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生まれてはじめて静岡県民をうらやましく思った俺、「推し活」でもはじめたい俺、

七月十一日

心血をそそいで命がけで書いた作品にも、ゲラゲラ笑い出さずにはいられないものがあろう。この場合、残酷だがその笑いがやっぱりいちばん親切な批評だ。

中川久定・編『林達夫評論集』(岩波書店)

午後十二時二四分。粉末緑茶、うずらのたまご。午前六時ごろ、煙突掃除業者の下働きをするために今日から一か月ほど部屋を空けるという爺さんの訪問で快眠を妨げられ、やや寝過ごしてしまった。なんでもむかし惚れかけたがエッチはしてない年上の女に二千円を借りていてその催促がやたら「ヒステリック」な様相を呈していて、だから自分が不在の間にその女が訪ねてきたらうまく説明してくれということ。「アホらしくて怒ることもできない」というセリフはこういう時のためにある。なんでこの俺様がこんな早朝からお前らの「痴情のもつれ」に巻き込まれないといけないんだよ。昨夜アオキでエンシェント・クランという初見のウイスキーを買った。1100円くらい。味については零細企業に勤めるインポテンツの中間管理職ってところ。どうせ炭酸で割って飲むんだからこれでもじゅうぶん、と敢えて肯定的なことを言っておきたい。これが空になるころには梅雨は明けているかな。河川敷ランニングの再開とともにまたアルコールを断とうか。アオキでは山形県産のニラ「達者de菜」が半額だったので二束買った。もちろん鳥皮も買った。店内でやたら童顔の長身ステキ男子を見かけて恍惚とし二度見三度見してしまった。俺のこの男子好きって何なんだろ。恋多き乙女にも程がある。

ニラはそのままでは冷蔵庫に入れにくいので三分の一に切ること、

そういえば昨深夜ユーチューブで吉幾三の「雪国」を流していたらたまたまILLAY(イジャイ)という南米音楽グループの動画を見ることになり、すっかりファンになってしまった。楽器を奏でながらみんな同じステップを踏んでいるのが見映えしていい。リーダーはペルー出身で、いまはみんな静岡県在住、浜松市を中心にライブ活動を行っている。どうやら親子らしい。決して有名ではなく、いかにもローカルバンドという感じだけど、それだけに「熱狂的なファン」も付いているみたい。演奏レベルは(たぶん)高いほうだ。ただ僕の場合まずサムネイルのセナ君の姿に心惹かれてしまったのだ。彼らのライブ映像を見る時もほとんどセナ君しか見てない。最年少で、いまは中学生くらいか。「少年」から「男」への架け橋の上にいることだけは確か。他のメンバーに比べてあまりニコニコしないところに微妙なツンデレ男子っぷりを見てしまうのは僕だけか。一度ライブに行ってサインをもらいたいけど静岡は遠いんだよな。静岡県民のことをこんなに羨ましく思うのはこれが最初で最後かもしれない。プロフィールによればセナ君はアルフォートが好きらしい。アルフォートは俺も好きだよ。大量に差し入れたいな。おい貧乏なくせに「推し活」にハマるなよ。
さあ昼食。ニラとハムと炒めるよ。今日はそこまで派手に降らないと思われる。蛮勇を振るって文圃閣にでも行くか。一か月に一度は古書店に行かないと死んでしまう生き物なんだよ俺は。あーめんそーめん俺ぶさめん。このごろスネ毛の生え方がますます汚くなってきたんだけど、どうしましょう。さんざめくゴビ砂漠。

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