小鹿裕介

徒然なるままに・・・。 意味不明なことを書き連ねます。 変わり者です。

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最近の記事

新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(28)女子が男子に格闘技で挑んできた歴史。

12月に入っていた。 年末の『G』主催格闘技戦まで一ヶ月を切った。この大会に出場するNLFS女子選手はAKANEこと植松あかね、そして、スパイダー・美由紀こと奥平美由紀である。 アカネの相手はMMA65kg以下級絶対王者鞍馬友樹。美由紀の相手はボクシング界の風雲児二階堂毅彦である。 NLFSの女子流格闘術も、山吹望(NOZOMI)や堂島麻美(ASAMI)が引退して以降、徐々に男子選手に研究され対策を講じられると勝つのは難しくなってきていた。そんな時に現れたのが植松あかねで

    • 新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(27)この美少女が男であっても構わない。

      鳩中薫(カオル)は、弟の鳩中敦(アツシ)が、高校に入って演劇部に席を置いてからというもの、益々美しくなっていくのを感じていた。秋の文化祭を観に行くと、男子でありながら女子高生に扮したアツシの美しさに自分の弟ながら目を見張った。一緒に観に行った植松あかねも「アツシ君、きれいね…」と、盛んに感心していた。 あの文化祭以降、アツシの元にファンレターらしきものが度々届いているのをカオルは知っていた。それは、女子だけでなく男子からも届いていた。それでもアツシは興味なさそうに封も開けず無

      • 新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(26)あの娘はくノ一なのか?

        榊枝美樹が奥平美由紀に宍戸拳児からの申し入れ、提案を伝えたのは大会翌日であった。ボクシング経験のない16才少女である美由紀にボクシングルールで男子ボクサーと戦わせるのはあまりにも無謀。 しかし、当の美由紀は「面白そう!」と目を輝かせ、喜び勇んで宍戸拳児の元へ行くと連日その指導を受けていた。 奥平美由紀の相手は全日本新人王にも輝いたことがある、現在日本スーパーフェザー級3位、二階堂毅彦21才である。 彼はかつて空手キッドという異名で注目を集めるも、空手では食っていけないという

        • 新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(25)気絶するほど悩ましい。

          『G』主催の大きな格闘技大会は毎年夏と年末に行われるのだが、その合間にNLFS単独興行も春と秋に行われる。 単独興行と言ってもNLFS所属女子ファイターだけでは人数的に無理があり、外部から男女格闘家を招いて大会は開かれるのだ。 秋の大会は角川聖子、久住琴、白井志乃の三人が出場。夏のG主催大会でデビュー戦を飾れなかった奥平美由紀、神永紗織からも出場したいと申し入れがあったが、まだ試合をして間もなく、スクールとしては若い二人に無理はさせたくない。植松あかねは年末の鞍馬友樹との一戦

        新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(28)女子が男子に格闘技で挑んできた歴史。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(24)女豹。そして、女王蜂、蜘蛛娘。

          来週更新予定でしたが時間が出来たので更新します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「お〜い瞳太郎(とうたろう)、久しぶり」 夏休みも終わりに近付いてきた頃。 少年野球チームで早朝練習している瞳太郎の元へ二人の女性がやってきた。 瞳太郎は投手をやっている。投球練習場で投げ込みをしていたのだ。 「アサミおばさん、どうしたの?」 「なに、、おばさんだって?おねえちゃんって言いなさい! って、いつも言ってたでしょ? 美樹が山形まで遊びに来てくれてね。たまには東京へ出

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(24)女豹。そして、女王蜂、蜘蛛娘。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(23)少女と男の死闘! 勝負の行方は?

