、
文部省唱歌の『ゆきやこんこ』で、歌詞
は次のようになっています。

 <雪やこんこ>
   雪やこんこ 霰(あられ)や
   こんこ
   降っては降っては ずんずん
   積もる
   山も野原も 綿帽子かぶり
   枯れ木残らず 花が咲く

   雪やこんこ 霰やこんこ
   降っても降っても まだ降り
   やまぬ
   犬は喜び 庭駆けまわり
   猫はこたつで 丸くなる

ネットのイラストより転載


 今の子どもは、この歌はもう知らない
ようだが、昔はテレビやラジオで見聞き
したので、大人には懐かしい曲でしょう。
改めてこの歌詞をよく読んでみると、
「雪降り」の情景を実に巧みに表現して
います。「雪やこんこ」の「こんこ」は
「尽きることがない」という「こんこん」
と同じ意味で、「雪がずっと降り続く」と
いうことになります。そして、「山も野原
も綿帽子かぶり」というのは、「すっぽり
と雪に覆われている」いう意味で、あたり
一面が雪に完全に覆われている」という
ことになります。「枯れ木残らず 花が
さく」にいたっては、桜の花が満開のよう
な華やかなイメージが脳裏に浮かんでき
ます。

 このような情緒豊かな表現は、いずれ
も子どもが感覚的にイメージがつかめ、
かつ楽しんで歌えるようなやさしい歌詞
として工夫されているのです。

 それと同様に、杉氏の作品は「雪」に
関して、読者がどのように理解し、受け
入れるかを配慮しているため、それに対
してイメージがわきやすく、しかも新鮮
で共感しやすくなっています。なぜなら、
「雪」の実情を知らない読者であっても、
抵抗なく惹きつけられ、むしろ強烈な
インパクトを与えてくれるからです。

 ちなみに、杉氏講演会での話によれば、
彼女は「雪」に対する執着が強く、作品
の舞台となっている場合は多くなってい
ます。これは、彼女が雪国に生まれ育ち、
ずっとそういう環境で暮らしきたので、
それへの愛着が強く、「雪」の中には
人の知らない題材がたくさん転がって
いると考えられます。

ネットのイラストより転載

 それで、彼女は、楽しい題材や面白い
題材が自分の周囲にあると気づき、敢え
て人の知らないことは自分にしか書けな
いという強い信念を抱くようになったと
いうことが分かります。

 ❤杉氏は、「雪」に対して、他の
  人にはみられない独特の感性を
  抱いています。それは彼女が
  「雪」に対して深い愛情や、
  優しい眼差しを持っていたこと
  の証ではないでしょうか。

 アナミズ (2024.09.15)


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