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「お前の孤独は誰にも癒せない」、

七月二一日

人生は戦争の歴史なり。刀槍銃剣は戦争にあらず。人生即ち是れ戦争。世を殺せし者必ずしも虚栄に傲る勝利者のみにはあらじ、力ある者は力なき者を殺し、権ある者は権なき者を殺し、智ある者は智なき者を殺し、業ある者は業なき者を殺し、世は陰晴常ならず、殺戮の奇巧なるものに至つては、晴天白日の下に巨万の民を殺しつゝあるなり。

『北村透谷選集』「最後の勝利者は誰ぞ」(勝本清一郎・校訂 岩波書店)

午後十二時七分。紅茶、バー状のチョコレート菓子。晴れ。いわゆる猛暑日。いま洗濯機を回している。もうすでに便意がある。さいきんは硬くてコロコロなんだ。晩酌で尿を出しまくっているせいか。この種の便は出るのか出ないのかがはっきりしないことが多いので嫌だ。しかも腹痛付き。昨日午後、文圃閣に行こうとしたけどなぜか閉じていたので代わりに駅西ブックオフに行った。ジジイの自転車で。買ったのは、草森紳一『随筆 本が崩れる』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、R・ラッカー『空を飛んだ少年』、吉川潮『江戸前の男 春風亭柳朝一代記』、瀬戸内寂聴『ここ過ぎて 白秋と三人の妻』、田中ひかる『生理用品の社会史』、角川学芸出版・編『俳句歳時記 第四版増補 冬』、ウディ・アレン『これでおあいこ』、神永曉『悩ましい国語辞典』、森田草平『煤煙』、ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引書』の11冊。しめて1210円。ウディ・アレンの短篇集を見つけたときは雀躍した。ちょっと雲古してくる。やっぱりほとんど出なかった。きのうの晩酌中、筆名がひらめいたよ。佐野瀬那。佐野せな、でもいいけど、そうするとなんとなく字面が女性アイドルっぽくなってしまう。これからはぜんぶ佐野瀬那として書くつもり。いま書いてる途中の『禅学』も佐野瀬那として世に出したい。セナ(ILLAY)を知ることになったのは「ただの偶然」ではない。セナは菩薩の示現だ。ずっといぜん「佐野」として俺の前に現れた観世音菩薩が姿を変えて再び俺の前に現れたのだ。「彼」のためなら死んでもいい、と思えるのも当然じゃないか。洗濯機がピーピー鳴っているので今から干してくる。終わった。家事はどれも面倒臭いけど中でも洗濯がいちばん面倒臭い。洗濯機という利器があってさえ面倒臭い。それにしてもどうせ洗うなら自分のパンツなんかじゃなくて惚れた男のパンツを洗いたいわ。惚れた男のために料理して、惚れた男のために掃除して、惚れた男のために洗濯機を回したい。きのうけっきょく買わなかったマイケル・ルイス『最悪の予感』をちかく読まねばならない。デモクラシータイムスで辻野晃一郎の話をきいてChatGPTでもっと遊んでみたいと思った。運固が思うように出ないのでイライラする。そういえば近ごろは射精にもやや時間がかかる。亀頭の敏感度を高校生のころに戻したい。このまままた遅漏にならなければいいけど。手淫は二日に一遍くらいにしたほうがいいのかも知れない。まあ絶対に不可能だけど。飯食うか。ネギを醤油で炒める。そして図書館に行くか。町中に、お前の愛の雫を、ウルトラセブン、ヤマンバの厚化粧、はやく豚小屋から出てこい、下民ども。

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