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良い面構えの猫に出会った日
道を歩いていたら猫に出会った。
足元に気配を感じて俯くと猫が座っていた。
鋭い目付きで私の背後を見つめているから、何かあるのかと猫の隣にしゃがんで同じ方向を見てみたけど私には何も見えなかった。
「こんにちは」
話しかけてみる。
無反応。
「可愛いね」
耳がぴくっと動く。
「一枚、撮っても良い?」
「ヴんんんんんん」
喉の奥から文字に起こしにくい声を出しながら猫がこちらをちらっと見ると座り直し、改めて視線を寄越す。
「あ、失礼します」
私は猫にぺこぺこしながら猫が一番映える角度を探す。
では、失礼。とシャッターを押す。
![](https://assets.st-note.com/img/1685355627102-rveYigQj7u.jpg?width=800)
一枚撮ると今度はブロブロブロと喋りながら毛繕いをしだす。野良とは思えぬ警戒心の薄さである。
「もう一枚撮らせてください」とお願いすると「うぉん」と鳴き再び座り直す。
ちゃんと視線もくれる。この猫、優秀すぎないか?
![](https://assets.st-note.com/img/1685356108523-BJTlMXHu99.jpg?width=800)
人がいないのを良いことに写真を撮りまくる。
「もう一枚、お願いしまーす」と猫に許可を取りながらスマートフォンを向ける姿は端から見れば完全に不審者だったと思う。
でも、そんなことは関係ない。
だって猫からすれば私は知らない人間。知らない人から無断でカメラを向けられたら良い気はしないだろう。
しばらく猫を愛で、満足した私はなんとも言えぬ幸福に満たされていた。猫はすごい。昔の人が神様と崇め奉った気持ちが今ならすごく解る。
こちらを見つめる猫に写真を撮らせてくれたお礼を言うと、一仕事終えたと言わんばかりにゴロゴロと地面に寝そべっていた。
お疲れ様です。ありがとう。
![](https://assets.st-note.com/img/1685357282557-92M8X4pJOS.jpg?width=800)
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