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眠る猫と見つめる猫に出合った日

 視線を感じる。たぶん高いところから見下ろされている気がする。なによ、と上を見ると猫がいた。

 黄色と緑が混ざったような瞳がこちらを見ている。すっごい見てくる。じぃーっという音がしそうなくらい見てくる。
な…なによ。どうしたのよ。
 猫の視線に耐えられなくなってふと、近くの木に目をやると、そっちの方からも視線を感じる。オレンジっぽい茶色猫が先程の猫同様、こちらを凝視している。
一体なんなんだ…。
猫2匹からの視線に戸惑いながらも試しに聞いてみる。
「写真、撮ってもいいですか?」
顎をしゃくられた。
解せぬ。好きにしろってことか?
とりあえず一枚、撮ってみる。

すっごい見てくる。

 何だろう。なんでこんなに見てくるんだろう。

なんか喋りそう。

 猫ってこんなに人と目を合わせてくれるものだっけ?

凝視。

 こんなに目をそらさない猫っているんだろうか。それとも道端で猫に話しかける人間を変なヤツだと思って見てるのだろうか。
 分からない。猫じゃないから。
 
木の上の猫はと言うと、片目を開けてこちらを見ていた。変な人間がいると思われている気がする。
この猫にも聞いてみる。
「写真、撮らせてください?」
フンッと鳴いて寝た。どうゆうことだ。
とりあえず一枚、撮ってみる。

寝てる。

 一枚取ると、寝心地が良くなかったのか目を閉じたまま若干後ろに下がる。

おやすみ。

 この間もすっごい見てくる猫はすっごいこちらを見ていた。
 帰り際にお礼を言うと背中をザリザリしていた。

ありがとうございました。では。

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