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ウォーカブル都市構想×地域の活性化

自治体が「歩きたくなる街」を推進しているそうです!自分が街を歩くことが好きということもあり、ニュースで取り上げられていて興味をもったので、このテーマについて考えてみました!

ウォーカブル都市構想とは?

2019年に国土交通省が歩きたくなる街を推進するため、「ウォーカブル都市構想事業」を推進。空洞化する中心市街地のにぎわいを取り戻すことが目的です。
具体的な概要としては、車中心からひと中心の空間に転換するため、まちなかで街路や公園、広場などを修復・利活用する自治体に対し、必要な経費の半額を国が補助する仕組みです。この事業がどのように地域活性化につながるのでしょうか。メリット、デメリット、事例を用いて考えてみます。

メリット

・消費を増やすことができる
歩く人が増えることでふらっと飲食店に入ったりする機会が増え、消費が増ます。消費が増えることによって消費税や事業者から徴収する税金等で増え、自治体の財政が潤い、より地方にお金を投資するようになるという好循環に。

・健康寿命の延伸
リモートワークが増えたりオンラインゲームが充実していたりといった原因で、1日中家にいても楽しめる現代、歩くという行為が減っているように感じます。歩くことは健康にもつながり、将来的な健康寿命の増進につながると思われます。近年労働人口不足、人生100年時代と言われ、高齢者も貴重な労働力として考えらえている世の中で、歩くという行為を促すことは必要なことだと思います。

・交通量が減ることで自動車の排気ガス発生が少なくなる
近頃カーボンニュートラルと言われている時代、CO2の発生を抑えることが求められています。2020年の国土交通省の統計からみると、自動車の排気ガスは日本全体のCO2排出量の2割弱を占めていると言われます。電気自動車化するということも大事ですが、そもそもの交通量を減らすことも重要な観点です。

デメリット

・まちの開発をどのようにするのか

新規で広大な土地の確保をすることは、そもそも土地がないという点、資金面の問題、時間がかかる点から、おそらく難しいと思われます。
そのため、既存の街をいかに変化するかということがポイントです。実際の事例を見たところ、車線を減らすということが1つの策としてありますが、おそらく長期にわたる道路封鎖となり、交通渋滞を巻き起こしてしまう可能性はあります。
また市町村の都市計画により長期的な計画として行われる可能性もありますが、現在建物を利用している人、事業者を退去させ、既存の建物を取り壊すということもなかなか大変だと思われます。

・車の需要はどうなる?

この考えが浸透し、仮に車の台数がかなり減ったとします。歩道が増えたことにより、そこに出店した飲食店やアパレルなどサービス業は恩恵を受けられると思われます。また公共事業が増えることで建設業の受注増が見込めます。一方で、車産業はどうでしょうか。歩くことがメインとなり車の需要が減ると、車の販売台数の減少します。自動車メーカーやそれに派生して自動車部品メーカー、半導体といった自動車産業全体を支える事業者たちがマイナスになってしまうことが予想されます。だいぶ行き過ぎた理論ですけどね、、

・本当の意味での地方活性化にならない

本事業により活性化するのはおそらく駅周辺の既存市街地のみ。駅から離れた集落やニュータウンなど、人口減少が著しく自治体の財源がない地域には目を向けられていません。インフラを管理するお金もなく本当に困っている地域は多々あると思われますが、そこまでカバーすることは難しいですね。

実際の事例


・宮城県仙台市
宮城県仙台市は2021年、JR仙台駅を中心に計165万平方メートルをまちなかウォーカブル推進事業のエリアに指定したそうです。エリア指定すると国の補助制度を受けることができ、社会実験の費用や公園の整備費などに充てられるという仕組みです。市民の憩いの場や交流に使えるオープンスペースの設置など居心地の良い空間づくりを目指すため、メインストリートの定禅寺通を車道を縮小し歩行者空間を広げる実験を開始。車道の混雑具合に大きな影響はなく、イベントが実施されたことで滞在者は2倍以上に増えたとのことです。

・兵庫県姫路市
兵庫県姫路市はJR姫路駅前で自家用車乗り入れを禁止し、歩行者または公共交通機関の通行のみに制限をする、いわゆる「トランジットモール」に。コロナの影響が出る前の2020年の駅前の公示地価は、整備前の2014年と比較し1.9倍に上昇。近隣商店街では新規出店が増えたとのこと。実際に市の職員の話では、駅周辺に若い人の姿が格段に増えたようです。

結論

地域の活性化につながるが、得をするのはある程度財政面に余裕のある一部の自治体のみ。見直しが必要!

そもそもお金のない地域ではやりたくても資金的な限度があるため、できることが限られているのではないかと。先行導入している地域はある程度規模の大きい自治体が多いという印象でした。実際の効果としては、滞在者が増える、商業施設が集約するといった恩恵だけでなく、地価の上昇といった効果が表れているようなので、地方の活性化にはつながってはいますね。自分も街を歩くことが好きなため、ウォーカブル事業が全国的に広がってほしいです。ただし、恩恵を受けられない地域の人々、事業者たちがいるため、見直しは適宜必要です。まずは実験他にも同事業を推進している地域や、海外の事例もあるため、効果データをとりつつ事例を参考にし、推進していくべきだと思います。

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