          ゴングは打ち鳴らされた。 宍戸拳児と奥平美由紀の視線が交錯する。一気に出ていくことことなく、お互い相手の様子を見ているようだ。拳児はいつものように軽いフットワークからボクシングの構え。彼はこれしか出来ない。 美由紀が妙な動きを見せた。これは打撃系でも組技系の構えでもなく、前後左右トリッキーにクネクネと身体を揺すり拳児の間合いにあわすことなくタイミングを微妙にズラしているようだ。拳児はこんな妙な動きの相手と対したことはない。 美由紀は小学生時代から大ファンであった宍戸拳児と

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(23)少女と男の死闘! 勝負の行方は?

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(22)拳児と美由紀、禁断のシュートマッチか?

          植松あかね(AKANE)の衝撃的強さに、それを会場の片隅から観ていた堂島龍太は妹の麻美を思い出していた。アカネの強さ、その格闘スタイルは麻美と似ているところがある。彼女は雌蛇NOZOMI、女豹ASAMI以来の逸材、再来と云われるが、タイプ的には身体の柔軟性を活かしてジワジワと罠に掛けるNOZOMIではなく、全身のバネを活かし一瞬で極めてしまう攻撃性が強い。MMA男子1位ファイターを冷静に仕留めるのだからその強さは尋常ではない。 これで年末格闘技戦で、王者鞍馬友樹に挑戦すること

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(22)拳児と美由紀、禁断のシュートマッチか?

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(21)母ちゃん、オレ、女に負けちゃったよ…。

          神永紗織は美由紀より一つ年上だが入校したのは同期。この三年間一緒にトレーニングを積んできた仲間。美由紀にとっては一番仲良くしてきた存在で、同じ日にデビューなのだから嬉しくて仕方ない。まるで、自分のことのようにドキドキしながらリング上の紗織を見つめる美由紀。 そんな美由紀を横目でチラッと見ながら榊枝美樹は思った。 “美由紀だって、これから宍戸拳児との大一番が控えているというのに、この子は緊張することってあるのかしら? 自分のことより親友(紗織)のことばかり心配している。あのア

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(21)母ちゃん、オレ、女に負けちゃったよ…。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(20)少女はリングで魔術を使うのか?

          夏の『G』主催格闘技大会まであと3日。 榊枝美樹はずっと気になっていた夏の高校野球地方予選情報をスマホで調べてみた。 “山林寺女学園、善戦空しく3回戦で敗退” と出ていた。 地方予選とはいえ女子校が共学校や男子校相手に3回戦まで勝ち進むのは信じられないことで、それを本気になってやっている麻美は凄い。彼女ならいつか本当に女子校を甲子園に連れていくかもしれない。美樹は大会が終わって一息ついたら山形にいる麻美に会いに行こうと思った。 あるカフェにて。 今ではスポーツライターと

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(20)少女はリングで魔術を使うのか?

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(19)鉄拳に挑むのか? スパイダー•ガール。

          格闘技興行会社『G』主催の夏の大会まで一ヶ月を切ったある日。あの元ボクシング二階級世界王者であった宍戸拳児と対戦が決まっていた潮崎三四郎が柔道の稽古中にケガをしたという。これで、宍戸の相手が宙に浮いてしまったことになる。今度の大会はビッグネームである宍戸拳児の試合が最大の売り物でファンも楽しみにしていただろう。『G』としても困ったことになった。この時期に来て新たな対戦相手を募っても準備(練習期間)もあり難しいのだ。 その日。 奥平美由紀のデビュー戦相手を務める園川天空が大会

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(19)鉄拳に挑むのか? スパイダー•ガール。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(18)蜘蛛少女と美少年のキス。

          NLFS単独興行春の大会は盛況の内に無事に終えることが出来た。 一時、所属女子ファイターは男子に研究され勝てなくなると客足は遠のき単独興行は無理があると思われたが、女王蜂AKANEこと植松あかねという新たなヒロインを得ると完全に人気を取り戻した。 大会は桜井姉妹、角川聖子、AKANEが出場したが、長年スクールを引っ張ってきた桜井姉妹の衰えが明らかになってきた。現役スクール選手最年長といってもまだ28才であるが、中学卒業と共に入校すると12年間ものあいだ多くの男子ファイターと

