社会不適合者備忘録 高校編(6)

進級

高校2年生になった。僕は希望通り理系のクラスに進学した。もちろん進学用のクラスに自分の名前がある。ここでやっと貧民から市民へと昇格したのだ。いざ新しい教室に入ってみると、中には見知った顔ぶればかりが並んでいた。予想は大方当たっていた。1年の時と同じクラスだったのは…そんなにいない。やはり人間関係はリセットしておいて正解だったようだ。というより、1年時の出身クラスにだいぶ偏りがあるように見受けられる。もしかして担任のお気に入りの寄せ集めなのだろうか。そんな陰謀論を一生徒が考えていても意味をなさないので、とりあえずこの新メンバーと仲良くしていくことにした。同じサッカー部の野菜、かつての駿台模試で唯一僕を出し抜いた若鳥ロリコンビスマス、生徒会所属の高身長イケメン、市長の息子初号機など個性豊かな顔ぶれだ。しかし、中学時代から同じ塾の一人、舐め犬がこのクラスにいなかったのは意外だったが、キャラ的にはそれでもおいしくなるので彼は放置しておこう。ちなみに担任は僕と同じ苗字だ。そして、やはりいたのか、顔面放棄。

環境構築

授業が始まって驚いたのは、各科目の担当の先生が予想外だったということだろうか。1年時に気に入っていた先生も何人かいたのでちょっとショックだった。この人たちは本当に話が面白いのだろうか。わからないので、決意した。受験科目はすべて独学で修めるということだ。授業フル虫でも構わない。使える教材は使って、不便ならば自分で用意した参考書や問題集を持ち込んで、自分の世界に入り込むことにした。人に興味ない系の先生なら内職などどれだけしても構わない。問題は徘徊系だ。どの道教壇に立てば不審な生徒は一目見ればわかるのだろうが、それでも後日呼び出し等のしょうもないリスクを考えるなら、やっているフリくらいはしてもいいのだろう。抑揚や強弱のついた強烈な声の授業や、逆に優しい周波数帯を用いた催眠療法の時間など、あらゆる特徴を備えていたが、強制参加系のものを除いてはたいてい自分のペースでガンガン前に進めることが多かった。これがなかなか面白い。前までは暗号書だと思っていた教科書が、みるみるうちにチュートリアルレベルの初級魔法指南書に変わっていく。これが微積の力だ!!と言わんばかりにだ。人間関係については、割とすぐに若鳥とは仲良くなった。これは1年時の人間関係構築スタートアップキャンペーンの効果と言えるだろう。高身長イケメンからは、よく勉強でわからないことを聞かれたが、こちらとしては教えることでさらに理解が深まると考えればお互いwin-winの関係になるので、快く回答していた。息子とは、これが初対面ではあるが、共通の知り合い、孔子が実はとんでもない人間であったという事実を教えてもらったことがきっかけで仲良くなった。若鳥の後ろの席には野菜とロリコンビスマスがいる。この二人はここでほぼ初対面だったが、僕はそれぞれに面識があるのですぐに打ち解けた。なんなら、この二人は隣どうし、友情というには深すぎるくらい情熱的な関係になっていた(ことにしておこう)。この二人はそれぞれ異色の経歴と実績を持ち合わせるのだが…

次回:野菜とロリコンビスマスの回想と競歩大会・球技大会



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