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(18)蜘蛛少女と美少年のキス。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(17)絶世の美少年に恋する男。

          お礼がしたい? アカネから届いたメールは、夢にまで見た美少年アツシが都内の高校に進学するので東京暮らしが始まるとのこと。植松拓哉の耳にも彼が〇〇高校に合格したことは入っていた。アツシ少年は昨年末の格闘技戦で一緒に会場で観戦してもらったお礼をしたいと言っているのだが、お父さんの都合はどう? というものだった。 正直、植松はアツシ少年と会うのが怖い。自分自身の心が分からない。まさかとは思うが、、、“俺は彼に妙な気持ちを抱いているのだろうか?” 植松は頭を抱えた。 それでも断る理

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(17)絶世の美少年に恋する男。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(16)柔道部主将、新入生女子に落とされる。

          季節は春を迎えていた。 もうすぐ、NLFS単独興行春の大会がある。 それには桜井姉妹、角川聖子、それに去年の年末格闘技戦で世界の女王オリヴィアを破った植松あかねも出場する。 あかねの今回の相手はMMA男子65以下級3位 杉浦玲央である。いよいよ、あかねは本気になって男子格闘技界をも制圧するつもりでいる。杉浦はその階級では屈指の実力者で並大抵の相手ではないが、勝利すれば王者鞍馬友樹へのチャレンジャーとして名乗り出ることが出来るかもしれない。 山吹望がNLFSを立ち上げ、男子格

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(16)柔道部主将、新入生女子に落とされる。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(15)ボクシング元世界王者vs最強女子格闘家実現か?

          大晦日の格闘技戦を終え今日は正月の3日である。ここ『酒処・源龍』には珍しいふたりが訪れ酒を酌み交わしている。 源龍は堂島龍太、麻美兄妹の継父今井と母佐知子が始めた店で10年にもなるが小さいながらも繁盛しているらしい。源龍の由来は今は亡き堂島源太郎の「源」と 妹との死闘で障害を持つ身体となった龍太の「龍」を取って麻美が名付けたもの。 正月は4日まで休業なのだが、源龍が実家である堂島龍太と大晦日格闘技戦で逆転KO勝利を収めた宍戸拳児が店の片隅で祝杯を上げ旧交を温めている。 「世

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(15)ボクシング元世界王者vs最強女子格闘家実現か?

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(14)スパイダー・ガール萌芽期。

          総合格闘技全米女王オリヴィア・ニコルソンは、あの植松拓哉現役最後の対戦相手であったドナルド・ニコルソンの娘である。アカネにとっては父が挑むも阻まれた「世界最強」の壁を、今度は自分が「世界最強女子」の座をかけドナルドの娘と戦う。 オリヴィアにしてみれば、父ドナルドに植松拓哉は判定とはいえ敗れたというのに後に「ドナルドよりNOZOMIの方が強い!」と語ったコメントが許せなかった。そんな父娘二代に渡っての因縁があった。 試合は65㎏以下契約。 パーフェクト女王オリヴィア・ニコルソ

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(14)スパイダー・ガール萌芽期。

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(13)曖昧な性の境界線。

          大会当日。 植松拓哉は鳩中敦(アツシ)とリングサイドの並び席で一緒に観戦することになった。 待ち合わせの会場前に着くと、アツシの姉である薫、NLFS代表榊枝美樹と共に彼はいた。スリムなデニムパンツに薄赤色のニットセーターにブルゾンを引っ掛け、メンズともレディースともつかない出で立ち。 「植松さん、今日は弟をよろしくお願いします。大会が終わったら迎えに来ますのでそれまでご迷惑かけます…」 姉の言葉に「分かりました」と答えると、植松はアツシに目を向けた。アツシはあの魔性の笑

          新作 『Genderless 雌蛇&女豹の遺伝子』(13)曖昧な性の境界線。